Ver1.5【D=F・C】
『D=F・C。年齢二十二歳。 IDA78652。名前はレヴィナと名ずけた。私の可愛いロボットで、やはり作った甲斐があった。ついでに私の友達も釣られるかのように機械生命体を作ってた。名前は○○で、形態コード【100086E△】って言ってて、こっちも凄い出来だ。そのせいかノーベル賞を取った。流石、我が友よ。私の自信作の人工知能で、試験が合格すれば世界は認められこの娘も喜ぶだろう。
――五月三十日。現実は甘くなかった。試験官も呆れて破棄する提案だった。そもそもこれは試作品の出来でまだ改良する所が多い。やっと、ゴミ処理場に捨ててあった鉄の塊を集めて拾い上げて作ったのにまさかの、不合格。心が折れる。五千六百年、三月六日、午前七時三十七分』
『製造番号538512。廃棄されるはずだった、試作人工知能、製造者:D=F・C。この人工知能、テスト中突如暴走を開始。他のアンドロイドを破壊する行為を始める、試験官は激怒、お陰で公安警察【CSR】呼ばれる事態になった。その為、破壊命令が出された、だが破壊出来ずそのまま廃棄する事になるかと思われた矢先に起動。初期化されたのか性格が、穏やかになった為破壊する事などは不可能と判断した為、廃棄はせず別れる事になった。このロボットは危険過ぎる……。この事は他の奴には絶対に秘密にするべきだと考えた。そして私だけが知っている事実となった。五千六百一年、六月十六日、午後三時三十分』
『何かを間違ったかもしれない。あの平和な世界がこんなに早く終わるとは、いつもの生活は何処だ? いつの間に戦争状態だ。何が起きたんだ?五千六百四十四、八月十五日、午前十一時半』
『あれから何年も経っただろう……。一向に終わらない。私が間違ってしまったせいで、もうどうしようもない。今は地下で避難してる。いつか地上で平和な暮らしが出来ることを祈りながら。私は今何をすべきなのか?』
『今日で。もう駄目だ。この世界の終末が見えてきた。誰か!助けてくれ!!お願いだ!! 五千六百六十年、九月二日、午後九時十七分』
『ああ......月日は経ち、そろそろ老けてきた。髭も伸びて、白髪は気付いたら増えてた。わしの娘は何処じゃ? もう十年以上は経ったのじゃが、まだ地下に避難してる。この、生活も飽きてきた。食料も底を尽きてきそうだ。するとドアからノックの音がする。多分避難者だろう......』
「レヴィナさん。起きてくださいよ。朝ですよ」
(なんだ。この違和感は)
「おはよう。アル」
「レヴィナ少佐。何かうなされてたけど大丈夫ですか?」
「あぁ……。なんでもない」
……。
(嫌なものを見てしまった気がしたぞ)
「まあいいです。今日は任務があります。まずはウイルスのゲリラ阻止へ行ってください」
「分かった」
ここは【トレヌークの雪原】霧に遮られ寒い所の中、私とゼネルとジューコフ隊長が雪吹雪の中現場まで歩く。
力強いジューコフなら楽勝に終わりそうかもしれない。
「あ、おいレヴィナ。お前宛の手紙があるぞ」
ジューコフが渡し、受け取る。
(差出人の名前が無い?)
『拝啓 親愛なるレヴィナ様。貴方はこの手紙を読んでますね。
それは最後の仕事であり使命でもあり願いでもあるシステマティックメッセージだ。
今、人類はウイルスにやられ絶滅の危機を迎えている。だが、この世界がなくなる前に、この世界を救える英雄を探せ。
私が何故こんなことを書いたかと言うと君を探す為だからだ。私は今までウイルスを倒す為、この地球を守ってきた。でも限界はある。いつかウイルスを倒せる者が現れると思ってたがそんな人は現れないまま時間が流れていった。そしてもう限界だった。このままでは全人類の98%以上が死に絶えて、世界が終わるかもしれない。その事態を避ける為に君に頼みたいことがある。君の持つ力はとても凄まじいものがあるだろう? 頼む、この世界の命を。
最後に一つだけ言わしてくれ、君のことを心から信頼してるんだ。これからも、一緒に生きて行こう。君の幸せを願う。愛してる』
これを見て涙が出るのを止めれなかった。これは遺書みたいなものだからだ!私は泣きながら言った。
「皆聞いてくれ!」と私は言い、皆を集める。
ジューコフが聞く。
「なんだ?」
「これを見てくれ、内容は……『私達の命を助けてほしいとの事です』と言ったところかな」
「ふーん」と言って興味無さそうな反応をする。
「なぁゼネル。なんとも思わないのか?」
「何がだよ、レヴィナ」と少し不機嫌になった様子で言う。
「あの人は……もう居ないんだ」
「じゃあ、この栄光を称えお墓作らなきゃだろ!?」とジューコフと私は言う。気持ちは嬉しいけどそこまではしなくてもいいけど……とレヴィナが思った瞬間、
「おいお前たち、いい加減しろ、お葬式は明日やるぞ」
いやジューコフ、聞いてるの?
「でも、まだ居るかもしれないよ。探したら見つかるかもしれないから」
ありがとうゼネル、私の気持ちを理解してくれて。
「そ、そうか?」
「うん」
「分かった! 探してみるぜ」
「ありがとう」と言いながら私は笑顔を見せる。ゼネルは大袈裟に目を瞑る。
「うわっ、眩しい。目が焼けるぞ」
「ん?」
「あっ、いや。なんでもない、なんでもない」
手を上に上げ、大きく振る。何か変な事言ったけど空耳だと思うね。
「おい、お前らもう現場に着いたぞ」
「僕の出番が来たかな」
「強いウイルスな予感がするね」
吹雪が激しくなり、辺りが白くなってきた。
「――寒すぎるわ」
「寒さ対策バッチリなのにまだ寒いな」
『ウイルスが大量発生してます!!』
対策班の兵士が指さした。よく見ると黒い影が並んでおり、姿を現すとウイルスの大群がこっちに来る。
「どうしよう……こんなに居たら私たちでも厳しいかも」
レヴィナはそう言いつつも冷静に敵を見る。
「構え!!」
ジューコフの命令で兵士は銃を構え撃つ準備をする。
「撃て!!!!」と言うと同時に、発砲音が聞こえ始めた。だが全く減った感じがしない。
「何これ、全然減らないじゃん」
「レヴィナ、後ろからも来ている!!」とゼネルが叫ぶ。振り向くと、後ろからウイルスが迫っていた。
「嘘でしょ!?」すぐに撃ち始めるが、それでも数が多すぎて対処出来ない。
「このままじゃ……」
「僕に任せて」
ゼネルが用意したのは『M76』の携帯型バズーカだった。筒と筒のネジ穴に回し、ストックとグリップを筒に付けるだけで撃てる。持ち運びに便利だ。
バズーカに狙いを定め、ウイルスの方に撃った。爆音鳴らし、目の前の爆発は一瞬の閃光から黒い煙が登る。雪と共にウイルスも消えた。
「――どうだ?」
「......ゼネル、役目忘れてないか?」
そう、ゼネル任務はウイルスの偵察をするはずだったのにバズーカ一つでウイルスをかなり減らした。阿呆なのか楽しみたいのか分からなかった。私達の任務が無くなるから止めて......。
「え? あー、そういえばそうだった気がする」
今更気付いたように反応する。まぁ、いつもの事だけどね。
まだ後ろにも大群が迫って来てる。
「ゼネル! バズーカでぶっ飛ばして!」
「もう弾ないよ」
「……は?」
「だから弾ない」と言いうと。レヴィナは溜息を吐き、仕方なく剣を取り出した。
「しょうがないわね、援護射撃お願いね」
「了解」
レヴィナと兵士二人はウイルスに向かって走り出した。
「行くぞぉおおお!!!」
ジューコフの叫び声でウイルスは怯え、動きを止める。そこを狙いレヴィナ達は攻撃する。
「うりゃああ!!」と、レヴィナが思いっきり薙ぎ払う。
「おらあああっ!!!」と、兵士がウイルスの頭に突き刺す。
「せいやああ!!」と、もう一人の兵士がジャンプし、ウイルスの首を斬り裂いた。
「……はぁ、はぁ、はぁ」
レヴィナが肩を上げ、呼吸をする。兵士二人が倒した後、レヴィナとジューコフともう一人は体力切れで倒れてしまった。
「……レヴィナ大丈夫か?」
「……何とか、ねぇ、そっちは?」
「俺も問題無い、お前のお陰で助かった」
「それは良かった」
「くっそー、倒してもキリがないや」
「そうだな、この調子だといつまで経ってもこの状態が続くだろう」
「うん……」
「……おい、あれ見ろ!!」
「ん?……何あの光」
何かが上空に現れたと思うと、そこから光が降り注ぎ辺り一面が眩しいくらいに輝き始めた。
「なんだ!? 一体どうなってんだ!!」と、ジューコフが叫ぶ。
「分からないわ、とにかく今は逃げるしかない!」と、レヴィナは言う。
「くっ、仕方ないか……」
兵士達は急いでその場から離れ、レヴィナも一緒に逃げた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「…………どうだ?」
「多分、大丈夫だと思う」
「そうか、なら良い」
「……ねぇ、さっきの光ってなんだったのかな?」
「分からないよ」
「いや、多分あの光は......」
「どうしたの?」
「……なんでもない」
「ふぅ~、やっと着いたぁ」
「あぁ、疲れた」
「とりあえずアリサに報告しないとね」
「そうだな」
と、その向こうにロボットらしき姿がこちらに近づいてくる。何か嫌な予感がする。
「なんだあれ?」
「見たことないな、このロボットは」
と、その時ロボットが私達の方にジャンプしてきた。
「えぇ! ちょっと待てよ!! 嘘だろ!!」
「うわぁあああっ!!」
「うわああああ!!」
と、兵士達の叫び声。
「危ない!!」
と、レヴィナは兵士を押し、間一髪で踏まれずに済んだ。
地面に着地したロボットは雪しぶきが飛んで来た。皆は無事だそうだ。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「大丈夫か?」
「なんとかな」
「一体何が起きたんだ?」
「分からないわ」
改めて見るとロボットっていうより鎧を着ており、槍には返しがあって刺さると抜けれない。それより、大きさは私達の二倍以上の大きさで、巨人が現れたみたい。
『レヴィナ......』
私の脳内に懐かしき声がした。
「おい、お前ら怪我は無いか?」
「それより早く、その鉄の巨人を倒すのが先でしよう」
「分かった、行くぞ!」
私は剣を抜き構えた。すると相手は槍を構え突進してくる。
「来る!」
「任せなさい!」
私は、前に出て相手の攻撃を弾く。その隙に反撃に出て剣を切る。しかし、相手の鎧が硬すぎる。鉄の巨人が攻撃を仕掛けてくる。
「危な!」間一髪避けることが出来た。それにしてもなんて重い攻撃なんだ……。これじゃあ勝てっこ無いじゃない……どうすればいいんだ? そう考えているうちにまた鉄の巨人が槍を振る。今度は避けきれずに攻撃を受けてしまった。吹っ飛ばされ木にぶつかる。
「くっ、痛いなぁもう!」
「レヴィナ!」
「大丈夫、まだ行けるから……」と言いながら立ち上がる。
「無理しない方がいいよ……」
と言うも、立ち上がり、再び戦い始めた。
「――ゼネル、行くよ!」
「あぁ」
と、二人は攻撃を始めた。しかし全く歯が立たない。
「うぉおおおりゃあ!!」
と、ジューコフの攻撃が、当たるもびくともせず、槍を振り回す。
「ぐはぁっ!!」と、吹っ飛ばされる。
『レヴィナ、まだだ......』
謎の声がまた聞こえる。
「くそ、俺がこんな奴にやられるとは……!!」
と、ジューコフは立ち上がった。
「レヴィナ!逃げて!」
「そんな事出来ないわよ!!」
と、レヴィナは剣を構える。すると、ロボットの槍がレヴィナの方に向かう。
「レヴィナ危ない!!」
と、私は槍を避け、ジャンプをして肩に乗り、首を切り裂いた。
「よし!」と、喜ぶと、ロボットは倒れる。
「倒したのか?」
「やったー!!」
皆が喜び出す中、私はまだ油断できなかった。向こうに人影が見えていたからだ。
「待って……誰かいるわ……」
と、言った途端、何かが飛んできた。
「きゃあああっ!!」
「な、なんだ!?」
と、皆で確認するとそこには一人の少女がいた。何か前と同じ事が起きたような気がする。
「あなた達は何者ですか?」
「私はCSPAのレヴィナです」
「俺はジューコフだ」
「僕はゼネル」
「よろしくお願いします。名前はモラです」
「私はロレ」
「私はリン、よろしく。ところでここはどこ?」
「あ、それは……」
と、レヴィナは説明した。
「なるほどね。分かった。とりあえず、帰らせるように転送装置送るから待ってて」
「分かりました」
「――おい!ウイルス反応が出とるぞ!!」
一人の対策班の兵士が何か異変に気付いた。
「なんだと!?」
「ま、まさか......」
「――仕方ないですね。こんなに早くバレるとは……行きましょアリッサ、アイリス」
「リリイさん。そうだね、ここは片ずけるしかないですね」
「早く倒しましょ!」
三人の少女が一斉に攻撃し始めた。
「――なっ、早い!!」
と、驚くも、なんとか避けた。
「――えっ!?」
と、ゼネルが避けると、目の前にもう一人少女が現れたのだ。その瞬間攻撃されそうになった。その時、後ろから攻撃される。
「大丈夫か!?」
「大丈夫......」
と、言うとゼネルはその場で倒れた。
「なっ、ゼネル!?」
「くそっ! なんてことだ!」
ゼネルが倒れてしまった事に動揺している隙に少女は攻撃してきた。そして、ジューコフの方にも攻撃し、ジューコフも倒れる。
「なんだ? もう倒れちゃったの?」
「リリィさん、いや、コード23647PS(3)。余計に敵を刺激してはいけませんよ」
「それよりせっかく上手くいくと思ったのに、つまらんかった」
姿を変える。リリィと言う少女の容姿は、白髪ロングヘアー、赤い瞳、黒いマント、白いドレスを着ていた。見た目は完全に美少女である。
「まぁ、いいか。さてと、お前達には死んでもらうよ」
そう言って指パッチン……すると、呪いにかけられたかのように体が動かなかった。
「な、なんだこれ!? 動けない……! 何故!?」
「お主ら、今から死ぬのだから知る必要はない」
と、言って魔法みたいに欠片を私の方に突き刺した。
「くっ……!!」と、苦痛と共に、倒れた。
「あ、私こういう光景無理かも」
リリイはレヴィナの光景を見て引いてた。
「うぇ、可哀想〜」
「リリイ達、女性に対してそれはないんじゃない?」
アリッサが任務を終わったと思い休憩する。
「それより早く帰って寿司食べに行こ」
「この女は?」
「狼に食われるから大丈夫」
リリィ達は、会話しながら私を見て去っていった。寒い極寒の中私は目を瞑った。
「――んっ……」
目が覚めるとさっきの場所であった。
吹雪が止み視界が良好になった先に頭が突き出てた人が埋まってた。
「――痛っ!」と、声に出してしまった。痛みに慣れてるので、刺さった欠片を抜き、埋まってる人に向かう。
「――えっと、大丈夫ですか?......!?」 目の前には私の作ってくれた博士が居た。
驚きながら掘り起こす。間違いない、私の博士だった。
「博士!起きてください!」と、言うと意識を取り戻したのか起きたのだ。
「あぁ、その声はレヴィナか」
「博士、安心してください、今救援を呼びます!」
すぐ無線チップを呼ぶが
「いや、わしはここに残るぞ」
「なっ!?何を言ってるんですか!そんな事言わずに早く逃げましょう!」と、言うと「いいんだ……もう、わしは助からない……」と諦めてた。
「諦めちゃダメです!絶対助けますから!」
「もう、遅いんだよ……。手遅れだ」
「何言ってるんですか!!まだ生きてるじゃないですか!!」
「お前に会えて、生きてるだけで嬉しいんじゃ。お前だけ生き残れ」
そう言い残し息を引き取った。
――私は涙を流しながら救援を呼んだ。
「はい、こちらCSPAです。どうかされましたか?」
「うぅ、ぐすっ、ひくっ、救援を頼む。場所はトレヌーク雪原の北、五百メートル」
「あ、はい。了解しました。直ちに向かいます」
救援が来るまで待つことにした。
ようやく三十分でUH55Fヘリコプターがこちらに到着した。
意識朦朧で体力がもうない私達は肩を組まれ、ヘリに乗る。
目覚めた時には病室のベッドに寝ていた。
「――うっ」
「レヴィナさん、目が覚めましたか」
「あぁ、アル?」
「そうですよ。レヴィナさんの身体に異常がないか調べた結果、特に問題はありませんでした。良かったですね」
「ありがとう」
博士......あなたは最後までがんばりました。そう心の中に伝える。
「――っ!」
涙が出そうになった。
「どうしました?何かあったんですか?」
「何でもないわよ……」
と、誤魔化すが、目から溢れるものを抑えられなかった。
「そうですか……。なら良いのですが」
「うん……ごめんね、心配かけて」
「いえ、気にしないでください」
「……」
「……」
沈黙が続く中、アルは椅子に座る。私は本を読む。と、廊下から走って来る足音がした。ドアを開けた時誰かと思ったらアリサだった。
「レヴィナ!大丈夫か!?」
「え? あぁ、うん」
「あーよかった〜、お前がどうなるかと思ったわー」
「そんな大袈裟な」
「それよりこれはまずい状況になったな」
「ごめんなさい」
「まぁいいさ。とりあえず警戒クラスCにする。ここにいるのは時間の問題かもしれない、なのであたし達が『邪魔者』を倒してくる、お前はそこで待ってろ」
そう言い残し二人は出ていこうとするが
「待って!」
「――なんだよ」
私は立ち上がり、机に置かれた剣を手に取る。
「私も行くわ」
「はっ、何言ってんだ? 無理だよ、てめぇはここでじっとしてればいい」
「一人で戦うなら私も一緒に戦った方が効率が良いでしょ?」
「それは……」
図星なのか言葉が詰まる。
「それに私だって戦える!」
「......あっそ、好きにしろ」
「レヴィナ少佐! 危険ですよ!!」
私は無視し、部屋を出て階段を下っていった。
この行動、新人の頃と同じことをした記憶がするな……。また無茶をして大怪我をするのかしら。
着いた。やはり、セキュリティレベル一は突破されてるわね。警備兵達が倒れている。
「少佐殿! やっと来ましたか。今見ての通り我々の兵では歯が立ちません。どうか助けてください!」
「分かったわ、すぐ終わらせましょう。敵はどこ?」
「あそこにいます!」
指差す方向には大きな黒い影。まさかあれは、 ヴェスプライディン!
「――はぁぁぁあ!」
私は走り出し、剣で斬りかかるが、 硬い、まるで金属のような物質で覆われた身体をしているみたい……。
そして腕を振り下ろし攻撃してくる。その攻撃に当たり腕に当たる。
「くっ……!?」
腕に痛みが走り、腕を押える。
「レヴィナ少佐!!」
「大丈夫よ。それより、あなた達は下がってなさい」
「あ、承知しました」
私は立ち上がり再び走るが今度は敵が蹴り技を使い、飛び込んでくる。
「――ちぃ!」
ギリギリ避けることが出来た。しかし、さっきの攻撃でダメージが大きい……。このままじゃやられる。 何か手はないのか? そうだ、あの能力なら。
「これまでだ。みじん切りにしてあげる」私は剣を構え、構える。すると、相手も攻撃態勢に入ったようだ。
よしっ――今だ!!! 私は剣を前に突き出し、相手の腹辺りを思いっきり突き刺す。そして、剣を抜き、細切れになるまで切り裂いた。
「―――――!」
声にならない叫びを上げながらウイルスはバラバラになりながら吹き飛ぶ。
やったか? いやまだ分からないな……。
「少佐!」
後ろから声がして振り向くと兵士達が駆け寄ってくる。
「よく頑張ってくれました、後は俺達に任せてくれ!」
そう言い残し去っていった これでひとまず安心かな、私は去ろうとしたが、目の前から人らしき物体が私を殺してきた。
「うわあああっ!」と兵士の一人が叫ぶ。どうしたんだ? 私は振り向くとそこには、バラバラになったはずのヴェスプライディン組織が立っていた。しかも同じ顔が複数増えてるが攻撃はせず兵士を見つめる。
「なっ……!?」
なんで生きてるの……?
「ふぅ……全く、俺の部下はすぐ死ぬんだから」
目の前からいきなり謎の男が姿を現す。
「もしかして......」
「俺はe-456。タリヤ・ロナーベル。ヴェスプライディン組織でいいと思う。お前らが名ずけたけど多分そうだろう。まぁ、そんな事より、コアはどこだ? コアがないと面倒なんだけど......早く、くれないとこのコア爆発するよ」
一体何言ってるのか分からなかった。こういう手口は何回も聞いたことあるから詐欺で間違いない。
「それで貴方がもらってラッキーって言うことかな?」
「ちっ、騙されないか......ならいいだろう。死ね!!」
e-455はいきなり襲ってきたが、その前に兵士が一人立ち塞がり、
「させるわけないだろうが!!!」と言い放ち、殴りかかった。
「ぐほぉ!?」という叫びと共に吹っ飛んだ。そしてもう一人の兵が、銃で撃ちまくっていた。
しかし銃弾は身体に当たるものの貫通せず跳ね返されていた。まるで鋼鉄のような肉体をしている。
「覚悟だ!!」と言って拳を握りしめ殴った。でも、殴っても硬かった。体全体が鋼鉄になっている。
「くそっ! こいつ不死身なのか?」
すると、兵士達の動きが止まる。
「くっ......! なんだ!? 体だ動かねぇぞ」
「体が動かない……だと!?」
そしてe-454は口の血を拭き、こちらに向かってきた。
「――ッ! やめっ」
「嫌だね、ちょっと貸すだけだからな」と心臓を突き破り、チップを引き抜いた。そして、その男がチップを吸収する。
「嘘......でしょ......」
「ふう〜気分が良くなったぜ」
「じゃあ、死んでくれよ。そしたら返してやるよ」と腕を振り下ろす。
その時だった。突然私の身体が動き出したのだ。
「なっ!?」
私は引き寄せられるかのようにe-446の方へと向かっていった。
「く、来るな!!」私は剣を振るうが、相手はそれを片手で受け止めた。
「は、離せ!」
「断る。お前がここで死ねば仕事が減るからな」
男の手が私の顔を掴もうとしてチップを引き抜こうとする時、その手が止まった。
「くそ、時間だ。また今度会おうじゃないか」
そう言い残し去って行った。
「大丈夫か!」
「レヴィナ少佐!」
兵士とアルが駆け寄ってくる。私は恐怖で呆然としたけどなんとか正気を取り戻した。
「あ、うん。大丈夫」
「急に襲われて……すまないが、俺達では手に負えなかったんだ」
「ごめんなさい、私がもう少し早く来てれば良かったんですが」
「い、いえ、助けてくれてありがとうございます」
「そういえば、あの男の組織は?」
「……ヴェプライディン組織です」
アルが組織名を言う。ヴェスブラインは私が倒した中では苦戦した戦い。強固な体をしてて銃弾でも弾く。もし倒したとしても本体を倒さない限り生き返ることが出来る。
「なるほど、厄介な奴ですね……」
「どうします? この事は上に報告した方が……」
私は報告するか迷っていた。まず、報告すると任務失敗になり降格されるか謝罪書を書かされ賠償が高くなる。
今回は、百万は超える。
もう一つは奴は用事で逃げたから。何か手がかりがあるかもしれない。
なので、報告はせずにそのままにしておいた。
「いや、やめておこう」
「なぜです?」
「報告しても面倒になるだけ。だから私は報告はしないよ」
「少佐が言うなら私も報告はやめておきましょう」
「それに、さっきの男を探さないと行けないからね。また次に備えてあの男を偵察するよ」
「そうですね。では本部に戻りましょう」
今回はあの男を倒すことは出来なかったが、何かヒントを近づくことが出てきた。次、現れたら捕まえて吐いてもらおう。
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