第8話 初心者は何をするか分からない人
初心者講習。
俺の副業みたいなものであり一番めんどくさい仕事である。
冒険者としてのマナー、心構えなど基本的な事からダンジョン内の罠の解除方法や看破の仕方などを教えているため勉強になることも多い。
まあ、実際にはメチャクチャなやつが多いんだが、、、
「センセー!つまんないから早くダンジョン行こうよ!」
「そうだそうだ!いつまでも座学で強くなるわけないじゃん」
このように学ぼうとせずに実践に出たがる生徒が多い。
痛い目を見て経験になればいいが、それが原因で辞めてしまった者もいるので一概にどうとは言えないのである。
「・・・なんで実践だと強くなるんだ?」
正直実践で強くなるということはあまりない。
RPGのように経験値とかレベルアップという概念はない。
この世界ではどのように成長したのかというのが強さに直結するのだ。
「何事も経験が大事だから!」
「魔物倒せば強くなれるんでしょ?」
「座っててもつまらないから。」
とんだ勘違い共である。
「・・・少し昔話をしようか。」
「もしかして冒険の話⁉︎」
「まあ、そんな感じだ。今から5年ほど前にな・・・」
そう言って俺は自分の昔話を始めた。
今から5年前。
俺がEランクの時、クエストをこなしていると野太い咆哮が聞こえた。
様子を見に行ってみると、そこには当時Fランクだったガレフがいた。
目の前には Cランク推奨のウインドウルフがいて、今にも襲われそうだった。
俺は自分の力を過信していた事もありすぐさま飛び出して切り掛かった。
歯が立たない。文字通り、切先は弾かれて鎧を一撃で引き裂かれた。
俺はガレフに助けを呼びに行くよう伝えて構えを戻す。
死ぬかもしれない。そう思いながらも俺はがむしゃらに戦った。
10分後、たまたま近くで帰路についていたSランクの冒険者に助けてもらい、怒られながらも帰還した。
その時に聞いたのだが、ウインドウルフは首の根元が弱点らしくそこを切れば子供でも倒せるらしい。
「ということがあったからこそ、知識は必要だと思ったんだ。だからこそこうしてお前らに教えてるってわけ。」
「・・・」
静かになってしまった。
「じゃあ授業を続けるぞ。」
そうして俺は自分の知識を教えるために黒板に向かい、書き出していく。
「でもなんでCランクの先生しか講師やってないの?」
「・・・お前らこの講習いくらで受けてる?」
「あっ・・・」
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