第8話 主が居れば、それで良い
「……まさかとは思うけど奏、お前もう宿題終わらせたのか!?」
「穴埋めの分は。」
「え、えぇえ……。奏、実は記憶失ってないとかじゃないのか?」
「だったら色々覚えてないのはおかしいだろ。それはそうと……教科書を読んでて思ったんだが、俺にも使い魔というか契約獣的なのは居るのか?」
「あぁ、居るぞ。かなり凄いのが。」
かなり凄いの?
「でもお前に相応しいと思うし、あいつもお前に懐いているみたいだし。」
「……やっぱり呼び出すんだよな?」
「あぁ。お前が就けた名前を呼んでやればそれで良い。ただ、奏が契約してる奴は主以外が呼ぶと凄い怒るからさ。」
「珍しい事なのか?」
「かなり。大体は警戒程度なんだけど、お前と俺の契約してる契約獣は結構嫉妬深いというか……プライドが高いというか。粘着質、とも言えるかも。」
「利点がないように思えるんだが。」
「ま、まぁ会えば分かるさ。とりあえず教えてやるからペン持ってくれ。食事中にこんなのをやるのも行儀が悪いとは思うが、まぁそこは容赦してくれ。」
どうやら相当契約者に執着する性格のようで、蓮燔が用意してくれた紙に蓮燔と一緒に同じペンを持ってその契約獣の名前を書いていく。
「これを読んだら良いのか?」
「あぁ。このまま放置しとくのも怖いし、早く呼んでやってくれ。」
「レイ。」
背後でぼんっ、という控えめに何かが爆発する音。そして周りが見えなくなるぐらいの黒い霧が一瞬だけ拡がり、実はずっと鈍い痛みを発し続けている右足と左脇腹にふさふさと、ふわふわとした綺麗な毛並みの尾が優しく絡められ。肩に軽い重さが加わる。
ふと、顔を上げれば恐らく九尾といわれる類の何かが嬉しそうにしており、持て余している7本の尾をゆらゆらと揺らしながらも此方を見ている。
何かを期待しているようなので何となく頭を撫でてやった所、クルルと喉を鳴らしているので行動としては間違っていないらしい。
「
「……成程。だから執着、粘着か。」
「そういう事。」
「お前の契約獣にも興味があるんだが。」
「悪いけど、俺の契約獣はお前のと違って体の大きさを制御出来ない上に狂暴だから今はパス。」
「そうか、じゃあまたその機会が来た時は頼む。」
「あぁ、その時は勿論。」
「……。」
「キュウ?」
体の大きさの調整……か。便利なもんだな。
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