第18話 勘弁してください
そしてアンナがそう言いながら薄い板を操作していくと、なんと薄い板の中に動くわたくしが映し出されるではないか。
「す、凄いですわ……」
やはり当初のわたくしの予想通りソウイチロウ様は偉大なる魔術師であるのだろう。
でなければこんなにも凄い魔道具を作ったりできる訳がない。
それに万が一作れたとしても、これほどまでに薄く、小さな板で収まる訳がなく、何十倍、または何百倍の大きさでなければまず出来ないだろう。
「ほら、旦那様も何か言ったらどうですかっ!? 自分の奥さんがせっかく可愛い格好をしているのですから誉め言葉の一言でも言ってあげるべきだと私は思うんですけどっ!?」
「ア、アンナっ!? わ、わたくしは大丈夫ですわっ!!」
そんな事を思っているとアンナがいきなりソウイチロウ様へと話題を振るではないか。
確かに、わたくしが着物というソウイチロウ様の故郷の民族衣装を身に纏った事に下心が無いと言えば嘘になるのだが、だからと言って直接ソウイチロウ様に聞くのは恥ずかしさが勝ってしまう訳で……。
それでもソウイチロウ様の反応が気になったわたくしはアンナに対して『止めて欲しい』とは言えず『大丈夫』とかいう中途半端な感じの言葉を使ってしまう。
「そうだね……。金髪碧眼で顔立ちも整っており顔もお人形のように小さいシャーリーが着物を着ると、まるでフィクションの世界に迷ってしまったのかと勘違いしてしまうくらい現実離れした可愛さと美しさがあるな」
「……え? まさかあの唐変木な旦那様がここまで異性の容姿に対してべた褒めするなんて……やはり旦那様はロリコンなのではっ!?」
「お前が褒めろと言ったから素直に褒めたんだろうっ!? なんでそこまで言われなければならないんだよっ!?」
「あっ! 図星だからってそんなに怒らないでくださいっ!! パワハラで訴えますよっ!!」
「お前なぁ…。まぁ確かに直ぐに褒めなかった俺の落ち度でもあるし、今回はデザートなしで俺への暴言は聞かなかった事にしよう」
「ごめんなさいっ!! 謝りますのでデザート無しはだけは勘弁してくださいっ!!」
ソウイチロウ様がわたくしの容姿を褒めた後、アンナとソウイチロウ様が何やら言い合っているようなのだが、わたくしにはそれらが耳に入って来なかった。
ソ、ソウイチロウ様がわたくしの事を美人で可愛くて人形のような美しさはまるでお伽噺に出てくるお姫様のようだと思ってくれていたなんて……も、もしかしなくてもこれは両想いなのではっ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます