Ver1.8
そして、今のリリイは、アイリスの隣に並び、歩いていた。今日の任務は簡単敵の進行を阻止する為猛吹雪のまま歩かなきゃあ行けない
アイリスは歩きながら、リリイに質問する。
「リリイさんはどうしてこの組織に入ったんですか?」
「私は、ある人に拾われて、それで……入った。理由は……よく分からない」リリイは俯きながら言うと、アイリスがリリイの背中を軽く叩く。
「そうだったのですね。では、私と同じだね」アイリスは優しく、リリイに話した。
「同じ?」
「はい。私の家族はもう死んでしまったので、一人なんですよ。でも、リリイさんは家族がいるじゃないですか。だから、羨ましいです」
「その話はやめて......」
リリイは少し悲しげな表情をした。
「あっ……ごめんなさい」
アイリスは謝りながら、リリイの手を握る。
「いえ、いいのです。過去なんてどうでもいいのです。これからは楽しい事を考えましょう。」
「そうですね……」
アイリスとリリイはお互い笑い合いながら歩いた。
それから何時間経っただろう。リリイは眠気と寒さに耐えながら歩いているとアイリスが何かを見つける。
「あれ?なんかありますよ」
そこには、大きな木箱があり、中を開けると、大量の物資が入っていた。
リリイはその荷物を見てアイリスに聞く。
「これ……なんでしょうか」
「多分、保存食とかでしょうね」
アイリスはリリイが持っていた食料を代わりに持つ。
「私が持ちますよ」
「大丈夫です。それより――どこにも人とかいないですね……」
「そういえば、そうだね……」
「まぁ、雪原に人がいたらおかしいか……」
「確かに……」
何か嫌な予感がする。猛吹雪のせいで、周りが全く見えない状態だ。
アイリスも嫌な予感がしたのか無線機で連絡をする。
「こちら、コードネームM-11874。誰か応答願います......」
しかし、反応はない。
「やっぱり誰もいないみたいですね……」
リリイは周りを見渡しながら言う。
「うーん……」
アイリスは考え事をしている。すると、突然、吹雪が強くなり、視界が狭まる。
「くっ……」
「寒い……」
ウイルスでもこの寒さには耐えられないようだ。リリイは震えながらアイリスを見る。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫」
「……本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だから......とりあえず先に進みましょう」
「はい……」
二人は、猛吹雪の中、再び歩き始めた。
しばらく歩くと、目の前に小屋があった。
「あの建物に行ってみよう」
「そうですね……」
アイリスは、リリイの手を握りながら、小走りで向かう。
小屋の中に入り、部屋を調べ始める。
「ここは、倉庫の様だね……」
「えぇ……それにしても、何もありませんね……」
リリイは、辺りを見ながら言う。
「そうだね」
テーブルと椅子がある席に座り、何故予定に来る対策班と偵察班が来ないか考える。
「一体どうしたのでしょうか……」
アイリスは、窓の外を見ると、空は真っ暗で、猛吹雪になっている。リリイは、アイリスの方を振り向く。
「ねぇ、確か私達の任務場所はトレヌーク雪原だったよね?」
「うん。そうだよ」
「うーん......」
アイリスは考えてた。トレヌーク雪原の場所で迷った訳じゃないなら何だろう……と考えている。無線も反応しない。しかし、一つ分かったことはある。それは、CSPAの対策班と偵察班に騙されたということだ。
本来ここにCSPAの対策班と偵察班来ると思い、待ち伏せをしたが、一向に来ない。敵は別の場所で任務を行ってる。そして、自分達はこの作戦から外されてしまった。恐らく、この嘘の情報は、他の仲間にも伝わってるはず……
「騙されたかもね」
「やっぱりか......どうしようか……」
リリイも同じ考えだった。考えても時間の無駄になるの行動する。
「うーん救助が来るまで待つしかないと思います」
アイリスは、地図を取り出し、現在地を確認する。
「うーん……ここどこだ……」
リリイは、少し心配そうな表情でアイリスの顔を見た。
「どうする?帰る……?」
「……帰っても余計道に迷いそうだけどね……」
「確かに……」
「うーん……」
アイリスが悩んでいる。救助を呼ぶ道具もない。食料はあるが、この猛吹雪では外に出れない。つまり、ここで待機するしかないという事だ。
「とりあえず、もう少し様子を見てみよう」
「分かった」
二人は小屋の中で暖を取りながら過ごす事にした。
「リリイちゃん」
「何?」
「寒くない?」
「大丈夫だよ」
「そっか……」
アイリスは外を見て何かを考え込む。
リリイは、そんなアイリスの様子をじっと見つめていた。すると突然、扉を叩くく音が聞こえた。二人は警戒しながら、アイリスは剣を構える。リリイも指を鳴らしていつでも倒せる準備ができてる。
――扉が空いた瞬間、アリッサが飛び出してきた。
「アリッサ!? 」
「あ! アイリスとリリイじゃん!何故こんな所に?」
「こっちが聞きたいけどね……。それよりどうしてここにいるの?」
「私は、ある任務で、CSPAの対策班と偵察班を偵察する任務していたんだけど、人が居ないから途中で道に迷って小屋に泊まろうとしたらまさかのリリイ達が居るとは思わなかった」
「私達は、トレヌーク雪原の予定で待ち伏せしたけどなかなか来なくて」
「へぇ~……それは災難だったね……救助要請はした?」
「無理。反応無し」
「だよね。それで、二人はどうするつもり?」
リリイは口を開く。
「とりあえずここで救助を待つつもり」
「そう……それじゃあ、私も一緒に待とうかな」
「ありがとう」
「いいよ。気にしないで」
アリッサは、近くの椅子に座る。リリイは薪を焚べている。
アリッサは木の色を見ている。
「この木は新しいね。最近ここに来たのかもしれないね」
「そうだね……」
アイリスは、外を見る。猛吹雪になっている。これでは、助けが来ても来れるかどうか怪しい。アイリスは、不安になり、リリイの方に振り向くと、リリイは寝ていた。アイリスはそれを見て少し安心した。
「リリイちゃんは、いつも頑張ってるもんね」
アイリスは、リリイの頭を撫でた。
「さて……これからどうしましょうか……」
アイリスは手がかりになる物を探しながら適当に返事してた。
「どうしようね」
アリッサが話を続ける。
「ここから戻るには何キロ掛かるかな」
アリッサは何か手がかりになる物を見つけた。
「ん……? これは?」
アイリスは、その破れた紙を見てみる。文字が書いてある。
「えっと……何々……、 【D=F・C。E=0】……
この暗号文は一体……?」
「Eイコール0?どういう意味だろう……?」
アイリスは、考えるが答えが出なかった。
「分からないなぁ……、 とりあえず、この文章は後で解読するとして……」
アリッサは、破れた紙の暗号文を後回しにし、何かの本を取り出した。
「この本に書いてあるかも……」
アイリスは、本を覗き込む。
「何の本?」
「日記かな? 多分……」
「ふーん……」
アイリスは、本の中身を読んでみたが、文章が複雑すぎて理解出来なかった。
「うーん……」
「ねぇ、アイリス。この暗号、解いてみない?」
「解けるかしら……? やってみよう」
アイリスは、この謎の暗号を解こうとしたけど分からなかった。
「駄目だ〜分かんない〜」
「使ってるのはギリシャ文字だけど文字がギリシャ文字では無い言語も使ってる」
アイリスは、諦めて別の事を考える。がアリッサがこの文字の事を気になって仕方がない。
「アイリス、この文字は何?」
「ギリシャ語じゃないわね」
「うん。違う。アルファベットでもない」
アイリスは、首を傾げる。
「英語ではないと思う」
「そうなると、ラテン語とか?」
「いや、それも無い気がするな。そもそも、文字が違うからなぁ」
「じゃあ、イタリア語?」
「それも、無いような……?」
「フランス語?」
「それは、ありそう」
「ドイツ語?」
「そんな感じ」
「ロシア語」
アイリスが適当に言ってることが分かった。
「嘘つかないで」
「ごめん......」
「でも、これはギリシャ語だけど文字が違うのね――ん?」
「アイリス、どうした?」
アリッサが何か驚いた様子で閃いたようだ。「この記号……もしかしたら……暗号なのかな……?」と呟いている。
「これを見て」と言い、ノートの隅っこを見せる。そこには確かに『s.ei(a)』と書かれている。
アリッサは、何かを考え込み「確か……」と言った。
そして、透明のスクリーンを開きメモ機能のところにこの記号を指で描き込んだ、アイリスもそれを見る。
日記の文字を写して解読するとこうなる……。
〈salt acidity is not into it.(それは塩ではない。酸度しない)〉 と書いてある。
「これを更に日本語に変換すると……。
E=i。すなわち、「Eは、酸化であることはない。(イーではなくエイ)となる訳だ」
アイリスは推測する。
「電子が酸素に還元される事は無い。電子の動きを邪魔するのは、原子核の原子核とニュートリノだけで電算機では無い限りねっとわさび、その粒が飛び散ろうと核の外まで広がりはないはず。電子が存在する場所以外に影響を与えるわけないものよだから私はこの言葉を言ったらどう考えていいもんじゃないか分かるよね」と言ってきた。アイリスの仮説はこの様になっているのだ……。
=Eとは全ての場所に影響を及ぼす事は不可能であるとする。
=故に、『D―EF>DEG/B-DND=BD』の法則によって全ては存在する事が出来る=Eでは無くてFの存在を否定する事に同意させる為に、このような法則が成り立つと言うのを証明するために使うものであると思われる事を指すものと考えて、それで正解ではないか……?
しかし、アリッサはアイリスの考えが当を反しており失敗している。
「考えすぎだよ。これは単純に文字として見れば簡単。塩は化学では塩化ナトリウム。塩化は元素記号で11番になって塩素は17番。つまり、11と17は何月何日を表している」
「酸性度は? 」
「しないって書いてあるから低いのでつまりHIかHG......あ、なるほど」
アリッサは答えが分かったようだ。
「塩のpHは7で中性。なので7。
「塩じゃないって書いてあるけど本当は違うけど、それがなんだ?」ってアイリスが質問をするが、塩なのか塩じゃないのか分からなかった。
「えーと……、塩じゃない」
「ふーん」
「でも、この法則は「塩」では無い。」
「へー」
「塩じゃないのはわかった。じゃあなんなのか?」
「わからない。塩でないのは確かだけど、それ以外何があるんだ......何だろう......」
アリッサは考えてる英語で書かれてる単語を見ると何かに疑問する。
「eiって何?」
「eightかな?」
「いや、違う。アルファベットの数字と同じアルファベットではない。eはアルファベット数字でfive。iはnine。繋げるとfineとなる。大丈夫って意味。しないを入れると、11月17日大丈夫じゃないって意味でいいかな。ていうことはこれを酸化にすると、酸性雪」
「つまり、11月17日今日は大降りじゃないっていう事になるね。これが文字だって言う根拠は……?」
「このページにある文章を見て」と言い、真ん中より少し前の所を指した。
「この文字の意味について書かれている、そして文字が1列しかないことから考えるとそれ以外には何も無い」
「なるほど。やっと分かった」
「もうこれ止めよう。なぞなぞ私きらーい」
アリッサが日記を破り、その破片をばら撒く間をアイリスはそれを見ていた。
「さっきの紙切れの暗号文を読もう」
アイリスが暗号文の紙切れを机に置いた。アイリスは考えると分かったらしい。
「Eイコール0はEでありマイナス。酸化だな……」
「アイリス。もうその推理は止めて。これは座標を表してるよ」
「え?」
「まずEイコール0は計算するとこんな形となる訳。Eの下にある+Iという部分は右上がり左下がり逆さまだけどその記号に変換が出来る為ここの場所であることを示しているのだなと思うよ。そう考えた場合こうなる……?『SI(0−S0)
=I/(2+X+1)』でSI(0)=SI(1)=E(−1)=0でEは酸化を意味していて、Eの上にある-Vは上向きの矢印になるから上の方、即ち、Eが下を向いていたのは、Eの位置が下であったことを意味する。SIの部分は逆さにして書くからSI(-1)
=I/SI(-1)=0で酸化したって事を意味してる」
「地図でいうとどこら辺?」
地図を置き、アイリスとアリッサは地図見る。そして、アリッサは地図に指を差す。
「この位置。多分、ここらへんで間違い無い」
その場所を見る限り、周りに木は無く草原が広がっている場所。
「じゃあ、ここから探すか……」と地図を持ちながらアイリスとアリッサは立ち上がる。
アイリスはまた質問する。
「ここから何キロぐらい? 何分で着く?」
アリッサは「ん?」と返事する。
この世界の時間軸は1週間が1日で、24時間が1時間で、12時間が、6時間になる。
「ここから距離は20km位、移動時間は四時間あれば余裕でつくけど……まぁいいか」
アイリスとアリッサは明日の備えで、狩りをする。「この辺りにいるはずだね」
「そうだな。じゃあ、狩るか」
「「――じゃーんけーんぽん!」」
アリッサはチョキを出し、アイリスはグーを出した。
「勝ちました!私の勝利です!」
「え〜、私が狩りをするの〜!?嫌だよ〜」と文句を言う。しかし、もう決まったことなので、仕方なく狩りに行く事に決めた。
「仕方ないか……」
「いってらっしゃい。救急車に運ばれないようにね!」
アイリスが見送ってくれる。今一瞬、死亡フラグを立てたような気がしたが、気のせいだろう……。
「よしっ、行くぞ」と勢いよく扉を開けると猛吹雪で視界が悪くなっていた。急いでドア閉めるが寒すぎて足が震える。
「やばい。これは死ぬ」と思った。でも戻るのはかっこ悪い。
「行こう......」
武器はナイフだけ。この雪の中どう戦えば良いのか分からないが、やるしかない。
「うわ、凄い寒い」
そして、歩き始めた。
「あれ? ここはどこ?」
「全然景色が変わらない」
そして、歩くが、動物が見当たらない。
「おかしいな……ここに来るまで沢山の鳥やウサギが居たはずなのに」
アリッサが独り言、言うと雪を踏む足音がした。普通なら隠れるがアリッサは変装し、バレる事はない。
その正体は、髪は刈り上げて、ピアスも付いていて、厚着をしている。怖そうな男だった。
しかし何故人もウイルスも居ないのに一人だけ人が居るのか少し疑問するけど気にしない事にした。
アリッサは優しい口調で「君は誰?」と聞くと、その怖い男が鋭い眼光で睨みつける。口を開いた。
「食料をくれれば見逃してやろう。だが断った場合はお前を殺す。俺の名前は、ヤジンワフだ。さぁ答えてもらおう」
「食料はないよ。あ、名前は......うっ......」
一瞬何が起きたのか分からないが、すぐに理解する。
この男は私の首を締めて持ち上げているのだ。息が出来なくて苦しいし意識が遠退く……。すると、アリッサの首から手を離す。アリッサはすぐに咳き込む。
「ゲホッ、ゴホ、ハァ、なにするの?」
「あ? 殺すんだよ。それ以外に何がある?」
「なんで私を殺そうとするの? 私は人間じゃないのに酷い人」
「ん? 今なんか人間じゃないとか言ったな」
アリッサは、つい口を滑ってしまった。
「あ、いや、違います......」
「嘘つけ!! この耳ではっきり聞こえたぞ!!」
激怒してるヤジンワフ。アリッサは恐怖のあまり口が震えてる。
「さてはウイルスだな? なら退治しないとな!!」
一方その頃アイリスはと言うと……
「はぁ......温まる〜やっぱり冬はココアに限るね」と呑気にココアを飲みながらくつろいでいましたとさ。
しかし、一行に帰ってこないので心配しているアイリス。
「まだかなーアリッサ。まあ、どうせ、動物見つからないから凍った湖で魚釣りでもしてるんでしょ」と、予想していた。
本をじっくり読書し、ふと気がつくと、辺りは真っ暗でアイリスしか居なかった。「もう夜かー早いな〜」と呟いた後、「アリッサ達遅いな……探しに行くか」と立ち上がり、外に出る。暗い道なので懐中電灯を照らし、歩く。しばらく歩くが、一向にアリッサの姿は見えない。
必死に声を掛ける。
「アリッサ!どこにいるの? 返事をして!アリッサ!......」
何も反応が無い。諦めようと考えたがアリッサが居ないと寂しいので探す事にした。
「寒いし、早く見つけなきゃ」と小走りになり、急いで走ると、何かを踏んだ感触があった。「ん? なんだこれ……氷?」と疑問に思い、拾うと、それは人間の骨だった。
「キァァア!! ビックリした......骨か……ちょっと待って?」
アイリスは何か嫌な予感がした。骨っていうことはもしかしたらアリッサは……
「そんなはずはない……きっと何処かに居るはず」と自分に言い聞かせるように言った。
「よし、進まないと……」そう決心するとまた歩き出す。
すると今度は足跡を見つけた。それもまだ新しい足跡だ。「これは……まさか!?」
その足跡を辿っていく。すると、そこには血だらけのアリッサが倒れていた。アイリスはすぐに駆け寄る。
「アリッサ!しっかりして!アリッサ!......」
しかし、アリッサからの応答は無い。それどころかどんどん冷たくなっていく。「嘘でしょ……なんでこんなことに……アリッサ……」
そして、アイリスは涙を流しながら目を開けたままのアリッサを見詰めると後ろから足音が聞こえる。
「誰......!?」
アイリスが振り返り見てみるとそこにいたのはヤジンワフだった。
「おい、友達か? 可哀想に。でも安心しろ。最後の居場所はここだよ」
「......貴方ね。よくも私の大事な人を殺して......許せない......」
アイリスは剣を握り締めた。
「へぇ、やるのか……いいよ、来いよ」
「はぁあああ!!!! くらえ!!!!」
剣を突き刺そうとする前にヤジンワフに撃たれる。
「そんなものじゃ俺は殺せないぜ! ほら!! サプライズプレゼントだ!!」
銃を取り出して撃つ、撃たれるがすぐに防御態勢にはいる、足と横腹を撃たれたがまだ動ける。
「なるほど……中々強いみたいだなぁ……さっきの女の子とはレベルが違う。楽しめそうだなぁ〜」と笑っていた。
「死ね!!!!」
剣を振り回すが、振るのが遅いのか後ろに下がり離れてくその距離で銃を撃たれ肺に命中。呼吸がしづらくなり、痛みも出てきた。
「ウイルスは殺菌だ!!!!」
銃弾が心臓に命中。急に激痛になり、動けなくなった。
「かはっ……」
アイリスはまだ動こうとしたが体が動かない、次第に意識まで遠くなっていく。アイリスは遂にその場に倒れ込む……。
「あーもう死んだか、意外に早かったな。まぁ最後にプレゼントをあげなきゃ」
そう言うと銃でアリッサを撃ち始めるが、アイリスは人差し指をなぞる仕草をする。
「何やってんだ? 合図か? 余計な事をするな!!」
銃を撃ち続けようとする。弾が切れ、そして焦っている。銃弾が氷で塞がれている。ヤジンワフはすぐここから離れたが氷の氷柱がこっちに目掛けて飛んできた。
「やべぇ!!」
すぐ銃を捨てて走り出す。
その頃リリイは目を覚まし、体を起こし、窓を眺めると夜になっていて暗く月が見える。しかし、アリッサとアイリスの姿が無い事に気づく。
「何処に行った……?」
そう呟いているが後ろの方から雪を踏む足音が聞こえ、驚いて後ろに振り向いた。
そこに居たのは血だらけのアリッサだった。すぐに走っていき、アイリスの元へ駆けつけるがアイリスはすぐに「ごめんなさい……」と言い倒れたままだった。それを聞いた瞬間、胸の中から感情が激しく湧き出る様に込み上げてくる。
(なんでこんな事になってしまったのだ……)その気持ちが爆発して怒りと涙の混じる声を上げる。
「何で! 何が起きたの!! 聞こえるの!!」
何も反応しないアイリス、死んでるのは分かった。分かっていてもリリイは必死に声をかけ続けていたが答えは返ってくることは無く……。リリイはそのまま膝まずいて泣き崩れてしまった。
自分の大切な友達であり親友でもある子が目の前で惨い殺し合いを見て……自分より背が小さく可愛らしい容姿に優しくしてくれた子が殺されたのだから泣くが、涙が止まらなかった。
しかしそんな彼女に慰めようとする者も声を掛けようと手を出す者はいない。この世界で一人になったのだから悲しさも悔しさでいっぱいになる。
でもここで泣いても意味がない、今やるべき事はアリッサとアイリスの仇を討つ事だと、リリイは立ち上がる。
「絶対に……許さない……!絶対……」
何度も同じ言葉を吐きながら歩き出した。アリッサとアイリスの無念を晴らす為に。
その時、無線機から連絡が入る。
「こちらコードネームRj3927だ。誰か聞こえるか?」
「はい......こちらコードネームM5210です。何かあったんですか……?」
「ああ、実は対策班と偵察班の奴らがこっちに向かってる。今の任務は中止し、今すぐこっちに来てくれ」
「それが......ここが何処か分かんなくて......」
「確か君の無線機の番号は73215だから少し待ってくれ」
「はい……」
すると、目の前にホール状の空間が現れた。ホールに入り、目を開けると、暗い部屋で、目の前に椅子に座るジャハトが机に足を乗っけて待ってた。
「――よぉ、君と会うのは初めてだな」
「あ、貴方がジャハトさんですか……? 」
「敬語はしなくてもよい。それより、君は何故生きてるんだ?まぁいい、とりあえず座れ」
「は、はい……」
リリイは目の前の席に座り、そして話を始めた。
「お前は、何の為にここに来た?」
「えっと、それは、その……あの二人を殺した犯人を捕まえたいと思って……」
「ほう、復讐という訳か。だがな、そんなに甘いものじゃないぞ?」
「そ、それでも!......!?」
腕から剣の形を変え、向けられた。
「君の言い訳は聞きたくないな、それにな、俺は神に従っているだけだ。もし神に逆らうなら……俺が罰を与える」
「……」
「まあいい、じゃあ呼ばれた理由は? 言ってみろ」
「は、はい......そ、その……わ、私は……」
「早く言え」
リリイは緊張しながら震える声で答えた。
「優秀なウイルス達が減り、もうこの組織も終わりました……ですが……私が居れば勝てます……」
「ふむ、そう来たか。確かに戦力は減ってしまったが、まだお前達がいるじゃないか」
「い、いえ……私一人で大丈夫なので……」
「……ほぅ、面白いな。よし、ではテストしよう。これから敵が来る、君一人で倒せ」
「分かり……まし……た?」
「質問する時は手を挙げてからだ。分かったら返事しろ」
「は、はい!」
「いい子だ。じゃあ行くぞ」
ジャハトは指パッチンをした瞬間、公園からワープした。懐かしいブランコ、滑り台、砂場がある。ここは……
「な、なんで……? どうして……?」
昔、スピジュンとよく遊んでた場所だった。
「これは……昔の記憶なのか……?」
「おい、早く来い」
向こうから声が聞こえ振り向くが人の気配がない。
すると、無線機から音が鳴り、出る。ジャハトの声だった。
「どうだ? 気分は」
「せめて地球の最後の日にすればいいのに」
リリイは少し笑った。ジャハトも笑う。
「あぁそうだな。んじゃあ頼むよ。じゃあな」ジャハトは無線を切り、ポケットにしまった。リリイは手を上に伸ばし疲れをほぐす。
「さぁ、テストを始めようか」
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