第11話 愛しいあの子に相応しい男性を

わたしは滅多に許されないと思った里帰りを申請したがあっさり通った。ジャンヌと武勲(?)をあげているので数時間くらいなら許されるらしい。

家に帰ってはて、そういえば、お父様の顔はというと

「よく帰ってきたね!しかし少しだけだよ、私の愛しい娘!それに世話になってるねジャンヌ!」

アキラのパパだった。

自分がアキラなのだからこういう展開もあるのか。

ん?ということは、いままで仕事や夜会が忙しいとされている我が伴侶の両親は、転生というか異世界での実の両親たちでは?

アキラの容貌になってから女の大変さを色々知って時にはジャンヌに寄りかかってきたけれど。

ジャンヌ、ほんとありがとう。

そして、アキラパパ久しぶり。いつぶりでしょうか。

とりあえず

「ねえ、お父様。わたし街が見たいのだけれど」

「だめだぞぅ」

即答。

「なぜ」

「風の噂でお前が妊娠しているとか、屋敷の者に伝えずになぜか海に行ったとか、色々聞いているぞ。おまけに妄言ではないが、カナデ。お前とジャンヌの言葉にアキラ君が何やら企んでいるようだ」

「そうですね、それはまだ、そのう、伝えるべきではなかったかも知れません。わたしの責任です。申し訳ございません」

「そこまで他人行儀になることはない。嫁いでも、可愛い娘だ。ところで、その、世継ぎはどうだ」

「それも正直に答えると、アキラ様には、私の心の準備が整うまで待ってもらっています」

「なんと!では懐妊の噂はデマか!」

アキラパパ、本気で考えていたらしい。申し訳ないがアキラ本人も決して夜遊びしているわけではないが日夜いろんなものを研究していてお忍びで外にいるので。夜間見かけないのである。

その間はジャンヌとカードゲームをして遊んで疲れたら寝る。ジャンヌはいまだに太もものスリットにナイフをハーネスで吊ってはいるが、人を害したことは一度もないらしい。良かった。

そして、寝てもいいと言っているのに寝ずの番。昼間に睡眠を取ってもらっている。

「ならお父様、一つだけ願いを聞いてください」

手を組んで祈りのポーズを取ってみるが効くだろうか。

「なっ!カナデ様?!」

未来を予知したジャンヌがうろたえる。

「どうかジャンヌに星の末裔の伴侶を紹介してください!」

「かなでさまあっ!」

恥ずかしさにジャンヌが若奥様呼びできなくなっている。

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