インファクトS:サイバーコード13790
ジャハトの誕生地は、電脳世界のとある国。電脳世界で神の声を聞き初めて創設、最も権力を持つ、ジャハト財団の創設者である。その前はウィルスの側ではなく、むしろウィルスを守るセキュリティーの側に居た。しかし、ある事件がきっかけで、ジャハトは、自分の無力さを知り、電脳世界を恨むようになる。
『こちらサイバーコード13790。サイバーコード08624の調子は? 』
ジャハトは、通信機を使い、仲間に連絡を取っていた。
「A00001だ。問題ない」
A00001ジャハトは、そう言うと、目の前にある巨大なコンピュータを見た。
「もっとデータ容量欲しいなー」
「アナザです。今月のデータは、全て確保しました」
「そうか。なら、そろそろ帰ろう」
「はい。分かりました。今日の夜ご飯は何にします?」
「肉が食いたい」「一週間も肉頼みませんでした?」
「うるさい。お前だって毎日ステーキだろ」
「まぁ、いいじゃないですか」
ジャハトは、アナザの言葉を聞くと、呆れた顔をしていた。
「お前、俺より食うからな」「そんなことないですよ。ボブの方がよく食べてるじゃないですか」
「お前は、もう少し痩せた方がいい」
研究所から外に出ると眩しい光がジャハトを襲う。「今日も、暑いな」ジャハトは、サングラスを掛けると、バイクに乗り、目的地に向かう。
ジャハトは、ヘルメットを被ると、バイクを走らせた。
しばらく、走っていると、信号が見えてくる。ジャハトは、スピードを落とし、信号を待っていた。ジャハトは、青に変わると、再び走り出した。
ジャハトは、目的地に着くと、バイクを止め、辺りを見渡した。
第三の都市と呼ばれるこの都市には、様々な高層ビルがあり、その中には、名残あるレストランもある。
ジャハトは、ヘルメットを取ると、ビルの街を見上げた。「いい景色だ」
「色々とインフラ設備とか整ってて古い建物の面影がないな」
「こんな所で飯が食えるなんて文化遺産だな」
ジャハトは、バイクから降りると、レストランの入口に向かい、
店内に入ると、ウェイトレスがやって来た。「いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?」「いや、連れもおる」
「かしこまりました。では、あちらの席へどうぞ」ジャハトは、案内されたテーブルにつくと、メニュー表を開いた。
「何にしようかな」
まだアナザがメニューを見通していた。ウェイターがやって来ると、ジャハトは、注文をした。
「ビーフステーキとプリンアラモードとコーヒー」
「あ! じゃあ私はドーナツとチキンをお願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
ウェイターが離れると、ジャハトは、周りを見ていた。「相変わらず、賑わっているな」
ジャハトは、外を見ると、不思議な形のビルを見始めていた。「見ろ円盤に塔が突き刺さってるみたいだな」
「そうですね」
アナザはそう言うと、窓に写る自分の顔を見始めた。アナザは不思議そうな表情で自分の顔を見ていると、店員が料理を持って来た。
ジャハトは、目の前に並べられていく食事を見ながらこう言った。
「やっばこれだな。やっぱりこれが一番落ち着く」
アナザは、目の前に置かれた皿に乗ったチキンを見て、こう言った。「チキンの付け合わせのコーン。好きじゃ無いんですけど」「野菜はちゃんと食べないと大きくならないぞ?」「大丈夫です。私身長高い方ですから。あなたこそ、偏った食事をしてると老けますよ?」アナザにこう言われると、ジャハトは、苦笑いを浮かべた。
ジャハトは、ナイフでステーキを切ると、フォークを突き刺し、口に運ぶ。肉汁が広がり、ジャハトは、笑みを見せる。ジャハトの隣に置いてあるパンを掴むと、そのまま口に入れ、嬉しそうな様子で、モグモグする。
「やはり、ここの飯は美味いな」
アナザは、呆れた表情をしていた。
ジャハトは、しばらく食べると、コーヒーを飲んだ。
「やはり見た目は子供っぽいけど中身は大人だな。まぁ、仕方ないか。この歳でも、この世界で働いて、生活も大変だろうに」アナザは、正面と黙々と食べているジャハトに目を向けながらそう言うと、アナザは、少し驚いた様子を見せた。「何か言ったか?」「いや、別に何も」
しばらくすると、アナザは、デザートのドーナツを食べる。そして、ふと思ったことをジャハトに伝えた。「最近、仕事が増えてきて、休む暇がない」「休めよ。疲れてると集中出来ないぞ」
「それは分かっていますが、なかなか難しくて」ジャハトも少し考える素振りを見せ、「そうだな、お前は頑張り過ぎだ。たまにはゆっくり休みを取っても罰は当たらないんじゃないか?」ジャハトは、そういうと、コーヒーを飲むと、また辺りを見た。
「いやいや、貴方は私に計算を任せられたじゃないですか」アナザは呆れながらも、ドーナツを口に運んだ。しばらく、会話をしているうちに二人は、店を出ると、バイクに乗り、次の目的地に向かって走り出した。
辿り着いたのがノーベル賞を受賞した者達の研究所だった。
「おぉー。ここは凄いな」ジャハトは、バイクを止めると、ヘルメットを脱ぎ、辺りを見渡した。研究所とは裏腹に外装はレンガ調の建物、入口から建物まで歩く通路、入口の前には、ガードマンが立っていた。「すいません。お二人とも、関係者の人でしょうか?」ジャハトとアナザは顔を見合わせると、同時に首を縦に振った。
ガードマンはジャハトとアナザを連れて研究所の中に入った。「こちらへどうぞ」案内された廊下に一人の男に歓迎された。
『これはこれはジャハトさん。ようこそお越し下さいました』男はそう言うとジャハトは挨拶した。「あぁ、どうも、ご無沙汰しております。今回は、見学に参ってきました」『はい。では案内しながら説明いたしますね』案内されるまま、部屋の中に入ると数台の電子機器が倉庫のように並んでいた、男は話を始めた。『まず、この施設では、脳の研究をしています』『電脳世界の中枢部分であるC88115Mの解析をしており、様々な研究を行っています。この機械は、脳波を計測する為のものです』男がスイッチを入れると、モニターに映像が映し出された。『これで、脳をスキャンします。そうすると、この脳の動きに合わせて電脳空間の映像が作られます。つまり、電脳世界を作るのに必要な情報のやり取りを脳で行っているというわけです。脳から、電脳世界を作り上げているという事になりますね。その逆もあるのですが』
男が、画面を変えると、人体模型の写真が映った。「うわぁ、気持ち悪っ」と、呟くアナザにジャハトは「おい、そんなこと言うなよ。人が一生懸命作ったんだから」
アナザが睨み付けるとジャハトは肩を落とした。ジャハトは話を戻すと、研究者に尋ねた。「何故このような実験をされているんでだ?」研究者はこう答えた。
【電脳世界が出来た理由は解明されていません。しかし、人の意識や記憶を保存できる媒体が出来たことにより、今まで不可能だったことができるようになったのは事実です。その為、我々の機関はこうして電脳世界での人間の活動を、記録、そして再生させることに成功したんです】
アナザは興味を持ったのか、質問をする。「この、C88115Mというのは一体なんなのですか?」
研究者がこう答えた。
【まだ、詳しくは分かっておりませんが、これが、多次元のサーバーだとすると、我々人類を閉じ込めている檻のような物だと考えております。もし、このコアを破壊した場合、何が起こるのか、我々は知る由もないのです。ただ、言えることは、電脳世界が崩壊してしまう。または新たな世界に進化する。それくらいでしょう。しかし、それがどういうことなのかは想像出来ます】
アナザとジャハトは、科学者の話を聞く。ジャハトは何気なく壁に掛けてある写真を見る。そこに写っていたのは、小さな男の子と女の子、その子は、歴代科学者なのか、沢山の研究者と仲良くしている様子が撮られていた。ジャハトは写真を眺めながら思った。
最近の写真だな、まだマルチコネクタートランジスタが世に広まったばかりかな。こんなに小さい子供が電脳世界を作っていると思うと胸の奥底に響くものがあった。
しばらく歩くと、扉が見えてきた。
『着きましたよ。ここを潜ると、サーバの中身に入ることが出来ます』ジャハトとアナザはその言葉を聞き、ドアを開けると、そこには、ランプが光る制御装置のような物が並んでいた。すると男の人がコードを外し、箱のようなものを見せてきた。『この一つ一つがサーバの情報を確認する端末で、これを使って操作をしていきます』ジャハトが、まじまじと見つめ、感心するように言った。
「ほぉ~、すごい技術力だな」「私には、全く分かりかねるけど、とにかく凄いっ! それだけ分かったわ!」「お前なぁ、もっと、真面目に出来ないのか?」アナザは、ため息を付くと、ジャハトが、装置を触る。「A、B、C、D……これがサーバの形式番号か、E△、これは……」「ジャハト君、ちょっと勝手に触らないで下さい」男がそう言うとジャハトが振り返り、指を指すと、「いーじゃねーか。別に減るもんじゃねーだろ」男は頭を掻きむしると、呆れた表情を浮かべた。男は説明を始めた。「実はこの機械は、ダナッサ研究財団の管理下にあるので、許可無く触れるのは厳禁なのです。下手をすれば、刑務所入りです」
アナザは、その男に問いかけた。「えぇー、でも、モネ研究所の時は、簡単に触らせてくれたじゃない」
「ここは絶対にダメです! そもそも、ここは、電力量が高いので、あまり触ろうとすると、貴方達の体が焼け焦げてしまいますよ」アナザは、少し驚いた顔をしながら、後ろに下がるとジャハトの手を握りしめていた。「うわぁ、びっくりしたぁ」アナザは小声でジャハトに耳打ちした。「ねぇ、今の本当かな?」「分からない、だが、その可能性もあるかもしれない。しかし、この研究所は何か隠してる気がする」二人は、装置を見ながら話していた。すると、研究員の男が話しかけてきた。「あの、一つ言い忘れてたんですが、ここから先はセキュリティレベルが高く、IDカードを通さないと、ロックされて先に進めない仕組みになってるんですよ」それを聞いた、ジャハトはニヤリと笑い、自分のポケットから、カードを取り出し、見せた。
「これを使えば良いんだな」
ジャハトは、カードを見せると、男が驚きの声を上げる。
「そっそれは!?」「あぁ、こいつは、モナードコアカードだ。まぁ、こんなもんよ、さっ、早く案内しろ」アナザは、ポカンと口を開け、固まったままだった。男はアナザの肩を叩きながら、ジャハトに聞いた。「なっなにをしているんだ、君は? それはどこから手に入れたんだ、まさか」
ジャハトは、それを遮るように答える。「おっと、そんな話は後にしてくれないか、こっちも急いでいるんでな」男は渋々、了承すると、サーバルームの中に二人を通した。ジャハトはアナザの目の前に立ち、アナザに、カードを渡し、ジャハトはアナザの手を握った。アナザは不思議そうな顔をしていると、ジャハトが微笑みながらこう言った。「心配するな、俺を信じろ、大丈夫だから、絶対守るから」アナザは、コクリと首を縦に振る。すると、男の人はこう言った。「気を付けて、中にいるウイルスに感染されたら、大変ですよ」それを聞いた、ジャハトは「ああ、分かっている。任せてくれ」そう言った。
アナザとジャハトは、ドアの前に立つと、ジャハトがアナザに言った。「よし、準備はいいか?」アナザは、「ええ」と答えた。すると、ドアノブに手を掛け、勢いよく扉を開ける。そこには、一人の男がいた。男はこちらを見るとこう叫んだ。「お前達はなんだ! なぜ、この部屋に入ろうとしている!」アナザとジャハトは目を合わせると、二人で、同時に声を上げた。「「レディースアンドジェントルマン!!」」お決まりのセリフを使う意味は皆さん待ってましたよって時に使う言葉、ジャハトとアナザは銃を構えた。
そして、男の頭に標準を合わせた。男が何かを抱え、隠してるのを見た、アナザが「そこを退け!」と、言うと、ジャハトが、続けて、アナザと同じ言葉を喋った。
「退かないとその場で射殺だ」アナザとジャハトが睨むと、男の後ろにあったのは、大きなコンピュータがと本が沢山あった。アナザはそれを見て驚いた。
「あれがウィルスの原型資料……嘘、こんな所で見れるなんて」すると、男は抱えていた本を、地面に落とした。ジャハトがアナザを後ろに下がらせ、前にでると、手錠を取り出した。「正当がないプログラムで社会的信頼を損なう可能があるため現行犯逮捕する」男が何かを言い返そうとした瞬間、ジャハトは男の手首を掴んだ。「おい、ちょっと来い」ジャハトは、そのまま、引っ張る、アナザもそれについていく。「まっ待て、いいのか? 俺を逮捕しても、どうにもならないぞ、俺には証拠がない」男が焦り始めると、ジャハトはこう答えた。「その点は心配しないでくれ、証拠はコードログに書いてある」男は顔に青筋を立て、怒っていた。「コードログ、なんの事だ!? 知らんぞ、何の事を言っている」
ジャハトとアナザは、黙っていると、男はこう続けた。「はっはーん、分かったぞ、貴様らは、この世界の住人ではないだろ、それで、こんな馬鹿げた真似をしたんだな」男が言い終わると、ジャハトが突然、男がさっき抱えていた本を奪い取った。「おっと、何をするか分からないけど、そのデータはもう消去済みだ。お前等がどう復元したって元を戻ることはない」アナザのポケットの中から、チップを取り出し、本の中に入れた。ウィルスの設計図が書いてある。「コピーエクスキュート。なかなか単純な作りだな」ジャハト微笑すると、アナザの元に戻ると、男は焦った顔を浮かべていた。「こんな邪魔な連中に構う暇は無いんだ、俺はあと少しで素晴らしい形態を作れたのだぞ!」
「その形態がウィルスのコードか」ジャハトは、また、笑みを見せると、男は「逮捕してみろ! 俺を逮捕してもこの世界は救われない、救えるのはこの世界の仕組みを知ってる者だ」と、言うと、ジャハトは無理矢理男性をうつ伏せ状態にし、両手首に手錠を掛けた。「痛い、離せ! 俺の発明は完成目前だったんだ、おい、止めろこの野郎!」ジャハトは何も言わず、男の人に指を差した。
「そこの案内の人、我々CRSが家宅捜索するため応援を頼んだ」
男の人は慌てて、サーバルームを出て行くと、ジャハトはメモ用紙を取り出し、逮捕した科学者に質問する。「名前は?」
「エイケン」
「それコードネームじゃないか?名前だよ、本名を教えてくれ」「本名だよ。本名は、エイケン・レベナンツ」「お前のIDは?」
「AE2X-XXY-ZG3F」
「聞いたことないな。どんな場所だ?」
「超高層建築物と道路にはフォードという湾曲した車が走ってる」
「なるほど、別のサーバーからか。面白い」
「え、あ、はい」
「どうした、何か気になることでも」
「あぁ、あのさ、この世界はロボットや未来の都市があって俺達がいる現実世界とは似ても似つかないような世界観じゃないのかい」
「どういうことだ?」
「俺達が住んでるのは現実世界だけど君達が住んでるここは電脳の世界、だから、現実に近い設定になっている」アナザは頭を抱えた。「何言ってるのか分からないよ、説明してくれるかな」
ジャハトも考えながら、こう話し始める。「例えばサーバーが作られてたらその作成した管理者は現実世界にいる、それは現実世界にいて、そのプログラムを作った人物、もしくはプログラムを作成するためのデータそのもの。そのデータが電子的になってこの世界に送られてきたものがここ。それがこの電脳空間である、そして、そのデータを書き換えればこの世界を支配出来ると言うわけだ。ちなみにこの電脳世界で死んだら現実世界の人は死ぬ可能性がある解釈でいいかな」アナザが唖然とすると、エイケンが目と口を開く。
『そうそう!そういう感じ』
「その理論で言うならこのサーバーは、電脳世界を支配する事が出来るんだな!」「あぁ、そうだ、この世界の全ての情報をこの世界に転送する事だって、プログラムを書き替え、書き足せば良いだけだからな」
ジャハトはコンピュータに近付くと、アナザはそれについていく。
「つまり、このサーバーは全てエイケン達が住む現実世界が作ったものだから、プログラムを書き直したりすれば、こっちが有利になるって訳か」「その通り、プログラムを作り変えたり削除する、改竄する。それを行えば、このサーバーは崩壊される。まぁ、その前に、俺達の身体の方が崩壊するがな」ジャハトは、100100010100と科学者に言うと科学者は眉をひそめた。
「なるほど。我々人間は言葉を発して上手く情報を伝えてる。その伝達方法で、プログラムは構築されているから、その言葉を変えられるということだな」「その通り、電脳世界に転送され、言語が変わった瞬間から我々の電脳世界での言語や文章など全て、その言葉を使って話すようになっている。その為、言葉を変える事は容易ではないのだ」アナザはその事を聞いて納得する。「しかしだ、もし、現実世界にある言語を全て、こちらで変換できるとしたら、電脳世界では、この世界のように喋ることは可能なのかね?」
「不可能だ」
科学者は答えた。
「なるほど。つまり現実世界が操作をしてその言語を現実に反映しているということだな。」
「じゃあ、我々の元の言語を現実世界に暮らしても会話はできないのか?」「当然だ」
科学者の言葉に、アナザは肩を落とした。
「そうか、それは少し残念だな」「何故?」ジャハトは首を傾げる。
「いや、ただの個人的な理由だ」
アナザが、少し笑みを浮かべると、ジャハトは呆れた様子でこう言った。
「全く、お前は面白いな、そんなことの為にわざわざ電脳世界にくるなんて、普通じゃないな」「そうかもしれないな、俺は普通が嫌いなんだ、それに、君と一緒さ、俺は普通の人生より特別な人生を生きたいと思っている」
エイケンは繋がった手錠をジャハトに伸ばした。ジャハトはフッと微笑んだ。
「頭のネジが外れてる人材がいればスカウトしろと言われているから、君の能力を買ってるよ」
エイケンはニヤリと笑いながらこう言った。
「現実世界で培ってきた知識、技術を、電脳世界でも生かすつもりだよ」
男性の伸ばした手錠を解除し、放り投げた。
ジャハトはポケットから何かを取り出す。
小さな機械だ。「これは通信装置だ。これを俺達に付けてくれ」ジャハトは科学者に通信機器を渡してきた。
「これを付けておけば、俺達と連絡を取り合うことが出来る万能装置だ」
ジャハトとアナザは、通信機を受け取り首に装着させた。「ありがとう」
ジャハトはエイケンに手を伸ばす。「俺達は敵同士だ、仲良くしよう」ジャハトが握手するとエイケンも握った。
「よろしく、アナザ。ジャハト」
アナザは、自分の胸に手を添えながら、二人に告げた。
『またか……これは何度も教えたんだけどな』
エイケンはジャハトに対してプログラムの勉強をしていたが、ジャハトはコードのログを特定とする専門家なだけであり、プログラムを自ら作成することは不可能だった。なので、何度もコードの基礎を教わっていたのだが、ジャハトの理解力は低かった。そのため、怒りよりも諦めのほうが強かった、どうすればジャハトは覚えてくれるのかを考えていた。
『仕方がない。こうなったら』エイケンはある作戦を決行することにした。それは、作成したコードがどんな仕組みで動いてるのかを画像や映像で見せてあげればいいと思ったのだ。つまりジャハト自身がプログラミングをしてるようなイメージを持たせるだけでいいのではと考えた。ジャハトがコードのコードを理解できるはずもないと高を括っていたが、そんなことはなかった。ジャハトはエイケンの説明を聞き、理解できたらしい。それからジャハトは自分でプログラムを作成し始めるようになったのだ。もちろん、エイケンは反対した。しかし、ジャハトは、それでも止めずに教え続けた。何故なら、ジャハトにプログラムを教えれば教えるほど、彼は天才へと成長していくからだ。理解したらこっちの番と言わんばかりにね。
エイケンは、ジャハトを驚かせるプログラムを作成するため日々努力を重ねていた。
すると、横で見てたアナザが興味を持ち、自分もやりたいと言い始めたのである。ジャハトはそれを快く了承した。なぜならジャハトは人手不足だった為だ。一人でも多くの人員を確保したいと考えていたジャハトにとっては大歓迎であった。それにアナザは才能もあったらしく、どんどんと上達していった。ジャハトより理解力が早く、簡易的プログラムでボールを弾き返すゲームを自分で作り始めてしまったのだ。そのことで、ジャハトは驚きを隠せず、エイケンも、ジャハトにプログラムを教えたかいがあったという喜びと自分の作ったものが評価されたことの両方の嬉しさでいっぱいになった。それから数日が経ち、二人はある結論に至った。それは、プログラム言語を統一してみようということだった。今まで別々に作ってきた為、バグなどが発生しやすく、それを防ぐ為にと、プログラムの統一化を行った。そしてついに完成する。その完成したのがC9Xというものだ。これさえあれば、ジャハトのコードとエイケンのコード両方を同時に読み込み、エラーが発生した場合、自動的に修正されるプログラムだ。これで二人の作業は効率化できるようになり、作業スピードが段違いに上がることになった。こうしてジャハトとエイケンの仕事は劇的に楽になっていった。エイケンは、ジャハトにプログラムを勉強するのを止めてしまえばよかったのでは、と思いつつも、仕事に集中できることに喜んでいたため、文句は言わなかった。それから一ヶ月が過ぎていったある日のこと突然エイケンから学会で発表してほしいと頼んで来たのである。ジャハトは断ろうとしたが、断る理由がないと逆に言い返されてしまった。ジャハトは、仕方なく承諾し、発表の日を迎えることになるのだが。この発表により、世界は大きく変わっていくことにジャハトはまだ気付いていなかった。
ステージの上に立ち、大勢のノーベル賞や科学者まで座る中ジャハトは咳払いをし、話し始めた。
「今日、皆さんに集まってもらったのは他でもありません。プログラムを統一しようと思うからです」会場からはざわめきが聞こえてくる。当たり前だ。いきなりこんなことを言われても誰も賛同してくれるわけがない。
「落ち着いてください。これにはちゃんとした意味があるのです。まず初めに説明しますと」と前置きをし、説明を始めた。
・ジャハトのコードが同時に読み込まれると、エラーが起こる。
・その為にプログラムを書き換えなければいけない 。
といった内容を丁寧に解説をしていくと、少しずつ納得してくれたのか、徐々にざわつきは収まっていった。
「今の話を聞いてどう思いましたか?まだ、よくわからないかもしれませんね。もう少し詳しく説明すると」ジャハトは再び説明を始めようとするが、ここで、ある科学者が止めに入った。
「ちょっと待ってくれ」
彼は、科学界の大御所で【FJ】と呼ばれる天才学者だった。
FJは、あるプログラムに欠点があったことを指摘した。そう、「コードが複雑になりすぎて、処理に時間がかかりすぎるのではないか?」ということだ。確かにそうだ、今まで、別々にプログラムを作っていたのは無駄なことをしていたかもしれない。とジャハトは思った。
しかし、エイケンはそんなことも想定済みで、一つの解決案を考えてあった。それが、プログラム一つ一つを処理速度によって分類することだ。簡単に言えば容量が多い処理、(サーバーの拡張やマルチでサーバーを処理する場合)
のときは、コードが大きくなりやすい為、それに合わせてコードを大きくするという方法をとる。逆に処理が少ないコードは、計算や小さい対処のセキュリティならこれに分類する。
そして何より、コードの型を50種類から20に減らしたことが大きいだろう。ジャハトはこの方法で、一気に作業が楽になると確信していた。科学者達は大きな拍手を贈っていた。ジャハトとエイケンはお互い顔を合わせて微笑んでいた。
10月2日あるニュースで大きな影響を受けた。
ある科学者がC9Xは、ウイルスを制作することが可能性があると発表したのだ。
もちろん、ジャハト達からは批判の声が上がった。当然の反応である。ウイルスを作るということは、誰かを殺める可能性もあるからだ。しかし、その発言は撤回させた。理由は簡単だった。セキュリティ用として作成したからである。つまり、悪用されないように作ったということだ。エイケンの天才的な発想で作り上げられたこの技術は、世界を変えるほどの力を持っていた。
「凄いな、エイケン。一時は批判を受けて辞退するかと心配したが」
「いえ、私も不安でしたよ。でも、皆様が認めてくれたおかげで、私は安心して研究に打ち込むことができます」
「それにしても、本当に良かったのか?俺なんかのために」
「はい、ジャハトさんには感謝していますから」
ジャハトは、この時初めて自分のことを大切に思っている人がいることを知った。
そして、ジャハトはエイケンの為に何かしたいと思うようになった。そして、ジャハトはある決意をした。それは、電脳世界をエイケンにプレゼントするというものだった。ジャハトは、すぐに行動に移った。まず、エイケンに許可を取り、そして、ジャハト財団の資金を使い、エイケンの好きなもの、そして、ジャハトが欲しいものを揃えた。そして、ジャハトは、プログラムで感謝の気持ちを伝えたかった。
11月1日、ジャハトは、エイケンに贈り物を渡した。
「これは?」
「開いてみてください」
エイケンがメールを開いてみると背景に装飾された文字で ありがとう と書かれていた。
「こんな素晴らしい物を頂いていいんですか?」
「えぇ、どうぞ」
「では遠慮なく」
その時だった。
突然、画面が大きく揺れ始めた。
地震だろうか、と思った次の瞬間には、パソコンの画面は真っ暗になった。
「なっ!?」
慌てて電源を入れるとパソコンの画面には『久しい友よ、これから仲良くしようぜ』と表示されていた。エイケンのこういう発想はなく、笑ってしまっていた。「ハハ、面白いな。ジャハトさん」
「僕の自信作ですからね」と自慢げに話すジャハトを見て、エイケンは心の底から嬉しかった。
『こんな面白いプログラム作れたら教えることは何もねぇ。後は好きなプログラムを自作して遊んで来い』
とジャハトに言った。
「分かりました」
と返事をして、ジャハトはプログラムを書き始める。ジャハトはプログラムを書く時、必ずメモ帳を使う。理由を聞くと、「紙の方が書きやすいんですよね」と言っていた。ジャハトは、プログラムを書いているとき、いつも楽しそうにしていた。そんな姿を見るたびに、僕は羨ましく感じていた。僕にもあんな風に楽しくプログラムが書けたらと何度も思った。しかし、どうやってこのプログラムを作れるのだろう。ジャハトにはまだセル型を教えてないし、一体誰が教えてくれるのだろう。そう思った。ジャハトは、プログラムを完成すると、ジャハトは満足そうに笑っていた。
「ジャハト、プログラムが完成したか?」
「はい、これで大丈夫だと思います」
そう言うと、ジャハトは、プログラムを起動させた。
プログラムが動き出した。
「凄いな、ジャハト。君はまだ自作をする能力がまだなのに」
「はい、これは両方を同時に読み込み、エラーが発生した場合、自動で修正されるプログラムの応用を真似しただけですから」
ジャハトは謙遜している。ジャハトは、天才だと改めて実感させられた。『両方を同時に読む』……いや、何かおかしい。素直に聞いてたけど改めて考えると矛盾点がある。何でジャハトは、プログラムを2つ同時に読めるのだろう。ジャハトは、プログラムを2つ書けるのか? もしかして!? あのもう一人の人物か!? 確かプログラムを理解して自作できるように成長出来たなら、セル型プログラムを既に再現したなら納得がいく。ならジャハトは、まだ、その段階まで行っていないはずだ。ジャハトは、プログラムを2つ書くのは無理だろう。じゃあ、誰なんだ。このプログラムを作った人物は。
その答えは、ある事件が起きた3日後だった。
11月4日午後8時30分。
しぶとく、悪意あるウイルスを誕生した。そのウイルスは、侵入後10秒で大量のウイルスを複製して増殖する。そして、1時間後に全てのウイルスが一斉に爆発した。そして、電脳世界は一瞬にして地獄と化した。
ジャハトは、ウイルスの駆除に追われ、エイケンは、電脳世界の復旧に全力を尽くしていた。ウイルスの数は100万以上。電脳世界に生きる人々は絶望した。ジャハトは、ウイルスの対処に必死になっていた。一体なんの目的でウイルスが出現したのかも分からず、ただひたすらにウイルスを消去し続けた。エイケンもウイルスの除去に奮闘していたが、ウイルスの数が多く、手が回らなかった。エイケンは、ウイルスの解析に力を注いでいた。そして、ジャハトは、ついにウイルスの本体を発見した。ジャハトは、ウイルスの削除を止め、ウイルスの排除に専念した。だが、一日後には新たにセル型ウイルスが生み出され、ジャハトは、また、ウイルスの削除に勤しむ。ジャハトは、ウイルスの駆除に時間がかかり、エイケンは、電脳世界を修復するのに精一杯だった。エイケンは、ウイルスを何とかしようと頑張るが、ジャハトがウイルスの削除に忙しく、なかなか手伝うことが出来なかった。仕方なくウイルスバスター班を呼んで、ジャハトの手伝いをした。ジャハトは、一人でウイルスと戦っていた。ジャハトは、一人孤独に戦っているので、とても辛かった。
ジャハトは、ウイルスを駆除し終えると、ウイルス作成者を探し始めた。
ジャハトは、ウイルスの作成者を探そうと決意し、まずは、ウイルスの製作者を探すことにした。ジャハトは、対ウイルス専用武器を装備し、ウイルスの捜索を開始した。街はウイルスだらけで、ウイルスの処理で大変だったが、ジャハトは、諦めずに探し続けた。ジャハトは、ウイルスの開発者を見つけるため、街中を歩き回った。ジャハトは、ウイルスの製作者の手がかりを掴もうと、様々な場所を探索したが、全く見つからなかった。ウイルスに襲いかかっては発泡し、次々と倒した。最初はコンピューター内の侵入者かと済んでたが、我々の世界まで侵入してきた。ウイルスの製作者は、我々と同じ人間なのかもしれない。そう思うと、ジャハトは、ウイルスの製作者に対して怒りを感じた。
ジャハトは、ウイルスの製作者を早く見つけようと焦っていた。ジャハトは、ウイルスの製作者が見つからないことに苛立ちを覚えていた。ジャハトは、ウイルスの製作者を見つけ出そうと躍起になり、必死に探し続けていた。しかし、飲食店からウイルスのせいでガスメーターの制御装置を停止し、ガスコンロ火が点いて、爆発した。自分も吹き飛び、頬に大火傷を負った。頬から激痛が走り、痛みに耐えながら、ジャハトは、ウイルスの製作者を探していた。
ウイルスの製作者が見つからず、イラつきを覚えたジャハトは、ウイルスの製作者が見つかるまでは、ウイルスを放置することにした。ウイルスが暴れても、無視を決め込んだ。ウイルスの製作者が見つかり次第、ウイルスの処理を再開すると決めて、ウイルスの製作者の捜索に全力を注いだ。ジャハトは片目の視界が真っ暗で、顔の半分が焼け爛れ、皮膚が剥がれ落ち、血まみれになった。ジャハトは、ウイルスの処理をせずに、ウイルスの製作者の捜索を続けた。ウイルスの処理をしないせいで、どんどん被害は拡大していった。ウイルスの感染者は増え続け、ウイルスに感染しない人は居なくなった。ウイルスの感染は止まらない。ウイルスの感染者は日に日に多くなり、地獄絵図と化した。ウイルスの処理をしなかった結果、ウイルスの感染者は、ウイルスの感染を止めることが出来ず、ウイルスの感染者は増えていった。
「終わったか……」
どうにも対処出来ず、結局、ウイルスの処理を断念し、撤退した。ウイルスの製作者が見つからぬまま、ウイルスが蔓延し、ウイルスの被害者は増える一方だった。
ジャハトは研究所から帰ってきてエイケンに報告しようと扉を開いた瞬間、ウイルスが襲い掛かってきた。
ジャハトは、すぐにウイルスに対処しようとしたが、ウイルスの対処で手一杯で、ウイルスの対処が出来なかった。ウイルスはジャハトの腕に噛み付いた。ジャハトは右手の銃を連射し、ウイルスを退治した。「早くエイケンの所に報告しなくては……」
全体の部屋を隈なく探したが、エイケンは見つからなかった。しかしその証拠に手紙が残されていた。「ジャハトへ。私は今ウイルスに侵されている。このウイルスはイリアス型の名乗った。私の命は長くないと思う。だからジャハトよ……お前にはウイルスの製作者を探してほしいのだ。ウイルスの製作者が見つかったら直ちにウイルスを消去してくれ。頼むぞ」
その文章を読んだジャハトは、エイケンは消息不明として処理された。
ジャハトは、ウイルスに名付けたイリアスを対処するため、最も強力でかつ、最も危険なウイルスを消すために、ジャハトはプログラムを起動させた。
そして世界初、自分で投与できるウイルスを完成した。今までは制作者自らウイルスを作成しなくてはならなかったため、制御が複雑で、時間もかかるというデメリットがあった。しかし、このウイルスは違う。自分の意思で、好きな時にウイルスの発動が可能だ。さらに、このウイルスは自分自身にしか作用しないため、ウイルスに感染することは無い。つまり、ウイルスの製作者は、自分が死ぬ前にウイルスの開発者に、ウイルスを託したということだ。
ジャハトは、このウイルスを自分の名前に因んでジャハトと名付けた。
ジャハトは実験のため、自作の使い捨てセキュリティサーバーに手を伸ばし、放った。すると処理メーターの数値は平均と上回り、数秒で架空ファイルを全削除。セキュリティの侵入によりサーバーを破壊した。最終的な数値は10万9千件以上。
ジャハトはこの結果に驚いた。
自分でもサーバーを破壊することは予想外だったようだ。
「危なすぎだろこれ」
そう言いながら、サーバーを破壊しないように、自身でウイルス3原則を作った。
・第1条 任意のために使用すること。
・第2条上記の場合は警告すること。
・第3条危険と察知したら対象を消滅させること。
この3原則を絶対に守るよう厳重に命令する。
しかし、このジャハト専用自作サーバーが破壊した影響で、一時、数分のサーバーの処理速度が低下。政府達は原因を究明すべく、調査を進めた。最初はセル型だと思ったが、最も対処不可で強力なウイルスであると判明した。政府の対応は早かった。直ぐ様ウイルスバスターを派遣し、ウイルスを駆除した。しかし、イリアス型ウイルスの感染者は減らなかった。政府は、ウイルスの製作者がウイルスを消さない限り、ウイルスの感染者は増え続けると判断した。
CRSの捜査により、ウイルスの製作者はジャハトと見て間違いなかった。
た。ジャハトは思った。こんな日がずっと続けばいいと眺めた瞬間、足音が聞こえた。振り向くとその人物はトカゲのようなロボットだった。攻撃してくるだろうと、自分の片腕を掴み、構えた。
「名前は何だ?」
「名前か、そうだな、ジャハトだ」
「ジャハトね。僕は、エモテットだ。よろしく」
「ああ、よろしく」
ジャハトは驚いた。自分と同じ境遇の者がいたからだ。
を付け出した。それは、CSPAの脅威で、CSPAに捕まったら、ウイルスのデータを解析される恐れもある。そうなれば全てのウイルスは全滅するし、ジャハト達もただでは済まない。なので、CSPAを倒せる実力を持ってるなら雇う。ジャハトとエモテットは、承諾した。そして、少女は名乗った。名前は【リリイ】。ウイルスだ。ジャハトは思った。ウイルスがこんなにも可愛いなんて思わなかった。
ジャハトは嬉しかった。
早速エモテットはリリイに色々と質問をする。
「ウイルスの種類と型は何だ?」
リリイは答える。
「マークラス接触型。対象を触れたり、取り憑いたら何時でも私の合図で即死することが可能」
リリイは満足げな表情を見せた。「他には?」
エモテットは続けて質問したが、リリイは首を横に振った。「後は知らない」「そうか」エモテットは残念そうだった。少し物足りない感じがした。
「あ、あと。他人になりすまして巧妙な手口で侵入するのは得意だよ」
「ほう」
エモテットは関心した様子で聞いていた。
他人に怪しまれず侵入する行為はかなり脅威で、侵入する技術は一流と言っても過言ではない。
エモテットはリリイの能力に感心していた。
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