第9話 2人の王者
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━少し前……
モルドレッドは真耶の戦いを見ていた。そして、何時でも攻撃出来るように構えておく。しかし、攻撃が出来ない。下手に攻撃して真耶に当ててしまってはいけないからだ。
普段は、真耶が援護を頼む時はどこに攻撃するかなどのアシストをしてくれるのだが、今日は何も言ってこない。
「……あ……!」
その時、真耶が剣を落としてしまった。神と悪魔はその隙を見逃したりしない。間髪入れずに攻撃をする。
真耶に近づこうとしたが間に合いそうにない。落ちていく剣を捕まえると攻撃をする。
「”ディスアセンブル砲”」
赤い閃光が放たれた。それは、特殊な軌道を描きながら神と悪魔に向かっていく。しかし、当たることなくかき消されてしまう。
「……」
神と悪魔はモルドレッドを一瞥した。そして、すぐに真耶を追いかける。その速さはとてつもなく速かった。
「待って!」
モルドレッドも何とか追いかけようとするが、全く負い受けそうにない。そして、やっとのことで追いつくと、既にトドメをさそうとしていた。
「ダメ!”エンペラーレイ”」
モルドレッドはその後ろから魔法を放つ。しかし、その魔法は見えない壁に防がれてしまった。
モルドレッドはそれを見て後ずさった。すると、神と悪魔は突然標的をモルドレッドに変え攻撃しようとしてくる。
「やばい……!”ディスアセンブル砲・
モルドレッドがそう唱えると、モルドレッドの掌から赤い光線が放たれた。それは、途中で枝分かれをしていく。そして、それを繰り返し広範囲に広がる光線となって神と悪魔を襲った。
しかし、やはり見えない壁に拒まれる。そして遂にモルドレッドは神に捕まってしまった。
首を絞められ呼吸が出来なくなる。
「カハッ……!やめ……て……!」
苦しそうにそう言うと、突然顔に痛みを感じた。そして、体がさっきまでいたところから10メートルほど離れている。
「え……?痛い……っ!?」
その時理解した。自分が殴り飛ばされたことを。その事を理解した途端顔に痛みが押し寄せてくる。すごく痛い。よく見るとかなり腫れている。
「っ!?」
そして、再び顔に痛みが襲った。それと同時に自分の体の上に人が乗ったような感覚になる。そして、それから突然何回も顔に痛みが襲う。その度に顔は腫れ上がっていく。恐らく今の顔を鏡で確認すると、原型を留めていないだろう。
「やめ……て……くら……さい……」
モルドレッドは泣きながら、そして苦しそうな顔をしながら懇願した。しかし、受け入れてもらえるはずがない。悪魔はその手でモルドレッドの顔を殴り続け、神はそんなモルドレッドと悪魔を見つめながら、逃げないように魔法でモルドレッドの重力を通常の3倍にする。
「あぅ……うぅ……おぇ……」
モルドレッドは声にならない声を上げながら涙を流した。
その瞬間、地獄は現れた。それも、モルドレッドの目の前に。
「っ!?」
突如神と悪魔の体は遠くに吹き飛ばされた。そして、モルドレッドの目の前に誰か歩いてくる。
「ま……や……」
そう、その正体は真耶だったのだ。
「待たせて悪かったな」
真耶はそう言ってモルドレッドの傷を全て治す。そして、神と悪魔と対峙する。
「やはり、殺すしかないよな」
真耶がそう言って走り出そうとした時、なんと光達が来た。
光はとてつもなく速いスピードで真耶へ攻撃してくる。しかし、真耶はその攻撃を一切見ることなく避けた。
「お前、なぜ神様に向かってあんなことをする?」
「……洗脳されてるのか……神を倒すまで解けないか」
「何をブツブツ言ってる!?いいから俺の質問に答えろ!」
「光、本当の悪とはなんだ?本当の正義とは何だ?」
「っ!?急に何を……」
「ヒーローとはなんだ?目の前の見た目だけが悪なやつを倒すことか?いいや違う。ヒーローとは世界を脅かす真の悪を見つけ出し倒すことだ。本当のヒーローを思い出せ」
真耶は光そう言った。それから少し遅れて玄翔と彩音が来る。2人は光と真耶を見て少し構えた。
「……光……目の前だけが悪とは限らない。見た目じゃなく、相手の中身を見るんだ」
真耶はそう言って背中から剣を抜いた。その時、ふと自分の周りに飛んでいるものに気がついた。
これはカメラだ。壊されたと思っていたが、どうやら壊されていなかったらしい。ということは、まだ配信していると言うことだ。
少し
「光!玄翔!彩音!そして世界中の人々よ!目を覚ませ!本当の悪を見ろ!見た目で決めつけず、中身を見ろ!」
真耶がそう叫んだ瞬間、光の背後に神と悪魔が現れた。
「退けぇぇぇぇぇぇぇ!」
神はそう叫び光の波動を放つ。
「……え?」
真耶はそんな神を見て一瞬戸惑った。なんせ、ずっと無口キャラだと思っていたからだ。だが、突然ブチ切れて叫んできた。これに驚かないやつは居ないだろう。
まぁ、それはともかく波動をどうにかしないといけない。真耶はその波動に狙いを定めると、勢いよくアルテマヴァーグを抜き、振り下ろした。
すると、光の波動は真っ二つに切り裂かれ、その波動を放っていた右手も切り裂かれた。
「クッ……!」
その攻撃を受け、神は少し後退する。すると、悪魔が神と話している。
「おい、なんでヒソヒソと話す?俺も混ぜろ」
「黙れ!もう無口キャラを演じるのが疲れただけなんだよ!」
「私は苦ではなかったのですがね。特に何も変わりないですし」
「俺は違うんだよ!そもそも!こんなにうるさいヤツが無口になれると思うか!?」
「あ、自分がうるさいヤツっていう自覚はあったんだ」
「黙れ!とにかくだ!俺は無口キャラを演じてムカついてんだよ!」
「そうですか。では、手を貸しましょう」
2人はそう言ってそれぞれ片手を突き出してくる。
嫌な予感しかしない。真耶はそう思いアルテマヴァーグを鞘に収めてアムールリーベを抜いた。
「「「”
その刹那、真耶の持っていたアムールリーベに白と黒の色に光る光線がぶつけられた。アムールリーベはその光線を吸収する。しかし、吸収出来ずに漏れ出て来ている。
さらに、その光線の威力はかなり強く、どんどん後ろに押される。
「クッ……!」
何とか必死に押し返そうとするが、押される力が強すぎる。ジリジリと押されていく。後ろを確認すると、後ろには建物があった。このままでは建物に挟まれてしまう。
「クッ……!やばい……これは専門外だ……!交代してくれ……!」
真耶はそう言った。その瞬間、突如真耶の目付きが変わる。そして、力の入れ方も変わる。
「っ!?」
なんと、真耶は光線をいとも容易く弾き飛ばしてしまった。それどころか、神と悪魔に攻撃までしている。
「っ!?なぜだ!?急に強くなったぞ!」
「なぜって?交代しただけさ。真耶とね」
真耶は恐怖に満ちた笑みを浮かべながらそんなことを言う。モルドレッドは薄れゆく意識の中そんな真耶の姿を見た。
それは、真耶ではなかった。なんと、ケイオス・レヴ・マルディアスだったのだ。
「ケイオス……?」
「モルドレッド……ゆっくり休んでて良いよ」
ケイオスはそう言ってモルドレッドを寝かしつけ……ようとしたのに何故か目をぱっちり開いて起き上がった。
「え?」
「ケイオス!遅いよもう!真耶も遅いよ!どっちも遅すぎて怖かったよ!」
「え?あ〜、すまん」
ケイオスはモルドレッドにそう言って謝る。なんだかそんなケイオスが二重に見えた。おそらく真耶も謝っているのだろう。
「許す!許すから早くあいつら倒して。私の仇をとって」
「仇って、お前死んでねぇだろ。ま、殺すことは確定しているがな。今回は協力戦だ。多数対2の対決をしようじゃないか」
ケイオスはそう言って不敵な笑みを浮かべる。そして、精神世界にいる真耶も不敵な笑みを浮かべた。
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