第27話 いざ行かんっ!! ニッポンッ!! 



 そしてミヤーコは心配そうにわたくしの体調を気遣って声をかけてくれるので問題ないと返し、そのままいつも通り着物を着付けてくれるのだけれども、その時にミヤーコがある事を耳打ちする。


「そ、そんな事っ!? ソウイチロウ様に、は、はしたないと思われないかしら……っ!?」

「いえ、むしろ総一郎様にはそのくらいが丁度いいです。あれはあぁ見えて唐変木ですので。さらに言えば奥方様を『異性ではなく子供』だと思っている可能性がでて来ておりますので、ここで奥方様の大人の色気を見せつける事により子供ではないという事をアピールしましょうっ!!」

「そ、そうかしら……っ!?」

「そうです。女は度胸ですよ、奥方様っ!」


 そんな過激な事をして本当に大丈夫なのかと想像してしまい更に顔を真っ赤にしてしまうところで着付け終えたようでミヤーコがわたくしのお尻を『パンッ!』と一発叩き、わたくしの弱気な感情を吹き飛ばしてくれる。


「そ、そうですわよねっ!! わたくし、やってやりますわっ!!」


 そしてわたくしは両頬を二回叩き、決意と覚悟を決めてミヤーコと共に部屋を出る。


 いざ行かんっ!! ニッポンッ!! 





「全員揃ったようだな。ではゲートをくぐろうか」


 ソウイチロウ様が使用人全員揃っている事を確認すると、屋敷の奥の一室へと入っていく。


 その部屋には赤く大きな『とりい』という門が一つあり、ソウイチロウ様曰くこの門は転移門の一種であり、転移される先はソウイチロウ様の故郷である『ニッポン』にある別荘へと繋がっているとの事である。


 いったい『ニッポン』はどのような国なのか楽しみで仕方がない。


 隣国はシュバルツ殿下の婚約者として数か国訪れた事はあるのだが良くも悪くもどの国も帝国と似たり寄ったりであった為、多少の違いはあれど『ニッポン』も似たような場所であろう。


 だからこそ帝国との違いを見つけるとその分新鮮な気分になるものである。


 そんな事を思いわたくしはソウイチロウ様と共に赤い門をくぐる。


「さて、点呼が取れ次第バスに乗り全員で寿司を食べに行くぞっ!! 今日はシャーリーの歓迎会も含めているから回らない寿司屋を貸し切りだぞお前らっ!!」

「うぉぉぉおっ!!」

「寿司だぁぁぁあっ!!」

「ま、回らない寿司ですってっ!? 高いネタばかり食べてやるんだからっ!!」

「まったく、少しは落ち着いていられないのかしら……。でも生魚はなかなか帝国では食べられないですからね」


 そして門をくぐるとソウイチロウ様が使用人たちへ『スシ』を食べに行くぞと叫び、使用人がそれに答えるではないか。

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