己を啄む
暗い陽の当たらない部屋を私は毎日最初自身の
フィルムへと刻む。
朝には陽が覗くことない方向の窓から
淡い水色の光が漏れ、
夜には何も見せまいと黒が包み込む。
そんなところから
私のセーブデータがロードされる。
ログインとログアウトを繰り返した私の体は
気だるげに上半身を起こそうとした。
暑くて頭がしっかりとコマンドが反応しない、
私は何時間ぶりに急に動いたせいか腕が痺れて
力が出なくなり、ベッドにもう一度倒れた。
シーツには体の水分がべったりとついており
暑くて気色悪い。
これはさすがにまずいかなぁと思いながら
仰向けに寝転がる。
去年も夏も同じことがあった記憶がある、
その時は幼馴染がたまたま遊びに来たから
どうにかなったんだっけ。
幼馴染とはもう一年も会えてない。
寂しいな、私が何かしたのかな、
ああだめだ、苦しい想いが固まっていないから
心が吐き出してくる。
気持ち悪いよほんと自分が、
幼馴染を見るたびに私は彼に対し
何度も熱を帯びた目で見つめて
何度も甘まったるい問いをかけて
脳の感覚が溺れる醜悪な妄想を繰り返した。
愛故に?情故に?
(やめて、やめてよ、)
それとも.....
「ッやめてよ!!!」
自室に声が響く。
「はあっ、はっ、はぁっ......」
暗く薄赤い光の中で私の鼓動が動いている。
心臓の速度は刻一刻と早くなる、
右の手のひらで首の脈を測った。
夏なのに首がとても冷たい。
『ドサッ』
.....今日も私はいきていた。
10:28 Oxxyさんがログアウトしました。
10:32 Error423さんがログインしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます