第7話 悪意で陥れた者たちがいる場所


「……してやられたっ!!」


 そしてミヤーコから厳しく現実を突きつけられたソウイチロウ・シノミヤ様はそう言いながら頭を抱えたかと思うと『覚えておけよクソ国王めが……っ』と、いち貴族としてはあまりにも不敬な物言いを呟くではないか。


「まったく、あいつはどうせ俺がいつまでも結婚しない事を心配しての行動であろうが……大きなお世話だっての。あぁ、すまん。あんまりにも衝撃的な出来事に君の事をほったらかしてしまったようだ」


 そのまま数分ほど頭を抱えたまま動かなくなると、現実をなんとか受け入れたのか国王陛下への悪態を吐きながら起き上がり、そしてわたくしがいる事に気付き謝罪をしてくる。


「い、いえっ!! わたくしの方こそ挨拶が遅れて申し訳ございませんわっ!! わ、わたくしは公爵家の娘シャーリー・フェルディナン・ダルトワ。今回シノミヤ家に嫁ぎに来た者でございますわっ!!」

「えーと、シャーリー……で良いかな? シャーリーは俺の所に急に嫁ぎに来いと言われても正直言って嫌だよな? あれだったら俺が掛け合って公爵家に戻れるようにしてやろう」

「………………旦那様、流石に最低というか、馬鹿というかクズというか、現状を把握してなさすぎて私はドン引きでございます」


 ソウイチロウ・シノミヤ様はわたくしに優しい声音で実家に戻れるようにしてやろうかと聞いてくるのだが、それを聞いたミヤーコがドン引きしているではないか。


「な、何故だっ!! この娘も俺の様な得体の知れない男の元へと嫁ぎに行くのは嫌だろうっ!? 常識的に考えてっ!!」

「自分の事を『得体の知れない男』と評価できるのならば、そんな評価をされなくなるように努力しなさいなっ!! そもそも、そういう問題ではないと言っているでしょうっ!? 既に旦那様とシャーリー様は婚姻関係にあり、それにも関わらず嫁いで即座に実家に戻された場合シャーリー様は他の貴族たちにどのような評価をされるのか考えられないのですかっ!? しかも、例え男女の関係になってなくとも婚姻関係を一度でも結んでいる以上、そういう行為をしたと評価される為、旦那様が例え好意で公爵家へ戻したのだとしても、シャーリー様に待つ未来は火を見るより明らかでしょうにっ!! それに、シャーリー様は婚約者から事実無根の嘘をでっち上げられた上に婚約を破棄され、罰として旦那様に嫁がされたのですよ? またシャーリー様を悪意で陥れた者たちがいる場所へと戻すとでも言うのですかっ!?」

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