第20話 史①
歴史とは何か
この問いに対して多くの人は言葉を詰まらせることになる。
過去のことという回答はあまりにも抽象的、いや物事の本質が見えていないかのようなものである。
そして、歴史的な資料つまり史料から読み取ることで得られたもの。これも、ある意味ずれてしまっている。我々の力では史料からの情報だけでは断片的なものになってしまう。
つまり、我々が知る歴史には到底辿り着かないものができあがる。
まあ、人類が使用する言語は時代が過ぎるにつれてより抽象的になる。恐らく、ここで一気に100年後に飛べば我々はその言語の一部を理解できなくなる。
歴史もそのひとつ。ただし起きている現象は同一であることを理解しておく必要がある。本来の意味から増えてしまったことで正しくその言葉理解できなくなってしまった。
占星術自体は微妙なところである。時代が進むことで抽象的なものが増えたか...といわれると逆の状況である。
より抽象性は排除され、具体性を持つようになった。
ある“代行者”は必然と捉え
ある“遷人”は理と捉え
ある“魔女”は退化だと捉えた。
ミカエル=アタライアテス
彼女の固有式は抽象と具体の二つを持ち合わせたものである。神代を知り、現世に生まれた占星術師の中でも珍しい存在。
嘘を現実にする。
抽象ともいえるが、神代の代物、例えば、占星術の式自体をつくり出すとか運命をどうこうできるといったほどの抽象性はない。
指定した人物(術者以外の一人)が嘘だと思ったことを現実にする。但し、術者本人がその指定した人物が何を嘘と考えているかは分からず、嘘を選択することはできない。そして、この固有式が”嘘”と判別するものは対象が認識した現実と逆転した事象、つまり、嘘のような話と後で考えられるものも含まれる。
人物指定に関してはいつでも可能である。
つまり、”語り手”の初撃で死なかったのは、この攻撃で死んでいなかったという事象が
他にも、“
形勢が完全に逆転した。
これすらも“語り手”にとっては嘘のような話なのかもしれない。
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「―
世界が逆転した。
逆さまの世界。とはいっても、鏡写しの世界といった方がわかりやすいだろう。
あくまで、世界が逆転したのであって、ここにいる人間の感覚や行動までもが逆転した訳ではない。
だが、占星術は逆転する。
それは、ミカエルの“固有式”も例外ではない。そのため、ミカエルは“固有式”を閉じる。
そして、
「がっ...。」
“語り手”の胸を刀が貫く。
「―
正確には『
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