第7話 正面対決
『……えっと……これ写ってる?このカメラ作ったばかりだからちゃんと作動するかわかんねぇんだよな。……あ、写ってる?なら良かった。じゃあ配信していきましょうか』
真耶はそう言って少しだけ優しく笑った。そして、後ろの背景を見せて言う。
『今私達がいるのはあるビルの屋上です。先に言っておきますが、許可は取ってます。そして、これから5分後、ここに神と悪魔が現れます。信じられないと思いますが、彼らは私を殺そうとしているみたいです。だから、皆さんには応援をして頂きたい。……ん?この1年間何も更新もしなかったくせに何言ってんのかって?そうか……昨日少し話したんですけどね』
真耶はそう言って少しだけ笑顔を消す。そして、真剣な顔付きで話し始めた。
『では、最初に話しておきましょう。私は異世界から来ました。1年前の、クラス全員が神隠しにあった事件を覚えているだろうか?その被害者の1人だ。今回は理由があって帰ってきたがな。……ん?嘘つくな?証明しろ?良いぜ』
真耶はう言ってか手のひらに水の球体を発生させた。そして、それをカメラに向かって見せびらかす。
すると、コメント欄に『本当だ』とか『CGだろ』とかそんなコメントが溢れかえった。
真耶はそれを見ながら水の玉を消す。そして、話を続ける。
『えー、では、まぁ、あと五分後くらいに神と悪魔が来るんで倒したいと思います。あ、ちなみにこのカメラは彩音の妹の
そんなことを言っていると、突如どこかで爆発が起こった。その爆発は、ちょうど真耶達のいる場所からちょうど真っ直ぐ進んだ先で起こっている。音と光の強さからしてだいたい3km程度離れている。
真耶はその方向に向かってカメラを向けた。すると、遠くから何やらすごいものが近づいてきているのが確認できた。
当然だが、それを見た人達がコメントに色々書き込んだせいでコメントが荒れる。
「何だって、さっきから言ってるだろ。神と悪魔だよ」
真耶がそう言って不敵な笑みを浮かべた瞬間、突如目の前に黄色い光を放つ神と、黒い闇を放つ悪魔が現れた。
真耶のそのライブ配信を見ていた人々はその神と悪魔を見てこう思った。
真に応援するべき存在はこの神と悪魔だと。それが愚かな選択だと言うのに。
「あーあ……やっぱりな……」
真耶はコメント欄を見た。そこには『真の敵はお前だ』や『敵はお前だろ』などと、真耶に対して敵対視する言葉で溢れていた。
どうやら全員神のあの光に洗脳されたらしい。大抵の人は神のあの光で洗脳されてしまうからな。
ヒーロー達は真耶の近くにいたから助かったようだが、それもどれだけの間耐えれるか分からない。
しかも、この洗脳の光を使えるということは、かなり強いということだ。神と悪魔には階級がある。その階級がある程度上位に居ないとこの洗脳の光は使えない。
「……めんどくさいのが来たな……だが、全て予想通りだ」
真耶はそう言って不敵な笑みを……いや、いつもと違う。雰囲気も変わってしまった。まるで、神と悪魔と戦うことを望んだかのような、そして殺すことを望んだかのような顔で笑った。
「っ!?おい、真耶!どうしたんだよ!」
「フフフ……フハハハハハ!殺す!神も悪魔も全て殲滅する!”
真耶がそう唱えた瞬間、真耶を中心とした半径500mを範囲とした
真耶はそれを展開するとすぐにその場から飛び、駆け出した。そして、アルテマヴァーグに手をかける。
「”
その刹那、一瞬にも満たない速度で真耶は剣を振るった。黒く輝く刃はその姿を誰にも見せることなく鞘へと収められる。
そして、アルテマヴァーグから放たれた波動は、魔法の力によってぐにゃぐにゃに歪められる。その波動は形を留めないまま神と悪魔に向かって飛んで行った。
しかし、神と悪魔はその場を動こうとしない。手を前に突き出しなにかするつもりだ。
「”
その刹那、神と悪魔の目の前に黄色と黒の光を放つ球体が1つずつ作り出された。それは、瞬く間に大きくなっていき合体する。
そして、それは1つの黄色と黒が混ざり合った模様の球体となった。
「吸い込め。”
2人がそう唱えた瞬間、突如とてつもない引力が発生した。その引力は2人が作り出した球体から発生しており、大抵のものはなんでも吸い込もうとする。
それは真耶も例外ではなかった。アルテマヴァーグから放たれた波動は簡単に吸い込まれ、真耶すらも吸い込もうとする。
「”ディスアセンブル砲”」
後ろからモルドレッドが攻撃を放った。しかし、コントロールすることが出来ずに球体へと吸い込まれていく。
「うぅ……!す、吸い込まれる……!」
「なんで来たんだよ?ほら、俺に捕まれ」
真耶はそう言ってモルドレッドを抱きしめた。モルドレッドは真耶に抱きしめられると背中まで移動しておんぶされたような格好になる。
「どうするの……!?これ、凄いよ……!」
「まだ手はある。それより、何故ここまで来た?」
「光くん達が洗脳されちゃったから……!それに、カメラも全部壊されて……!」
「そうか。時間切れか……。なら、こっちも本気を出すだけだ。”
その瞬間、突如引力は斥力となり真耶を吹き飛ばす。そして、それは神と悪魔も例外ではなかった。
その斥力はあらゆるものを弾き飛ばす。神と悪魔もその斥力の影響を受け弾き飛ばされる。
「っ!?」
神と悪魔は即座にその斥力を発する球体を消す。すると、斥力は消える。しかし、それは失敗だった。
気がつくと目の前に真耶が居る。そして、真耶は既にリーゾニアスを構えていた。
「はい終わりね。”
その刹那、神の体に無数の傷が出来る。そして、真耶の体が突如消えた。
この技は、自分、相手、空間の全ての変数を設定することが出来る。そして、その設定した数字に応じて何かしらの効果を付与できる。
今回付与した効果はテレポーテーション。x座標、y座標、z座標をそれぞれ設定することによってその座標にテレポートするというもの。真耶はその能力を使って神と悪魔の死角に常に入り込み切りつける。
「っ!?あの技は……!」
(……フッ、やはりモルドレッドは気がついたか。この技は一見強そうに見えてそうでは無い。座標を指定するということは、その座標を何かしらの方法で可視化しなければならない。そして、その能力を俺は持っている)
(……真耶は以前それを使っていた。でも、負担が大きいしその後に来る反動も大きい。だから使うのを辞めさせた)
(1度はこの能力を使うのをやめたかもしれない。だが、ここで使わなければ勝てない)
「……”
真耶は小さくそう呟くと、両目に白く光る円を浮かべた。そして、目から血を流しながら世界を第三者の視点から見つめる。すると、今真耶のいる座標が可視化される。そして、他の場所も。
だが、この目の力で見えるのは特定の場所だけじゃない。全て見える。だから、見る必要のない場所まで見えてしまう。さらに言うなら、他の情報が多すぎて常人なら頭で処理しきれずオーバーヒートするだろう。
現に真耶もその情報量で頭がパンクしかけ目から血を流している。だが、そこまでしないと神には勝てないのだ。だから真耶は必死に意識を保ちながらリーゾニアスを振るう。
しかし、それも限界は存在した。
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