Ver1.9
リリイはブランコで楽しんでいると、後ろから気配を感じ、後ろに振り向く。そこには、全身黒の服を着た男がいた。
「ほう、俺の殺気に気づくとは中々やるようだな」
リリイは少し笑い、そして構え直した。
「あなたが私の親友を殺した犯人?……」
「そう。俺はヤジンワフだ。まだ菌が居たとわなぁ」
男は指パッチンをすると同時に、リリイは消えていた。
「なっ!?」リリイの姿を見失った事に驚き、辺りを見るが、どこにもいない。
「ここだよ」背後から声がし、振り向く。しかし姿はない。
「どこだ?」
「だから、ここだって」
リリイは目の前にいた。
ヤジンワフが驚いている間にリリイは蹴りを入れるが、ガードされてしまいダメージを与えれない。
「へぇー。今のを避けるなんて」
「貴様……一体何者だ……?」
「私はリリイ」
「ふっ、名前など聞いておらん。何者だと聞いたのだ」
「それは秘密なのだよ」
「いや、聞かなくても分かる。お前は、俺と同じ臭いがする」
「え?」
「俺には、人を殺す才能がある。俺に殺されたくないなら今すぐ消えろ」
リリイは何かを思い出した。ウイルスを騙し跪かれ、神と勘違いした。神の正体が分かった。
「か、神なのか?」
「よぅわからんが全ての世界を動かし全ての人を殺したのは確かだ」
「なんでそんな事を?」
「さぁな、この世界を変えるには俺が行動しなきゃだろ? 頭使うより体使った方が楽だしな」
「でも、もういいんだよね? もうこれ以上罪を重ねる必要は無いはず」
「そうだな。だが、これは俺の人生なんだ。俺の好きにさせて貰うぜ。どうせ死ぬくらいなら最後は満足いく光景で終わらせるな」
「そう……じゃあ私が罰を与える」
リリイは構え直し、そして消えた。
「速いなぁ。さすが菌だ。けどな、この俺様に勝てると思わない事だな」
ヤジンワフはリリイの動きを捉え、拳を振り下ろす。しかしそこにリリイはいない。
「何!?」
ヤジンワフが驚くと同時にリリイはヤジンワフの背後に移動していた。
「遅いよ」
リリイは目に見えない速さで回し蹴りをするがヤジンワフはガードをした。
「防いだ!?」
「舐めるな」
リリイは地面に叩きつけられ、目の前に剣を刺すが、体を横にし避け、指を銃の形にして閃光を放つが、ヤジンワフは顔を傾けて頬を掠る。頬から血が流れ出すが気にせずリリイの顔面にパンチを入れるが、腕でガードする。ヤジンワフのパンチは強く、リリイの腕が痺れるが、足でヤジンワフのお腹に蹴りを入れ、距離を取る。
「ぐっ……」
「効いたかな?」
「ふっ、シュート!!」
ヤジンワフの蹴りを足に食らうが耐え、蹴り返すが、これも避ける。
「はぁ......はぁ……」
「疲れたか?」
「いや、全然。まだ、全力じゃない」
「そうか。じゃあ俺も本気を出すとするか」
そう言うと上の服を脱ぐと肉が付いてて身体中には傷跡があった。
「何......それ」
「驚き過ぎて何も言えなくなったな。この傷は俺の罪だ」
「罪?」
「そうだ。これはお前らにやられたものだ」
「どういうこと? 私達は何もやってない」
「お前は知らんけど三十年前、俺はあるウイルスの研究をしてた。研究者だ。形態コード100086E△を作った本人。昔は大人しかったけど急に暴れだして、更に俺に攻撃し出したからこの始末だ」
「形態コード100086E△......ジャハトを作ったのか?」
「ちょっと惜しい。本当は洗脳されただけだ」
「洗脳された?」
「あぁ。ある日、いきなり呼ばれ、ウイルスを作ってくれと言われた。断ろうとしたけど、金のせいでただ言われた通りに作った。だが、完成した途端にこれだ」
「何があった?」
「俺が作ったウイルスが暴走したんだよ。俺はどうでも良くなって責任を取れず、研究室から逃げた。そして、徐々にウイルスが進化し、攻撃されかけ、この傷になったんだ」
「それが今の姿……」
「あぁ、これが俺だよ。この傷は今でも忘れないし、恨んでる。そしてこの周りにいるお前らが嫌いだ。だから、お前らを潰す」
ヤジンワフは地面を蹴るとリリイは後ろに飛び、ヤジンワフはリリイに向かって拳を振り落とすが、リリイは腕を交差させ防ぐ。しかし、地面にヒビが入り、リリイは地面に叩きつけられる。
「ふっ、勝ちだ」
余裕の表情を見せるが、しかし、リリイの身体が頑丈で無傷だった。
「は?」
「油断は禁物」
リリイは起き上がり、ヤジンワフに蹴りを入れるが、ヤジンワフも蹴りを防御する。
「なんで……お前……」
「私、人間じゃないから」
「くそ!!」
隠してあった銃を撃ちまくった。弾は全て命中したが、リリイの身体には傷一つ付かない。
「無駄だよ。私はどんな攻撃も受け付けない。だって、この身体は機械なんだもん」
リリイは微笑する。それを見るヤジンワフはとうとう怒りの頂点に達する。
「この野郎!!!!」
ヤジンワフは殴りかかろうとするが、リリイは素早く避けて、そのまま回転しながら回し蹴りをヤジンワフに喰らわす。「ぐあっ!」と声を出しながら吹き飛ばされた。
「私の攻撃は効かないよ。君の攻撃はね」
「クソ!!」
「さぁ……どうやって楽にしたいか教えてくれないか?まぁ、答えは決まってるけど」
リリイは指を鳴らす。すると、周りから沢山の悪魔が現れ、ヤジンワフを取り囲んだ。
「あ、化け物だと!?」
「楽にはしないよ」
「くそ!! 誰か助けてくれ!!」
ヤジンワフは必死に助けを求めるが、助ける人は居なかった。腕を爪で引っ掛けられ、ヤジンワフの皮膚は剥がれてく。これで復讐が完了した。
その時、背中から何か突き刺され、焼ける痛みが走った。
振り向くとそこには、リリイの兄様、スピジュンの姿が居た。
「残念だけど平和の為だ」
「おお!! 救世主が来た!!」
「え?」
「君はここで終わりだ」
銃を撃たれ、心臓に命中。リリイは倒れ込む。
何故あんなに優しくしてくれたのに、兄様は裏切ったのか、分からなかった。
スピジュンはリリイに近付き、伝える。「昔よくこの場所で遊んだね」
それは昔の出来事だった……。
ある日の事だった、母さんが突然倒れたのだと言う……原因は不明、病院で検査をしてもらったが原因が分からない。治療は出来るかどうか不明と言われた。父さんのショックが大きく病んでしまったそうだ。それからしばらくして父は会社を辞めてしまった……生活の保障が無くなってしまった。
母さんのベッドの前で泣くスピジュンを抱きしめ、慰めようとするも、スピジュンはまだ涙が出てて……話を聞いてくれない。息絶え、私も涙を流す。
スピジュンとリリイは二人で生活を送り、唯一の楽しはよく公園で遊ぶこと。
しかし、部屋の整理してたら偶然、母の手紙が見つかり、読むと『CSPA達に殺された』という手紙があった。
リリイとスピジュンはCSPAを全滅する為、組織に介入した。
絶対に仇を取る事、例えどんな犠牲を払ってでも殺す事を。
そして、二人は違う組織でも協力して、仲間と共に戦う。
「でも......これは任務なんだ......すまない」
スピジュンはそう言うと銃を構える……スピジュンは震えながらも引き金を引いた。
リリイはその光景を見て涙を流した時、リリィの記憶はここで途切れる。
ヤジンワフの表情は死を感じながら笑顔を見せていた。
スピジュンは悲しい顔しながらリリイのそばに離れ、ヤジンワフに近づく。
拍手をされ、喜んでた。
「流石! 元イリアス組織最高管理者だな!」
「……ふざけるな!! 今更良い人面してんじゃねぇよ!! 俺達を利用したくせに何が任務だ!! お前のせいでどんだけ大切な人を殺されたのか分かってるつもりか!!このクズ野郎!!!!」
スピジュンの怒り拳が飛んで来たが、軽く避けられてしまった。
「はぁ……残念だよスピジュンよ。お前なら頑張れるのになー」
「どういう事だよ!!」
すると、ヤジンワフが銃をスピジュンに向ける。
「お前は要らないんだよ」
そう言われると銃を撃たれる。
頭に命中し、倒れた。
ヤジンワフはスピジュンに近づき、微笑しながら言われた。
「てめぇはまだ下のようだな。大人しく従えばいい話なのにな」
スピジュンの目を開くも既に何も見えなかった……。
リリイ......すまない......倒せれなかった......。
スピジュンとリリイはこの公園の最後の遊び場所で息絶えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます