体型なんて関係ねえ

signo組での休み時間。

ペン軸の太さが違う3人のブラックたちが集まって話している。

「0.28と0.38はいいなー、私体型まじコンプ」

ややぽっちゃりタイプの0.5が嘆いている。

「えー、でも細けりゃいいってもんでもないじゃん、成績優秀で入学した0.18、細すぎて身体壊しちゃって結局学校やめざるを得なくなったし……」

0.28は、旧友を思い出し切なそうな顔をしている。

「それ考えると0.38一番勝ち組じゃん? 大抵の服似合うしさー」

「だよねー」

0.5と0.28に言われ、0.38が少し困っていると0.7がドアを開けて入ってきた。

「なーにみんな辛気臭い顔してんのよー」

0.7は、「太字」という二つ名を持つくらいのまあ……肥満体型だ。

「あ……うん、体型のことでみんな悩んでてさー……」

0.7を目の前に体型の話をするのはどうなのか、と遠慮がちに0.38が口を開くと、0.7はあっけらかんと

「え? でもさ、あたしたち痩せようとか太ろうとか思ったって無理じゃない、体質的にさー。あたし別にこの体型でいいと思ってるよ?」

と言い放ち、続けた。

「この体型だからできることもあるしさ、大きい封筒に字書く時あたし重宝されるんよ。0.28とか0.38は字が小さい人にはすごく役に立つし、0.5はちょうど読みやすいじゃん。悩んでもどうにもならないこと悩んでてもしゃーない、適材適所!」

あははーと明るく笑う0.7に一同ぽかんとしていた。

一番体型気にしてるの0.7じゃないの?

え、あんなに開き直……いや、前向きに生きられるの?

適材適所……考えたことなかった。

それぞれさまざまな思いを巡らせながらも沈黙しているとチャイムが鳴った。

「授業始まるよー! 悩んでると集中できないよー」

そう言いながら0.7は席についた。

0.28、0.38、0.5もそれぞれ自分の席についた。

適材適所。

確かに自分たちは悩んでいても体型が変えられるわけではない。ならば自分の向いていることに力を注げばいい。

0.7の発言に、かなり勇気をもらった3人であった。

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