第5話 孤独の人

君は空を知っている

 だけども飛ぼうとしない


君は地を知っている

 だけども走ろうとしない


君は人を知っている

 だから人を信じれない


飛んでも良いのよ?

 走ったって良い


君は首を振る


一度高さの、速さの恐怖を知ったから

 だから飛ばないんだ。走らないんだ。


走らないと追いつかないのに

 それを承知で走らない


君は永遠にまま

 皆が走って飛んでいる中歩けば


でも貴方は知らない

 歩かないと判らない季節の機微や風のそよめきを


走ると忘れてしまう思い出も

 飛ぶと落としてしまう悲しさも


好きこのんで歩いている訳ではないけれど

 歩くことは何も悪いことではないのさ

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