第7話 夢①
「ここは...。」
ついさっきまで、ある人物に接触するために船の中を歩いていたはずである。横にいたはずの
「仮想領域か...?にしては、範囲が広すぎる。俺自身を起点にしての仮想領域であれば不可能ではないが...。」
「くふふ。それは不可能ですよー。」
(誰だ?このガキ...)
「せっかちは嫌われますよ。
「んあ?」
銀色の髪をツインテールにしており、義務教育(小学校)を終えたか終えてないくらいの見た目である。雰囲気は後の時代で小悪魔系と呼ばれるものだが、そのことを
「私は、貴女が求めている人ですよ。」
「お前が...!?」
「え~?お前が~?みたいな顔してますね。」
「そりゃ、そうだろ。お前みたいなガキがラスプーチンだなんて。」
「くふふ。私は年上なのでガキ呼ばわりされても寛大なので許しちゃいます。」
「...。」
空気が重くなる。恐らく、通常の占星術師であれば息をすることすら困難だろう。
「へぇ~。この程度じゃ、潰れないか。」
「で、お前は何者なんだ?」
「グリゴリー=エフィモヴィチ=ラスプーチン。今はそう名乗っているしがない占星術師ですよー。」
ラスプーチンと名乗った少女はいつの間にか現れたソファに座る。
(ここはこいつの領域か...。)
「だとしたら納得いくですか?“解答者”が一番困るやつですね~。」
「あぁん?」
「いえいえ、こちらの話ですよ~。まあ、それは置いておいて。この空間は理想領域。」
「!?」
少女はどこからか紙巻き煙草を取り出しそれに火をつけ、それを口にくわえる。明らかに日本の法律に違反しているが、まず日本人でないこと、恐らく
「くふふ。
「お断りだな。」
「ふ~ん。まあ、そうだよね~。」
ラスプーチンは煙を口から吐き出し、そのできる形で遊ぶ。それを数回繰り返した後、飽きたのか
「理想領域。聖域実験の中で得られた副産物。疑似理想神域展開及び拡張実験の結果と夢と現実の転換実験の結果から得られたね。」
今までの雰囲気とは全く違った雰囲気を纏ったラスプーチン。
「ヒヒヒ。聖域実験は個々で失敗したけど、完全な失敗ではない。とでも言いたいのか?」
「正解ですよ~。
刹那、
少し歩くと開けた場所にたどり着く。そこには、優雅に紅茶を飲むために用意されたティーセット一式と椅子と机。ラスプーチンは紅茶を飲むことなく、煙草を嗜んでいた。
「少し、趣を変えてみました。どうです?
「...。」
「ん?」
「―静まれ―
一帯が凍てついた。
「...。これでさすがに...。」
「さすがに何ですか?
「ちっ...。」
「理想領域は夢ってことは理解してるんじゃないんですか?。」
世界は再度変わる。雪の積もった広場に宮殿。広場の雪はところどころ赤く染まっている。
「人は夢を見る生き物です。夢を見る者によって歴史は変わります。」
悲しい顔を浮かべ、広場を眺めるラスプーチン。しかし、表情はどこか作られたもののようにも感じる。
「夢の見れない者に価値はない。それが私の心情であり、夢を見させるために表で悪役を作り上げた理由です。」
「...それがどうした?」
「聖域実験の終末世界の再現実験には一つだけそろうことのない材料がありました。」
「?」
「疑似理想神域、通称聖域の展開と地盤ですよ。」
「地盤?」
「そうです。神々の血によって染め上げられたヴィグリドを再現する必要があった。536年では足りませんでしたからね。」
「足りない?」
「えぇ。全人口の半分を生贄にしたとて足りませんでした。ですが、この実験には大きな欠陥が存在しました。」
「占星術師が生贄になっていないだろう?」
「まぁ、正しくは占星術師達による争いによって流れる血が必要でした。」
「なるほどな。神を模した人間の血、だが、巨人はどうする?」
「必要ありません。」
「...大地さえあればいいと。」
「そういうことです。でも聞かないんですね。聖域については。」
「...。」
「聖域実験で得られた理想郷は6つ。
世界が変わり、どこまでも続く草原へと変わる。
「さて、一つお話をしましょうか。貴女達は初めから
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