第6話 決意

「じゃあ、俺は明日のために用意することがある。後のことは頼んだよ」


 真耶はそう言ってどこかに行ってしまう。その場に残されたモルドレッド達は、明日応援してくれる人を増やすように色々することにした。


 まず、ヒーロー達がしたのは、ヒーロー屋のサイトに明日応援して欲しいと言うことを掲載した。


 内容はこと細かく書いて、戻ているとも書いた。


 そして、次にしたのはアプリで呟いた。明日こんなことをすると。そこでも大体のことがわかるように簡潔にまとめて呟いた。


 それから色々とした。しかし、どらもこれも反応がない。恐らくあまり効果が無かったのだろう。


「やっぱり私達じゃあまり拡散力がないから難しいな」


「応援して欲しいって言っても、誰もしてくれない。理由を説明しても、誰も信じようとしない。八方塞がりだ」


「やはりここは、我らの力を1つにするべきではないか?もしかしたら何かしらいい案があるかもしれない」


 玄翔はそう言うが、やれることは全てやった。だから、もうこれ以上は何も出来そうもない。


 中には何人か信じてくれる人もいるが、実際に神と悪魔の2人と真耶達どっちを応援するか聞かれると、恐らく神と悪魔を応援するだろう。


「まぁ、やれることはやったんだし、明日に全てをかけよう。それに、もう夜の2時だ。今日はもう寝よう」


 光はそう言って部屋を出ようとする。皆はそんな光を見て頷いて寝ることにした。


 ━━次の日……


 朝起きてみるとヒーロー屋のホームページがすごいことになっていた。なんと、いくつものコメントが来ている。


 どれもこれも真耶達を応援するというものだ。


「これって……」


 さすがに彩音もその状況に頭が追いつかなかった。昨日までは反応が0だったのに、次の日になって突然数百を超えている。


「こんなことあるのか……?ん?」


 その時、ふと真耶の持っていたスマホが気になった。


 かなりの量の通知が来ている。それに、その内容が全て今回のことに関わっていた。


「真耶がなにかしてくれたのか?」


 そう思ってスマホを手に取る。


「ん〜、中が見たいのに暗証番号が分からないなぁ」


「あ、それなら私が分かるよ」


 モルドレッドはそう言って暗証番号を打ち込む。すると、スマホが開いた。


「ありがとう」


 彩音はその通知を全て確認する。すると、中に1つ気になるものがあった。


「会話?真耶は何をしたんだ?」


「もしかしてあれじゃない?このアプリってライブ配信みたいなことが出来るじゃん。多分それだよ」


「あぁ、なるほどね。真耶はそれで皆に呼びかけたのか。凄いな」


 その場の全員はその凄さに感銘を受ける。その時、ふとDM欄に目がいった。そこには真耶のことを心配している文が沢山来ている。


「……」


「……」


「おい、何をしている?俺のスマホは見なくていいから準備しろよ。あぁそうだ、勝手にキッチン使わせてもらったよ」


 真耶はそう言って部屋に入って来た。


「っ!?ご、ごめん!」


「どこにいたんだ?」


 光が聞いてきた。


「トイレだ」


 真耶はそう言ってトイレットペーパーの芯を取りだした。


「あぁそうか……それで、これから何をするんだ?」


「突然だな。とりあえず戦闘の準備をしておいた方が良いぞ。俺はまだやることがある」


 真耶はそう言って部屋から出ていく。その場に残された人達は、真耶の言葉を聞いて準備に取り掛かった。


 ━━一方真耶は……


 再び新宿のど真ん中へと来ていた。


 透明化をして人混みの中をすり抜けていく。真耶の存在に気がつく人は誰一人として居ない。


 そして、真耶は新宿のど真ん中に来て少し上を見つめた。久しぶりの日本。母国でもないのに少し懐かしさを感じる。


 それに、これからこの場で戦いが始まる。しかも2回も。


「……2回……か」


 真耶は小さく呟くとその場を静かに去った。そして、少しだけ高いビルの屋上まで1っ飛びで登る。


「……」


 真耶はビルの屋上から下を見下ろした。その下には人々が行き交っている。こんなところで戦闘をすれば、大勢の人が死ぬ。


「……いや、俺には関係ないか……」


 そう言うが、もし大勢の人が死んだらヒーロー達は悲しむだろう。それに、モルドレッドも悲しみ怒るだろう。


 たとえこの世界が自分とは関係なくても、大切な人を悲しませないためには守るしかないんだ。


「……」


 それから真耶は何時間もシミュレーションをおこなった。どんな風に戦うのか。どうやったら被害を少なくできるか。そんなことをずっと考えていた。


「あ……」


 気がつけばもう7時前だ。そろそろライブ配信をしなければならない。そんなことを思っていると、光達が来た。真耶はそれを見ると小型のカメラを空に飛ばして撮影を始めた。

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