第7話 魔法2

 昼食後、城の裏にある池に来る。

 池の奥には低く小さい滝があり、距離も長過ぎず、短すぎない。

 丁度いい距離感だ。

 池の水があるから、水魔法も火魔法も練習し放題だし、万が一火が暴走しても安心!


 早速、水や火を滝に向けて飛ばす。

 しかし、滝まで届くことなく池に全て落ちる。

 夕方まで練習し、やっと滝にあたるようになった。

 しかし、当たるだけだ。


 翌日、朝食に出るパンを持って池に来て練習する

 水魔法と火魔法は生活のためだけじゃなく、攻撃出来る魔法にもしたい。

 一度使った魔法は頭で考えると簡単に使える上に、練習を重ねると使いたいと思った通りに魔法が出せる。

 しかも、威力が増している。


 やばい、天才になった気分になる。

 勿論、そんな事はないが。


 今日は回復魔法を飛ばす練習をする。

 飛ばしたい所へ、飛んでいくイメージをして回復魔法に風魔法を加え飛ばす。

 白い光が飛んで池に落ちる。

 回復魔法を飛ばせなかったら、威力が増した水魔法や火魔法を使えない。


 なぜなら、威力が増して滝や周りの岩が崩れたら修復しないといけないからである。

 優先順位は回復魔法を遠くまで飛ばせるようになることだ。

 これが出来るようになったら、どこを壊しても安心である。


 何時間練習したか解らないがお腹が空いたので休憩することにした。

 持ってきたパンを食べ、水は自分で出して飲む。

 水魔法最高。

 考えたら火魔法でパンも焼けんじゃない?


 夕方まで練習し、回復魔法を滝まで飛ばす事が出来るようになってきた。

 その後も毎日、回復魔法と水魔法、火魔法を練習する。

 今では水鉄砲や火球を飛ばして、崩れた滝や岩は回復魔法で修復するというスタイルが定番となっている。


 飛ばす事は出来るようになったから、次は水柱や火炎放射を滝にぶつけていく練習をする。

 空にも打ち上げてみる。

 ヤバッ!

 思った以上に高く水柱が上がった。


 誰かに見られるとやばい。

 魔法が使えることを話すつもりはないからだ。

 拘束された時に、魔法が使えなくされるかもしれないからな。

 いつでも、何処でも逃げられるようにしておかないと!


 あれから一か月魔法の練習をし続け、かなり上達したと思っている。

 魔法が上達してきたら面白い。

 なので、変な考えも起きてしまう。


 このままこの世界で生きていってもいいなと。

 そうなると、いつまでも王宮で暮らすことは出来ないだろうから仕事を探した方がいいのか?

 この世界を知る為に町に行ってみるか。


 一旦部屋に戻り、携帯電話のカバーポケットに10ザラールのお札を一枚入れて、上着の内ポケットにしまい、城門に向かう。

 門を出ようとすると、門番に止められた。

 通行許可書の提示を求められる。


 通行許可書?

 考えたら王宮だし、誰でも出入り出来る訳ないよね。

 仕方ない。

 サルナスの所に向かう。


 騎士部棟のサルナスの部屋を訪ねてドアを開ける。

 「サルナス、通行許可書を頂戴」

 「……」


 サルナスは『また呼び捨て……』と、思ったが顔には出さずゆっくり立ち上がり、笑顔でゆきに頭を下げる。

 大人だ。


 「町に行こうと思ったのに、通行許可書がないと門から出られないって言われた」

 「町ですか。少しお待ち下さい。通行許可書をお持ち致します」

 そう言って部屋を出て行った。


 サルナスの部屋を見渡す。

 魔法書がいっぱいあるな。

 本棚に近付き背表紙を見渡す。

 ん?


 一冊の本を手に取る。

 魔法陣で武器が出せるの?

 こっちは魔法が強化される魔方陣だ。

 色々あるな。


 使えるかも知れないので携帯電話で写真を撮っておく。

 他の本も捲って見ているとノックして、中野充と山形美緒の二人が入って来た。


 振り向き二人を見て絶句する。

 山形美緒がドレスの裾と袖を切って着ているからだ。

 そして、ここに来た時よりかなりふくよかになっている。


 「その恰好は?」

 恐る恐る聞いてみる。

 「切ったのよ。ドレス重いし、長くて動きにくいし」

 ドレスもだが、あんたの体系もね。


 「何枚か切ってみてこれが一番良かったのよね」

 えっ!

 何枚も切ったの?

 あの高価なドレスを?


 後で問題にならないといいけど。

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