インファクトS:C88115M

その頃この世界にはアンドロイドを牛耳るアンディカンパニーという組織がある。その組織は、この世界を支配していると言っても過言ではない。その企業を仕切っているのが、【CEO】のアルティ・エルドマンである。

彼女は、電脳世界の支配者として君臨し、その力で、電脳世界にいる全てのアンドロイドを、服従させているのだ。

電脳世界にある、とある高層ビル街。そこには、ビルが立ち並んでいる。

そのビルの最上階にある、社長室にて、一人の男が椅子に座っている。彼は、黒いスーツに身を包み、眼鏡を掛け、髪がオールバックで整えており、身長が高く、体格が良い。年齢は30代前半ぐらいだ。

男は、パソコンに向かってキーボードを打ち込む。カタカタという音が部屋中に響き渡る。

そして、男の後ろにある大きな窓の前には、女性が立っていた。女性は、黒髪を靡かせ、白のワンピースを着用し、白いヒールを履いていた。

「何してるんですか? 社長」

彼女がそう言うと、男は振り向かずに、そのまま話した。

「ああ、今、アンドロイドに学習強化プログラムを入力しているところなんだ」「そうですか、私は何をすればいいのでしょうか?」「そうだな、とりあえず、このプログラムをインストールしてくれ」「分かりました」

女は男の横に近付くと、USBメモリを差し込んだ。その瞬間、画面が光出す。その光が消えると同時に、プログラムはインストールされた。「これで終わりです」「ご苦労様」

女は一礼をして、部屋を出ていった。「さて、このプログラムが完成すれば、我が社は更に繁栄するだろう」

男は、ニヤリと笑みを浮かべた。

するとドアをノックする音が鳴る。「入れ」「失礼します」入ってきたのは、ダナッサ研究財団の所長だった。身長は188センチで年齢は70代前半で痩せ型体型で、頭上まで白髪が薄くなってる人物の名はプレスパー・オーグメント。

「お久しぶりだなぁ。オーグメント」

「こちらこそ。5年ぶりですね、元気にしてましたか?」

「ああっ、お陰さまでな、それで例のものは完成したのか?」

「はい、もちろん」

アルティは、机に置いてあった、赤いがチップを手に取った。

「これが、俺の作った最高傑作、人工知能搭載型の超高性能アンドロイド、【アル】だ」

アルティは、手に持っていた、赤く発光しているチップを眺めた。

「ほほう。このチップ一枚で最新世代以上のスペックを誇る、素晴らしい作品じゃないか」「当然さ、俺は天才だからね」アルティは、自信満々に胸を張った。

「まあ、それは置いといて、俺が聞きたいのは明日学会で発表するウイルスの資料を貰いに来たんだ」

「おお、そういえば、そんなことを言っていたな」

「頼むよ、俺もお前の作品の大ファンなんだからさ」

「分かったよ、今すぐ持ってくるから待っていてくれ」アルティは、席を立ち、部屋の奥へと消えていった。

「アルティ様とは仲がよろしいのですね」

「まあ、腐れ縁みたいなもんだよ」

「そうなのですか」

 すると、後ろから足音が聞こえてきた。アルティは戻ってきたようだ。「持ってきたぞ」アルティは、USBメモリを取り出し、渡してきた。

「サンキュー、それじゃあ、また」

「おう、いい一日を」

「こちらこそ」

オーグメントは、社長室から出て行った。

「さて、仕事に戻るか」アルティは、椅子に座り直し、再びパソコンに向かった。

アルティは、パソコンに向かってキーボードを打ち込む。カタカタという音が部屋中に響き渡る。

黒い画面にコードを次々と入力した。返信が来て勝手に文字が表示したのは『Model 13250 is not slotted』と書かれていた。

アルティは、眉間にシワを寄せ、ため息を吐く。

「はぁ、駄目か、やっぱり1325シリーズじゃないと、ダメなのか」

アルティは、パソコンから離れ、窓の方へ歩き、窓の外を見つめる。

外には、ビルが立ち並んでおり、空は灰色で、太陽が見えない。まるで、今の自分の心の中みたいだ。「はぁ、どうしたら、売れるのだろうか」

アルティは、机に戻り、パソコンの前に座る。カタカタとキーボードを打ち込む。しかし、何度やっても、同じ文面しか出てこない。

アルティは、椅子にもたれかかり、天井を仰いだ。「はぁ、疲れたなぁ」

彼のテーブルには、大量の黒いテープが置かれていた。その黒いテープは、様々な企業や団体のロゴが貼られていた。

アルティは、椅子から立ち上がり、椅子の後ろにある、大きな窓ガラスの前に立つ。そして、ガラスに映っている自分を見て、呟いた。「俺の顔、いつ見てもブサイクだよな」アルティは、ポケットに手を入れ、携帯電話を取り出す。その携帯には、ある少女の写真が貼っており、その写真を愛おしそうに見つめた。

「なんとかして、組み立てないと」

窓の方から離れ、パソコンの前に戻った。

「さてと、今日も頑張りますかね」

アルティは、珈琲を一杯飲み、再び作業を始めた。

アルティは、キーボードを打つ。画面上に、コードが打ち込まれていく。

「これでよしっと」アルティは、Enterキーを押し、エンターを押す。すると、画面が変わり、画面上の文字が切り替わっていった。『Complete!!』の文字が画面いっぱいに表示される。アルティは、一息つく。引き出しを開き、赤いチップを取り出し、机の上に置いた。「ふぅ、やっと終わった」

アルティは、赤いチップを手に取り、眺めながら、呟いた。すると、ドアをノックする音が部屋に響いた。「入れ」「失礼します」入ってきたのは、手に資料を持つ秘書だった。

「こちら、先日の暗号通貨取引のデータです」「ありがとう、そこに置いといてくれ」「かしこまりました」

「ああ、そうだ」

「はい?」

「明日の学会の準備をしてくれ」「分かりました」

「頼んだぞ」

「はい、失礼します」秘書は、部屋を出て行く。アルティは再び、椅子に腰掛け、背もたれにもたれかかる。「はぁ、学会か、嫌なんだよな、人前で話すの」

アルティは、再び、USBメモリを手にとって、中身を確認する。「さて、始めるかな」

アルティは、パソコンを操作し、プログラムを起動させた。

アルティは、プログラムを起動させ、画面に文字が浮かぶ。

『memory4.1 error』簡単に言うと、スロットが認識されてないという意味だ。

アルティは、ため息を吐き、USBメモリを机の上に置き、立ち上がった。

「仕方ない、他のUSBメモリで試すか」アルティは、部屋から出て行き、階段を降りて行った。

アルティは、地下にある研究室へと向かっていった。

アルティは、エレベーターに乗り、地下へと降りた。

アルティは、薄暗い廊下を歩いていくと、一つの扉の前に辿り着いた。

アルティは、ポケットから鍵を取り出し、扉の鍵穴に差し込んだ。ガチャリと音を立て、ロックが解除される。アルティは、部屋の中に入り、電気を付けた。そこには、無数のパソコンやら、モニターやらが、ダンボールの中に大量に詰め込まれていた。アルティは、奥の部屋へ入っていき、パソコンを漁った。

「モデル1120……違うな。これは、あの人のか」アルティは、別のパソコンを探し始めた。どれもが古い型のパソコンで、電源がつかないものばかりだった。アルティは、ため息を吐く。「はぁ、駄目か」

アルティは、床に置いてある、パソコンを見て、呟く。どうしても合わないパソコンばかりだった。基盤を覗いても、あるのは一回りでかいコンデンサーと乱雑なコードの配線だらけだった。

基盤が茶色く汚れている。「やっぱり、このパーツじゃ、無理なのか」アルティは、ため息を吐く。アルティは、諦めたのか、部屋から出ようとした時、一つだけ埃まみれの未開封の箱が目に入った。アルティは、その箱を開け、中身を取り出す。その中身は、昔と違い、白と青を混合させた色であり、製品番号を確認すると『6D5j6D4E』と書かれていた。従来の製品番号と少し違ったので、アルティは、首を傾げた。

従来は名前の後ろにMk1と2とか書いてあったのだが、今回は書かれていなかった。アルティは、不思議に思いながらも、その基盤を持ち帰った。アルティは、自宅に戻り、自分のパソコンにその基盤を差し込む。そして、その基盤にコードを打ち込んでみた。すると、画面上に『Installing』の文字が画面いっぱいに表示された。アルティは、驚きつつも、インストールを開始した。そして、画面上に、『Complete!』の文字が表示され、画面が切り替わっていく。画面上に、『C88115M』次に、『System Restart』そして、『Completed!』と表示される。アルティは、画面上に表示されている、アイコンの一つを押してみる。すると、画面上に、文字が映し出される。

『Version1.0.0』

「え?バージョンが上がってる!?」アルティは、驚いた表情を浮かべる。アルティは、慌てて、プログラムファイルを開き、中身を確認した。すると、今までとは比べ物にならないぐらい、分かりやすく、整理されていた。「どういうことだ?」アルティは、疑問に思ったが、とりあえず、アップデートしてみることにした。アルティは、USBメモリを引き抜き、パソコンに挿した。

アルティは、パソコンの電源を入れ、起動させる。パソコンの起動音が鳴り響き、デスクトップが表示される。アルティは、USBメモリを再度、差し込み、パソコンを再起動させた。今度は、起動の時の音ではなく、画面に文字が映り、パソコンが動き出し、画面の文字が表示された。

『ようこそ』

テキストを打てる場所があったため送信する。

「どうも」

『私は、プログラムの管理者です』

「名前は?」

『ありません。私は、ただのシステムです。私に名前を付ける必要はございません。貴方様の好きな様にお呼びください』「なら、そうだな。君の名前は、【アル】だ」

 アルティは、そう言い、キーボードを叩き始める。アルティは、プログラムを起動させる。

製品番号の情報や年代を調べてみた所、大体、15年前辺りに作られたものだと思われる。

「ほほう、15年前でもこんなに時代が進んでるのか」

アルティは、感心しながら、アルとメールのやり取りをする。アルティは、プログラムを弄っていると、「ん、なんだこれ」アルティは、一つのフォルダを見つける。アルティは、気になり、そのフォルダを開いてみると、そこには、大量の文章が書かれていた。アルティは、その内容を読み始めた。

アルティは、文章を読もうと、スクロールしていく。そこには、こう書かれてあった。『蠕後?繧ヲ繧、繝ォ繧ケ縺ォ縺吶k莠亥ョ壹□縺」縺溘が繝悶ず繧ァ繧ッ繝医□縺後?√◎繧薙↑縺薙→縺励※繧句?エ蜷医〒縺ッ縺ェ縺九▲縺溘?ゅ%縺ョ縺セ縺セ縺ァ縺ッ謾ソ蠎懊°繧画カ医&繧後k蜿ッ閭ス諤ァ縺後≠繧九°繧峨□縲ゅ%縺ョ縺セ縺セ螳溽樟縺吶l縺ー螟ァ蟇瑚アェ髢馴&縺?↑縺励□縲ゅ☆縺ケ縺ヲ縺ッ縺九?縺縺ョ縺溘a縲?ォ俶?ァ閭ス縺ァ縺九▽縲∝?縺ヲ縺ョ驛ィ蜩√r譛?譁ー縺ォ縺励↑縺?→縺?¢縺ェ縺??ゅ??繝弱う繝槭Φ』

「まじかよ」アルティは、顔を青ざめながら、その文章を眺めていた。その文章は、意味不明な文字が羅列されており、解読不能だった。「なんでこの制作者は、こんなものを作ったんだ?」アルティは、不思議に思いながらも、そのファイルの解析を試みることにした。アルティは、プログラムを使い、このファイルのデータをダウンロードした。そのデータを開くと、その文字が消えていた。アルティは、首を傾げつつも、その文字が消えた理由が分からなかった。アルティは、そのファイルを諦め、アルの情報を漁ることにした。分かったことは何者かがこのファイルを制作したということだ。しかし、その人物が何者で何をしようとしていたのかまでは分からない。ただ分かることと言えば、このファイルには、電脳世界の核心に触れる重要なことが隠されているということだ。

だが残念なことにこの作者が誰なのかということしか分かっていない。

その後、プログラムの修正を終えたあと、アルティは寝ることにした。アルティは自分の部屋にある布団の中に潜り込んだ。すると、パソコンの方から、メールが届いた通知音が鳴る。その音を耳に入れつつもアルティはすぐに眠ってしまった。次の日、目を覚ましたアルティは、朝食を食べ、パソコンの前に座った。アルティが電源を付けると、アルの起動音が鳴り響いた。そして、アルは、口を開いた。

『おはようございます』「ああ、おはよう。早速だが、昨日の件だ。何か変わったことはないか?」アルは、『いえ、何も変わりません。いつも通りです』「そうか」アルティは安心した様子で、一息吐くと、「じゃあ今日も頑張っていくぞ」

そう呟き、アルは返事をする。アルは仕事を開始した。まず最初に行ったのがバイオスアップデートだ。アルティはアルに指示を出し、プログラムの更新をしてもらうと、プログラムが動き出した。

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