第5話 ご利用は計画的に

冒険者には二つの仕事がある。

一つは依頼。

カウンターで受注をして依頼書通りに仕事をするのだがいちゃもんを付けられて失敗になることもある。

しかし、ある程度の収入を見込めるので新人などは依頼を多くこなすことが多い。


そしてもう一つは冒険だ。

ダンジョンなどの立ち入りが制限されている所に入り、新しい発見やお宝などを見つけて稼ぐ事ができる。

大半の冒険者はここに挑むことを夢見てなっているらしい。


今日はダンジョンをソロで探索する日だ。

「・・・仲間が欲しい。」

だが、ダンジョンに入るときに気を引き締めなおした。

気を抜いたら死ぬからだ。


「とりあえず今日は5層まで進むか。」

目標を決めたのでゆっくりと進んでいく。


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「疲れた…」

帰路に就く途中、そう呟いた。

ダンジョンでは散々だった。

モンスターに出会ったと思ったら他の冒険者から押し付けられて囲まれるし、お宝を見つけたら盗賊に囲まれる始末だ。

両方とも返り討ちにしてやったが。

「まあ、さすがに低層階じゃ負けないけどな」

そう自慢げに呟いても虚しく響くだけであった。


「では、換金が終了するまでお待ちください。」

ギルドで報告や納品などを済ませた俺は飯を注文しながら待っていた。

「よう!お疲れさん!」

「…何の用だ。ガレフ。」

「いやぁ…その…謝罪にな。」

「謝罪?…まさか!」

「ああ、今日の押しつけは俺らの弟子たちだ。」

「…ちゃんと注意しとけよ。」

「分かってるよ。お詫びと言っちゃなんだが飯奢ってやるよ。」

「ならいいよ。ありがとな。」

そう言うとガレフは俺の席に着いた。


食事が届き、食べていると4人組がこちらへ近づいてきた。

「すいません…ハーリットさんですか?」

「なんだ。」

「今日はすいませんでした!」

「押し付けの件か。ガレフにも謝っとけよ。」

「いえ、それもなんですが…」

「何口ごもってるんだ?」

「そのぉ…俺らが押し付けた分の魔物のお金を頂けないかなって。」

「冗談にしては随分とふざけた要求だな。」

「…ハーリット。すまねえが渡してやってくれないか?」

「……事情は?」


話を聞くと彼のパーティメンバーの一人がかなり重い病気らしく、助けるための薬が高価で今日のような無茶をしたらしい。

「いくらだ?」

「……え?」

「その薬はいくらだって聞いてんだよ。」

「大体このぐらいです。」

「高えな。…ほらよ。」

そういって俺は懐から言われた金額を出す。


「こ…これは?」

「報酬を譲渡するのは手続きが面倒なんでな。俺個人から渡す分には問題ない。」

「…!ありがとうございます!」


報酬を受け取った後は宿に帰ってゆっくり寝た。

ちなみに総額でマイナスだったので次の日は壁の修理のバイトを受けて腰をやったのはここだけの話だ。


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