第46話 どこまで腐っているのか
そしてソウイチロウ様がシュバルツ殿下と、呼ばれてきた衛兵たちへ睨むように事実を淡々と。まるで子供へ叱るかのように言いつけると、衛兵たちは怯み、数歩後退りする。
衛兵たちはソウイチロウ様の言っている意味を正しく理解しているからこそ衛兵という職につけている訳で、いまここでシュバルツ殿下から下された
しかしながらシュバルツ殿下は、やはりというかなんというかソウイチロウ様の言った言葉の内容を理解しておらず、衛兵たちは逆に顔を真っ赤にしながら数歩前に出てくるではないか。
そもそも、理解していないからこそこのような事を言っているのであろうし、理解しろというのがそもそも無理なのだろう。
王位継承権を持つ者として今までこの事については勉強して来ていない訳がない、むしろ王位継承権を持つからこそ貴族のご子息たちよりも深く勉強している筈なのにこれでは先が思いやられる。
弟であるカイザル殿下が居て良かったと心の底から思える程だ。
「貴様……男爵風情の癖にこの俺に楯突くとは……。これから先貴様は王国内を昼間堂々と歩けると思わない事だなっ!!」
「シュバルツ殿下、それは俺に対しての殺害予告と受け取ってよろしいでしょうか?」
「さぁ、それはどうかなぁ。しかし、そうだな…………お前の隣にいる女を俺にくれると言うのであれば今までの無礼を許してやっても構わないぞ? あぁ、勿論その時は地面に頭を擦り付けるように土下座をしてもらうけどなぁ。どうする? これ以上俺を怒らせない方が身のためだとは思うけどなぁ? お前も死にたくないだろう? 何、女は俺がしっかりと可愛がってやるよ。 中古とはいえこれほどの美しさを持つ女は貴族でもそうそういない。そのような女は俺の元にこそ相応しい、お前もそう思うだろう?」
そしてシュバルツ殿下はわたくしの身体を舐めるように上から下まで眺めると、ソウイチロウ様へ『女を寄こせば無礼を許してやる』と言ってくるではないか。
自分からわたくしの事を捨てておいて、どこまで腐っているのか。
そもそも他の貴族の中でもわたくしが『あのシャーリー』であると感づいている者たちがちらほらといるなか、元婚約者であるシュバルツ殿下がわたくしだと気付けていないとは……それほど婚約者としてのわたくしに興味が無かったという事が窺えてくる。
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