第13話 迎①
「んあ?どういうことだ?」
ゴシック調の黒い服を身にまとい、日傘をさした白銀の長い髪を持った女性。日本人離れしたような容姿を持つ
人っ子一人いない街。
“聖都”ゆえにありえる話であり、“聖都”ゆえにありえない話である。
「こんなに人がいないとは...戦争中ですかな?」
「いや、ないだろう。まず、人の気配がない。」
「はぁ~。私は探索はからっきしですので...。」
「殺気は分かるのにな...。」
「さて、お出迎えか...。“東方騎士団”の人間か?」
二人の前後に一人ずつ人間が現れる。
―分断―
その声が聞こえた瞬間、
「誰だ?」
「明日は明日の風が吹くかもしれないし、昨日は昨日の風が吹いたかもしれない。今日がどんな風が吹くかは分からない。」
「?」
「お嬢ちゃん。君は何のためにここに来たんだい?」
よれよれのスーツに無精ひげを伸ばした男。
髪の色は赤い。
「?」
「君がどんな風を吹かせられるかを聞いているんだ。」
男は紙煙草を一本取り出し火をつける。
「ここは既に死地だよ。“東方騎士団”は大半が壊滅。団長は行方不明。幹部もほとんどが死んだ。」
「?」
「あぁ、一つ言っておくけど僕は“東方騎士団”の人間じゃない。既に各国の占星術組織の精鋭達が訪れた地点でこの状況だ...。」
「じゃあ...。」
「各国の占星術組織はある命令を下した。“
「!?」
(かずらが...?いや、陸軍省か...
「お嬢ちゃんの反応を見るに日本の子みたいだね~。」
「...。」
「日本は一つの家がトップに立ってるけど指揮系統が複雑だからね~。知らないなんて表情をするのは本当の馬鹿か...。指揮系統のミスか...。」
「なるほどな...。で、お前はオレを殺すのか?」
「...。ん~帰ってくれるなら~って話だけど。どうする?」
「...。“聖都”とか“
「なるほど...。交渉決裂というわけか...。」
次の瞬間、
「なっ...。」
「僕がこんな状況でだらだら話しているとでも?初めから僕の間合いだ...。そして、君が
「...なるほどな。お前は既にオレと接触した地点で準備ができていたわけか...。」
「化け物かい?お嬢ちゃん。」
(あばらは数本やられたな...)
(僕の方としては困るんだけど...。後、3分...。)
だが、男の方としても厄介な話である。一撃で
彼には名前が存在しない。
彼にはコードネームの“赤髪”という名前だけが与えられていた。
アメリカの占星術組織“A”は多くは固有式を持たない占星術師達で構成されており、例に漏れず“赤髪”も同じである。
「...。」
(固有式じゃねーなこれ。単純な霊力弾っていったところか...。まあ、あの威力となると銃身に圧力がかかり過ぎるから...2、3分といったところか...。)
どんなに占星術に詳しくても、どれだけ強くても、どちらともができていても“赤髪”には勝てずに死ぬ。
だが、
(後、一発撃たせてリロードのところを狙うか...)
(とか、お嬢ちゃんは考えてるんだろうね~。)
「!?」
先に動いたのは意外にも
特に、防ぐ手段が存在するのであれば
「...。」
“赤髪”は
よけられない距離、初速は音速を超える弾丸。
だが...
“赤髪”は
ゆえに
「!?」
ガンというものが何かにぶつかった大きな音がした後、にゅっと手が伸びてくる。
“赤髪”はそれが
「終わりだ。」
“赤髪”の方はもう一つの拳銃を取り出しそれの引き金を引く。
どちらにとっても誤算。
“赤髪”にとっては
「なっ...。」
「ちょっとはびびったがオレには届かねーよ。」
「―静まれ―“
一帯が凍りついた。
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