第4話:加護
目が覚めた。周りを見ると自分の部屋にいる。
さっき俺に何があったんだ?
「ずきっ……」
起き上がると突然頭が痛んだ。
そうだ、俺は魔法を勉強していた途中で原因もわからず倒れてしまった。
それはいったい……。
―――とんとん。
いきなり誰かがドアをノックした。
「シルイド様、もう昼ごはんの時間です」
「はい、今すぐに食堂に行く」
「それでは失礼します」
メイドはその場を離れた。
部屋を片付けて昼メシを食べに行く。
なぜ自分が倒れたのか理由がわかっていない。けど、魔法ができたのを思い出すと嬉しかった。
ダイニングに着くと、父さん母さんと兄さんたちが待っていた。
「お前は遅すぎだぞ」
と、文句を言ったクルヘーム。
クルヘームは母さんと同じく金髪碧眼、それは母さんから遺伝したようだ、イケメンと言える。クルヘームは魔法の才能がないけど、剣術に精通している。
「すみません」
早く自分の席に座った。
「なぜこんなに遅くなるのだ、シルイド?」
「申し訳ありません、父さん。本を読んでいる途中で寝落ちしてしまいました……」
嘘をついた。
「そうだ、お前が書庫から持ち出した本はなんだ?」
「下級雷魔法の教本です」
―――っ!
突然に背筋がぞっとした。
クライードとクルヘームからは俺に対する殺意を感じた。
「シルは文字を読めるのか?」
「少しです、母さん」
「すごい!シルはまだ三歳なのに文字を読めるなんて」
やべえ、殺意がますます強くなっている。
「じゃあ、シルイド、お前はもう雷魔法ができるのか?」
「いいえ、まだできません」
「そうか……」
父さんは落胆したようだ。でも、クライードとクルヘームは俺が雷魔法をできないと聞いてほっとしたようだ。
すまない、父さん、俺は嘘をついた。
「まあ、五歳になり洗礼を受けたら魔法適性を測定できる」
この医療技術が未発達な世界では、子供の五歳の誕生日はとても大切な日だ。
多くの子供は五歳まで生きられないから、五歳になると、教会に行って洗礼を受けなければならない。洗礼を受けたら魔法適性、魔力値や固有スキルなどを測定できる。
……いやいや、洗礼を受けたら俺は魔法ができることが暴露される!
「はい、父さん……」
どうしても洗礼を受けたくない!
❖❖❖
部屋でうろうろと歩き回って、どうすればいいか考えている。洗礼のことに不安を感じる。
自分の能力値も、神様の加護の効果も、綾可がどこにいるのかも全然わかっていない。このままじゃいけない。しかし、いくら考えても見当がつかなかった。
いや、落ち着け、シルイド。きっと解決方法がある。
……まず洗礼の情報を収集しなければ。
と、思った俺は書庫に行き、洗礼についての本を探した。三十分ぐらいかかり、やっと見つけた。
本を開けて読んだ。
「洗礼については、子供が五歳になると教会に行き、神様に健やかな成長を祈りながら、司祭は【鑑定】という魔法を発動して子供の能力値を明らかにします……」
なるほど、【鑑定】を発動して自分の能力値をあきらかにするのだな。
それから魔法教本の中で【鑑定】という魔法を探した。
「あった!」
ついに下級無魔法の教本の中で【鑑定】を見つけた。
自分には無魔法の適性があるかわからないが、とにかくやってみよう。
【鑑定】って、人の能力値を鑑定する。
「無よ、すべてを見抜いてくれ、【鑑定】!」
すると前に半透明な画面が現れ、脳内にシステムのような音が鳴り響く。
『スキル【無魔法:下級】を習得しました、おめでとうございます』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【シルイド・ウィーロス】
レベル:1 HP:25/25
称号:異世界転生者・神の使徒・ウィーロス家の三男
年齢:3歳
性別:男
【魔法】
魔法適性:水・炎・木・土・風・雷・無・光・闇
MP:5/6
【固有スキル】
言語理解
神剣召喚
スキル創造
雷魔法:下級
無魔法:下級
【加護】
創世の神の加護
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自分の鑑定を見て俺の魔法適性は全属性じゃない!それに固有スキルの【雷魔法:下級】と【無魔法:下級】はわかるけど、【言語理解】、【神剣召喚】と【スキル創造】はなんだ?
創世の神の加護をタップすると効果が示された。
「創世の神からもらった加護です。効果は全属性の魔法適性、特別な固有スキル【言語理解】、【神剣召喚】と【スキル創造】をもらうことです」
【言語理解】をタップした。
「創世の神からもらった固有スキルです。効果はすべての言語を理解できることです」
なるほど、俺はこの世界の言葉がわかるのは【言語理解】のおかげだ。
そして【神剣召喚】って、まさか綾可!?【神剣召喚】をタップした。
「創世の神からもらった固有スキルです。効果は神剣 綾可を召喚できることです」
これを見て感動したけど、この鑑定画面を人に見せたら、それはちょっとチートすぎる。
【スキル創造】をタップした。
「創世の神からもらった固有スキルです。効果はスキルを創造できることです」
【スキル創造】の効果を見て胸を撫でおろした。助かった、神様。と、心から神様に感謝した。
「スキルを創造しよう」
【鑑定隠蔽】、効果は鑑定画面を隠蔽できることです。確認を押し、頭の中にシステムのような音がまた鳴り響く。
『スキル【鑑定隠蔽】を習得しました、おめでとうございます』
そのために鑑定画面を改修した。
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【シルイド・ウィーロス】
レベル:1 HP:25/25
称号:ウィーロス家の三男
年齢:3歳
性別:男
【魔法】
ない
【固有スキル】
ない
【加護】
ない
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よし、これで問題ない。
さて綾可を召喚しよう。とてもワクワクする。
確認を押すと、宙に強烈な光が現れた。
光が少女となってしずかに床の上に降り立った。
「……えっ?」
でも、その少女は一糸も纏わっていない。顔を赤らめてすぐに目を逸らした。
「ご主人様!!」
いきなり少女は俺に抱きついてご主人様と呼んだ。
「えっ?ええええええええええー?!」
いや、彼女は誰?と、心の中で叫んだ。
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