閑話 剛腕の友達

「まったく!次やったら出禁にするからな!」

「はいはい、悪かったよ。」


この町は心の狭いエルフが多い。

普通に飲んでただけなのに絡まれて、少し手を出したらこれだ。


「アイツに会いに行くか。仕事頼まなきゃいけねえしな。」

だが唯一、心を許せるエルフがいる。

初心者講習の時に死にかけてた俺を助けてくれた。見返りも求めずに。


アイツはこの町に来てからいいことが無かったらしい。

仲間に騙されて評判を落とされパーティが組めなくなったり、食い逃げに間違えられてボコボコにされたこともあった。


その時、俺は助けてやれなかった。

ランクも低くて力も無かった。だが、そんなのは言い訳に過ぎない。

アイツは自分が力がなくても、金がなくても、立場が違おうと助ける。


「だからってソロで活動すんなよ…」

パーティに誘った時のことを思い出した。


俺は恩返しもあってその時所属していたパーティメンバーにスカウトしたいと話した。

メンバーからは、「でもCランク止まりなんでしょ?」とか「ああいう事件を起こされるとなぁ」とか、挙句の果てには「エルフは無理」と言われた。

俺は耐えられず「少なくともお前らよりは優秀だぞ。」と言ってしまった。


その後は散々だった。

俺はパーティを首になり、噓の情報で俺とアイツの受けられる依頼をすべて潰されていた。

Aランクになった今ではそいつらはすり寄ってくるが一蹴している。

そいつらにはこう言ってやった。

「俺の友人に失礼なことを言うやつとは仕事できねぇな。」と。



「…いやなこと思い出しちまったな。」

受付嬢から居場所を聞いているので何処に居るのかは分かる。


「酒場に居るみたいだしぱっと飲むか!」


そう言って俺はアイツの、友達がいる酒場に入った。


そして、アイツを見つけると俺は元気よく声をかけた。


「おっいたいた!元気にやってるか?」

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