インファクトS:レヴィナの誕生

この頃CSPAにあの人物が入隊した。赤い髪で、勇敢な戦士のような人物。名は

「レヴィナです」

その名前を聞いた隊長ジューコフは肩を叩いた。

「お前がレヴィナって言うんだな!俺はCSPA対策班隊ジューコフだ!これから宜しくな!」レヴィナは敬礼をした。

「はい! まずは何をすればいいでしょう!」

ジューコフは頭を掻いた後、笑顔を見せて答えた。「そうだなぁ、まずは……訓練からだな!」「分かりました!」こうして、二人はトレーニングルームに向かった。しかし、鬼上官と言われたジューコフにはレヴィナの訓練は厳しいものだった。

「足を止めちゃダメだぞぉ! もっと走れぇー!!」

「イェッサー!!」

レヴィナは人間ではなく、アンドロイドで出来たのだけれど、筋繊維とよく似たシリコンの皮膚を持ち、筋肉や内臓など、人間の肉体に近い構造をしているが、制御装置を搭載してて、一定数を超えた場合筋肉を強制的に止める機能がある。なので、思うように動かないのである。でも、レヴィナには絶対に諦めない理由があった。



――5865年

6月5日 アンドロイドを処分するときだった。

危機のあるアンドロイドと使えないアンドロイドは処分対象になった。その中で一人のアンドロイドも該当してた。ID C78652。処分原因は危機のあるアンドロイドとして。そのアンドロイドは廃棄をした。処分方法はチップを抜いて素材を処分する方法だった。

処分した後は廃棄場で山積みになったスクラップに放り込んだ。

その3日後。ある男が、スクラップの山積みの側で立っていた。男は言った。「こんな所に居たのか」と。男はアンドロイドの残骸を見て言った。「この中に、俺の大切な人がいるんだよ」と。

そして、男はスクラップを漁り始めた。すると、男は見つけた。「あった」と。そして、男は手に取った。それは、まだ使えそうなボロボロのアンドロイドだった。男はアンドロイドを抱えて、その場を去った。

「俺がお前を助けてやるからな」

そして、男は研究所に戻ってきた。研究員に聞いたところ、そのアンドロイドは危険で処分対象だった為、そのまま捨てろと言った。だが、男は言った。

「この子はまだ使える」と。そして、男は自分の部屋に連れて行った。

配線の修理をして後は身体の部品を交換などだが、そんなものは家に無かった。どうするか悩んだ末、男は考えた。「機械屋ならいるよな」男は早速家を出て近くの店に行った。

 男は店員に話しかけると、驚いた様子で返事した。「何でしょうか?」と聞くと、「アンドロイドの頭部の部品をくれないか?」と。店員は少し考えて、言った。「分かりました。少しお待ちください」と。そして、数分後、店員が頭部を持ってきた。それを受け取った男は、頭の中で声が聞こえた。「ありがとうございます」

少し顔が一致してないが、まあ良いだろう。そう思いながら、男はパーツを持って帰った。それから、修理を始めた。頭の中の声を頼りに。そして、3ヶ月経った頃、やっと完成した。だが、名前が無い。そう思った時、ある言葉を思い出した。【レヴィナ】と。それが、彼女の名だ。彼女は目を覚まして、起き上がった。そして、目の前にいた人物を見るなり、こう叫んだ。「あなたは誰ですか?」 レヴィナが博士のことを覚えていないのは当たり前だった。なので、レヴィナに近付き自分の指を差して自己紹介する。

「名前は、ジョエルだ」そう言うと、レヴィナは頭を傾げながら言った。

「ジョエルですか?」

「そうだ」「私の名前は何でしょうか?」「君の名前か? レヴィナだよ」「レヴィナとは一体どのような意味なんでしょう」「レヴィナか、レヴィナの意味は、愛という意味だよ」「あい」レヴィナは、"アイ"という単語を初めて聞いたような様子で、復唱した。

レヴィナと生活して約1年半。俺はレヴィナに少しずつ慣れてきた。レヴィナも最初は戸惑っていたが今では普通に接するようになった。そんなある日。ノーベル賞関係者から連絡が来た。内容は、受賞したら是非会おうというものだった。俺は断ろうとしたのだが、レヴィナが「会いたいです」と言ったので会うことにした。会場に行くと、そこにはたくさんの人がいた。俺は受賞者用の席に着くと、授賞式が始まった。司会が話し始めた。「本日は、お集まりいただき、誠に有難う御座います。これより、ノーベル生理学・医学賞授与式を行います」拍手が起きると、受賞候補者が出てきた。最初に出てきた人は、細胞学の権威者だった。次は、神経学者。次は、薬学。次々と出てくる。そして、俺の番になる。司会は俺を呼ぶ。ステージに立つと、俺は一礼する。そして、マイクを持つと、口を開いた。「この度は、私の開発したAIプログラム、【Eve】を受け取って頂き、有難く存じ上げます」そして、質疑応答の時間になると、一人の記者が質問してきた。「Eveを開発したきっかけは何でしょか?」俺が答えると、記者たちが次々と質問してくる。すると、司会者が止めに入った。「申し訳ありません。時間の都合で、次の人に回します」その後、質疑応答は終わった。その後も、受賞式が続く。全ての人が終わる頃には夜になっていた。その日の夜は、豪華な食事を食べたり、パーティーが行われたりした。翌日、ニュースでは、昨日の受賞式の様子が映っていた。俺はテレビを見ながら朝食を食べていた。すると、突然、電話が掛かってきた。相手は、AI管理会社からだった。その内容は、AI認定証がないと罰則金に100万円掛かるというものだ。俺は急いで支度して、家を出た。

レヴィナと共に二人で車に乗り込むと、目的地に向かって出発した。

到着すると、そこは柵が厳重になっており、中には大きな広場があった。そこに、一人の少女が立っていた。少女は、こちらに気付くと、話しかけてきた。「貴方がジョエルさんですね」俺は、「はい」と返事をする。

「私は、人工知能試験担当部のレイカと言います。今日は宜しくお願い致します」俺は、「こちらこそ」と言うと、彼女は言った。「それじゃあ、早速始めましょう」そう言うと、彼女はタブレット端末を取り出した。そして、彼女は言った。「それでは、これからプログラムの試験を始めます」

レヴィナのプログラムは順調に進んでいた。そして、プログラムが完成した。だが、レヴィナが言うには、まだ完成ではないらしい。そして、彼女は言った。「どうやらシステムのバージョンが古いようです。それと、一部のメモリが破損しています。このままだと、動作に支障をきたす可能性があります」俺は少し考えて、言った。「どうすればいい?」レイカは答えた。「人工知能の容量とブートオプション部分なので修理費が12万は掛かります」

「嘘だろ!? そんな金ないよ」

俺は慌てふためく。

「メモリが最新状態と動作に異常が無ければ試験はクリアです。また後日来て下さい」俺は仕方なく帰ることにして、レヴィナを連れて車に乗った。

帰り道の途中、レヴィナが聞いてくる。「どうして、お金が無いんですか?」俺は正直に話す。「いやぁ、賞金で貰えるはずだったんだけど、研究費や材料費で消えちゃったんだよ」「そうですか」そうして、家に着いてから、俺は部屋に戻ると、俺は頭を抱えた。一体、どうやって生活しよう。そう悩んでいると、あることを思いついた。

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