第6話 相撲部との死闘!! そして幼馴染みとは…。

俺と女子達が、相撲部の部室前に辿り着いた時ー。


ドドドドドドドドドド!!!


須毛先輩を始め、相撲部の奴らが、立ち竦むかのんに、突進していく光景を前にして、俺と女子達は目を見張った。


「かのんっ!!」


「「「「「「かのんちゃんっ!!」」」」」」



「も、もっちゃん…!!」


俺は俺を見て、泣きそうな表情を浮かべたかのんの側に走り寄ると、小さな体を抱え上げた。


「お前ら、いい加減にしろ…よぉっと!!」


そして、須毛先輩達が迫る直前で跳躍し、彼らをやり過ごした。


ドドォッ!

「「「「ぶごーっ!?」」」」


須毛先輩達は勢い余ってつんのめって倒れてしまった。


「いでで…!お、お前は、もしかして、突張…なのか?!」


「そうだよ!!かのんは俺の幼馴染みだ!!お前らなんかにはやんねーよ!!」


「も、もっちゃん?!///」


あれ?俺今、なんて言った!?

真っ赤になっているかのんの表情を見て、ハッと我に返った。


「い、いや、今のは、その!///幼馴染みとして相撲部から助けたいって事で、他意はないっていうか…」


慌てて言い訳をする俺の声をかき消すように須毛先輩が吠えた。


「ぬっふうーっ…!!突張め!そんな腑抜けた体に成り下がりおって!見損なったぞ!!

もう、お前など、仲間でも何でもないっ!相撲部から破門だぁっ!!」


「最初からお前らの仲間ではねぇし、部活にも入ってねぇよっ!」


俺は憤怒の表情を浮かべる須毛先輩に突っ込んだ。


「なら、平野さんと我々の仲を邪魔するなぁっ!!」

「そうだ、そうだっ!平野さんは、我々のような体形が好きなんだっ!!」

「痩せてそんなハーレムを作ったお前など、願い下げだぁっ!!」


俺と、周りに居た女子達を見遣って、三人の部員達もそう言い募って来る中、今度は女子達が突っ込んだ。


「私は別に、太ってる体形が好きなワケじゃないっ!」


「かのんちゃんもこう言ってるでしょっ!

空気読めないわねっ!!」

「そうよ!弱ってる女子に体当たりかまそうとする男子と付き合いたいワケないじゃないっ。あと、私達は突張くんのハーレム構成要員じゃないからっ!!」」


「「「「あ、(さっきの突張くんのひどい発言により)私達もハーレム構成要員じゃなくなったから。」」」」


かのん、かのんの友達、星宮さん花澤さん達女性陣の発言により、

相撲部員、俺、双方は大きなダメージを受けえ、床に這いつくばって涙を落とした。


「「「うぅっ…!女子達にすげー怒られたぁ…。」」」


「うぅっ…!ハーレム崩壊したぁ…。」


「ハーレム崩壊しちゃったんだね✨✨もっちゃん、ドンマイっ!」


かのんが笑顔全開で、俺の肩に手を置き、慰めてきた(?)


「あいわかった!ハーレム崩壊したお前は、幼馴染みのかのんちゅわんならワンチャンあるかと、みっともなく縋っているという事なのだなっ?」


「もっちゃん、そうだったんだ…!//」

「ち、ちげーよ!!//」


須毛先輩の状況を曲解した発言に、かのんは目を輝かせ、俺は慌てて否定した。


「我らの、かのんちゅわんにちょっかいを出してくるというなら、容赦はせんっ!

かのんちゅわんをかけていざ、勝負っっ!!」

「「「平野さんは渡さんぞっ!!」」」


ドドドドドドドドドド!!!!


須毛先輩と相撲部員三人が今度は俺に突進してきた。


「…!!チッ!話を聞かない脳筋共が!!

かのん、離れてろ!!」


「あっ!もっちゃん…!!」

「かのんちゃん、こっち…!」


俺は、かのんを女子達の方へ突き飛ばすと、彼女達は少し離れた場所へとかのんを連れてくれた。


揺れる肉の塊…もとい、三人の部員達が縦1列に並び俺に次々と技を繰り出してくる。


「佐藤!行っきまーす!はああーっ!どすこいどすこ〜い!!」


パアンパァン!


相撲部員、佐藤に強烈な張り手を食らわされた!

「がはっ…!」


張り手をされた胸に激痛が走った。


「鈴木!行っきまーす!ふうぅーっ!どすこ〜い!!」

ドオォーン!


相撲部員、鈴木は体重をかけ、俺は後ろに押し出された!

「ぐふっ…!」


押された体がミシミシと悲鳴を上げ、思わずよろけたところに…。


「小林!行っきまーす!ほおぉ〜!どすこおぉ〜い!!」


相撲部員、小林に体に飛び付かれ、俺は床に押し倒された!!


「ごほっ…!!」


「もっちゃん!!」

「「「「「「突張くん!!」」」」」」


心配するかのんと女子達から声がかかるが、

「大丈夫」だという余裕もなく、体がバラバラになりそうな痛みで、俺は床に這いつくばったまましばらく動けなかった。


そこへ、須毛先輩がのしのし地響きを立てて俺に迫る。


「ふっ。突張よ!なんとも無様な事だな。その貧弱な体では、うちの部員達にも及ばないとみえる。」


「くっそー!!」


夏休み前の体なら、あんな奴ら、わけもなく、腹の弾力でぶっ飛ばせたというのに…!


俺は痩せて以来初めて、元の体に戻れたらという思いにかられてしまった。


「俺が出るまでもないと思うが、以前の強さに敬意を表して、我が最大の奥義「合掌捻り」でお前を地獄に送ってやる事にしよう。」


「…!!」


パチーン!須毛先輩が、両手を打ち鳴らし、俺に迫った時…。


「うわあぁんっ!!もっちゃんをいじめるなあぁーっ!!」


ポムッ、バビューン!!


「むっ?」

「ひゃあぁっ?!」


かのんが、泣きながら須毛先輩の腹に足蹴りを食らわせ、その腹の弾力に吹っ飛ばされた。


「「「「「かのんちゃんっ!!」」」」」


「かのんっ!!」


ドサッ!

女子達が悲鳴を上げる中、俺は落ちてくるかのんの体を必死に受け止めた。


「ふうっ。あ、ありがとう、もっちゃん…。」

「かのん!無茶すんじゃねーよ!!」


ホッと息をつくかのんを叱りつけると、かのんは真剣な表情で俺に訴えかけた。


「これは、私が招いた事!だから、私も、戦う!!」


「いや、かのん、私も戦うったってっ…!気持ちは嬉しいけど…。」


小柄で非力なかのんが参戦してくれても、戦力にはならないどころか、足手まといになりかねない。


かのんの申し出は有難いが断ろうとする俺に、かのんはフルフルと首を振った。


「私が戦力になれないのは分かってる。けど、体が軽いなら、それなりの戦い方がある筈。私が、失ったもっちゃんの体重になればいい!!」


「…!!かのん、分かったよ。二人で戦おう!!」

「うん!戦おう!!」

やっと意図する事に気付いた俺は、かのんの手を取り、大きく頷き合った。


「ええ〜!かのんちゃん、戦うの?!」

「その体で無茶だよぉ…!」

「「「「かのんちゃん、突張くん、無事でいてぇ…!!」」」」


心配する女子達は、祈るように手を組み合わせて俺達の様子を見守っていた。


「ぬうっ、卑怯なり!!かよわい女子を盾にしおって突張!!かのんちゃわんを離せ〜!!」

「「「平野さんを返せ〜!!」」」


状況を理解出来ない須毛先輩のうきん達が、俺達に突撃してくる中、俺はかのんを抱え上げた。


「いくぞ、かのんっ!」

「うんっ!もっちゃん!」


ザッ!


そして、高く跳躍すると、まず、相撲部員の黒い三◯星その一の佐藤のお腹に着地し…。


ドガッ!


「ぎゃっ!」


腹の肉の弾力で跳ね返った勢いで、黒い三◯星その二の鈴木のお腹に…。


ドガガッ!!


「ぎゃふっ!」


更に腹の肉に跳ね返され、黒い三◯星その三の小林のお腹を蹴り上げ…。


ドガガガッ!!!


「ぎゃふふんっ!」


「なっ!!?」


三人の腹に跳ね返された俺とかのんは、物凄い勢いで、須毛先輩へと突撃していった。


「「須毛先輩、覚悟ー!!」」


「「「「「「かのんちゃん、突張くん頑張って〜!!」」」」」」


ドッゴゴオーーンッ!!!!


「ぎゃあああああーーーっ!!!!」


女子達に声援を送られながら、俺とかのんは勢いのついた全体重をかけて、須毛先輩を下敷きにし、奴を打ち倒したのだった。


「「「す、須毛先輩が…!!」」」


「「「「「「やったー!!」」」」」」


相撲部員達が愕然とし、女子達が歓声を上げる中、須毛先輩は、倒れたまま、悔しそうに呻いた。


「ぐ、ぐふうっ…!は、腹を蹴るのは…反則だぞ、突張…!!」


「やっかましいわっ!素人相手に4:1で相撲技かけて来たくせに今更反則も何もねーだろが…!!」


俺が言い返してやると、須毛先輩は、衝撃を受けたように目を見開いた。


「た、確かに…!相撲は土俵の上で一対一で行う神聖な勝負…!!俺はいつから、間違ってしまったのか…!」


「うん。『かのんちゅわん』とか言い出したあたりじゃないかな?」

「ぐふぅっ…!!」


悔しそうに床を両拳で殴っていた須毛先輩に、かのんは追い打ちをかける。


「「「ううっ。須毛先輩…!俺達間違っていたんですね…!」」」


相撲部員達も男泣きに泣いていた。


「もっちゃん。相撲部員さん達の為にも、迷いを完全に晴らしてあげた方がいいね?もっちゃん、こっち向いて?」


「??かのん?」


向かい合ったかのんに、両手で頭を正面に向かされ、俺が戸惑っていると…。


ちゅ♡


!!????


気付くと、唇にかのんの柔らかい唇が押し当てられていた。


「かかか、かのんっ?!////」


驚いて離れると、かのんは頬を赤らめてにっこり笑った。


「えへへ。///唇と唇が、私、もっちゃんと付き合う事にします♡相撲部の皆さん、どうもお騒がせしましたっ♪」


「「「「ぐおおおおっ!!がのんぢゅわん〜〜っっ!」」」」


「きゃー!!かのんちゃん、大胆♡」

「アシコイ(『明日君に恋をします』の略称)みたい〜〜!!」


須毛先輩と相撲部員達はその場に崩れ落ちて大泣きをし、女子達は色めき立ち、大騒ぎだった。

         *

         *


それから、泣いている須毛先輩達に別れを告げ、教室へ戻る途中ー。



「もっちゃん、助けてくれてありがとう!もっちゃんは、やっぱり痩せてても、太っててもカッコいいね?どんな体形でもいいから、ずっと一緒にいてくれる?」


上目遣いで窺うようにこちらを見てくる幼馴染みが、今日はやけに可愛く思えて、俺は目を逸らして答えた。


「しょしょ、しょうがねーなっ。ま、まあ、また相撲部員に狙われると厄介だからな。しばらく、つつ、付き合ってやるよ。」

「もっちゃん…!♡」


「「「「「「かのんちゃん、突張くん、カップル成立おめでとう!」」」」」」


かのんの友達と、星宮さん、花澤さん達は俺達を祝福してくれた。


「それにしても、さっきの突張くん、カッコ良かったよね?」

「うん!女を守る男って感じで…!」


「い、いやぁ…。///」


「むっ?💢(やっぱり、もっちゃん、痩せたままだと、女子達の人気が上がって危険?!)

も、もっちゃん、せっかく彼女になったんだし、明日からお弁当作らせてもらってもいい…?」


「え。い、いいけど…。///」


健気にもお弁当作りを申し出てくる幼馴染みに頭を掻きながら答えた。


夏休みに20kg痩せたのは、散々俺をからかっていた幼馴染みを見返してやりたかったからだったが、どういうわけか、幼馴染みは絶望し、相撲部に特攻し、その結果、幼馴染み自身が俺の初めてのになるという奇想天外な結果になった。


全く人生というのは、何が起こるか分からないものだ…。ハーレムは出来なかったが、まあ…、そこそこ?俺は満足だった…。



※ちなみに、その後、かのんの手作り唐揚弁当によって、見事リバウンド。丸々太らされた俺は、かのんに美味しく頂かれましたとさ…。






*あとがき*


最後まで読んで下さり、ありがとうございました✨😢✨


書いている間も楽しかったですし、頂いたコメントが面白過ぎて毎回笑わせて頂いていました😂

キャラに対して、深い分析して頂いているコメントも頂き、そういう見方もあるんだなぁととても新鮮で勉強になりました。


かのんちゃん、痩せさせるわ、太らせるわ、なかなか業の深いおなごですが、

最後太らせてしまったのは、作者的に巨漢の主人公と小柄な女の子のカップリングが好みだったせいであります。


何卒お許し下さいませ…🙏💦💦


来週9/27(水)におまけ話を1話投稿したいと思っておりますので、よければご覧下さいね。


また、他作品ですが、9/25(月)〜

「紅糸島の奇祭」の投稿を再開する予定でして、それについて近況ノートにAIイラスト、手描きイラスト付きの投稿をしていますので、そちらもご興味あれば、覗いて下さると嬉しいです。


今後ともよろしくお願いしますm(__)m







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