第6話 合同練習

…わかってましたとも

そりゃ伝説の魔物を駆使したら大変なことになるから

お前だけ合同練習はなしだ、とか言われることぐらい

わかってましたよ


「なんでぇ…」

「我慢しましょう」

「うぅ…みんないいなぁ…」

「私としてはお嬢様は完璧なので練習しなくても私を使えると思いますけど」

「そんなことないからね?」


みんないいなぁ…


ユアヤ王子の属性は水

従魔は土属性のアイアンゴーレム

別に機械みたいな見た目ではあるけどヒト化できるから

ロボットの人形みたいな感じがする。

腰まである長い白い髪と茶色の瞳

一瞬見つめられた気がしたが気のせいだろう。


悪役令嬢マリーの属性は風

従魔は火の精霊。

火の精霊は種族名で、それぞれの個体に付ける名前は

主が決めることになっている

今の段階では火の精霊としか呼ぶことができない

すごく小さくて燃えるような赤い髪と赤い瞳

背中に生えた薄く透けた赤色の羽を使って

マリーの隣に浮かんでいる


主人公レナの属性は光

この光属性のおかげで、平民であるレナでもこの学校に通うことができている。

従魔の属性は水

水のドラゴンがヒト化しているあたり

レナ自身かなりの実力者だとわかる。

青色の髪と暗い青色の瞳を持つヒト化したドラゴンは

自分の主の魔法が弱いことに気付いているのか

ハラハラしながら訓練をしている。


「…みんなすごいなぁ」

「お嬢様が言います?」


私モブだし


「ちょっとあなた!」

「ん?」


上を見上げると悪役令嬢マリーがこちらを見下ろしている

横にいる火の精霊がそろそろ飛ぶのに疲れたらしく肩に留まろうとしていた


「訓練はしないの?」

「あぁ…私できないんですよ」

「まぁ三代神獣でしたらあたりまえですわよね」

「ウグッ」


「…相談なのですけれど」


体操服のまま私の隣に座ってくるマリー。

少し地面が土なのを気にしているようだ


「わたくし、性格が悪いとよく言われるんですの」

「あぁ」

「なっ…!納得しましたわね⁉」

「自分で言ったんでしょ」

「…それで、このままだとユアヤ王子…

 いえ、みなさんに嫌われてしまいます」

「そりゃそうですよね」

「ど、どうすれば好かれるのかしら」


私が言ったからやっと自覚したんだな。

よかったよかった。


「そうですね…嫌われている理由に思い当たる理由はありますか?」

「…口調がきついところですかね」

「他には?」

「…嫌いな人に嫌がらせする所?」


わかってるやん


「じゃあそれを直せばいいじゃないですか!」

「だからそれが難しいと…」

「自分だったらどう対応したほしいか考えるんです

 そうすれば、いつかきっと、お返しが来ますよ」

「お返し…?」

「はい!愛されるためには自分が愛さないといけないって言うでしょ?

 それと一緒でよくされるためには自分からしなきゃいけないんです」

「なるほど…参考になりましたわ!」


まぁ私前世ではそんなことしてないけど


「お礼に後ほどお茶会へ招待いたしますわ!

 楽しみに待っていなさい!」

「ありがとうございます」


走って戻っていくマリー。

私の嫌いなタイプだけど

推しだから仕方ない。

そもそも全員ハッピーエンドのためには

マリーにもみんなと仲良くしてもらわないと


「…」

「どうかした?アヤナ」

「お嬢様、なぜあの者にアドバイスしたのですか?」

「え?」


一瞬だけ考える


「私、ハッピーエンドが好きだから!」

「…?」


そう、私はハッピーエンドが好き

だからみんな苦しまないハッピーエンドを作るんだ

絶対に。

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