第9話 兎①
昔々、いつの時代であったことでしょうか。
神代の話であったか、人間の世になってからの話であったか、皆忘れてしまいました。
一人の少女が、歴史を学んだ後尋ねたそうです。「歴史とは何なのか?」と
一人の歴史家は答えました。
誰かの記録だと。
一人の聖女は答えました。
所詮は表のものだと。
一人の魔女は答えました。
物語だと。
故に、少女は尋ねました。歴史はどう終わるのかと。
「ハッピーエンドでもバッドエンドでもないのが歴史なのです。」
少女は首をかしげます。ハッピーエンドもバッドエンドの言葉の意味が分からないのです。
「...。いずれ分かるものです。」
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「故に、歴史は全員を幸福にしない。けど、全員を不幸にしない。誰かが不幸であれば、誰かが幸福になる。そうだろう、
“
「さあな。オレの知ったじゃない。」
「そうだそうだ。君はそういう人間だった。君は何千万という人を救えるかもしれないのに、その力をたった一人のために使う...」
「君は悲しいと思わないのかい?誰かが不幸になるということを?」
「それで、聖都を生贄にすると?」
「確かに神界が開けば、多くの犠牲が出るだろうね。」
「...。」
「だが、それは必要な犠牲だ。」
悲しい表情をする
「本当にそれを思っているのか?それは、おまえ自身ではなく、“
「君の方こそ過去にとらわれる彼女の駒になっているのは使命からじゃないのかい?」
「護衛としての役割だけだ。使命なのはな。」
「君とは馬が合わないみたいだ。」
「ヒヒヒ。そうだな。」
次の瞬間、火花が散った。
「―
「呪術かよ。」
「呪術の本来のあり方は神との契約だ。天の家でありながら天狗へと変わり果てた“
「なるほどな、神界の鍵であるお前は契約そのものだから使用可能だと...。」
「ヒヒヒ。珍しくオレの固有式が役に立ちそうだが...。」
「ん?」
― ―
―――
― ―
「それは、水か...。簡易的な彼岸と此岸の再現か。非常に簡易的な呪術だけど、これで防がれるとは...。」
「ちげーよ。これは、まじないだ。」
「まじないか...。れっきとした呪術よりは非常に厄介だね。契約による呪術ではなく信仰心による純粋で単純明快な基礎的な呪術...。対策はめん...。」
「考えを口に出す暇があるなら手を動かしたらどうだ?」
「ヒヒヒ。外したか...。」
「なるほど...錬金術か...。」
「んあ?いや、錬金術じゃねーよ。」
「?」
「遅すぎるんだよ。式自体がな...。」
「でも、その発言、錬金術自体は使えるみたいだね。」
「んまあ、一応な。」
「錬金術は禁忌であり、呪術が使える人間は使えないはずなんだけど...。」
「だから、言ってるだろまじないだって。」
「なるほどね。君はそう思っているわけか」
だが、
「どういうことだい...。」
しかし、
「いや、君の固有式か...。」
「いや、ちげーぞ。これは
「!?まさか、その刀自体が呪術だったと?」
「そうだぞ。まあ、オレの血液でできてるから特別仕様だがな。」
もしかしたら、敵に回したら厄介な者をを敵に回してしまったのかもしれない。
故に、
「―術式解放―」
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