第17話 友達

「あ、オーシャン!」


ロココが笑顔で手を振って来た。

「もう食べちゃったの?一緒に食べようと思ってたのに・・。」

ぷくっと頬を膨らませる。


「クラスメートと一緒に食べてたんだよ。」


「あら、失礼しました。私ロココと申します。」


「・・・・。」


あれ?どうしたんだろ。

クリフはぼーっとしているようだ。

ほんのりと顔が赤い気がする。


「はっ。え・・とぼくはクリフです。よろしくお願いします。」


慌てて答えるクリフ。


「変なの。」



****



俺は勉強をクリフに教わることになった。

代わりにお昼をおごることにした。


「俺って全然分かってなかったのね。」


「それでよくポーション作れたよ。逆にすごいかも。」


魔法の基礎から


火魔法

水魔法

風魔法

土魔法

色々な魔法があるらしい。

まだ発見されてないものもあるかもしれないとのことだった。


俺は光属性があるらしくて、練習すれば回復魔法などを使えるようになるらしい。

もしかして、聖職者の方が向いていたのかも?


大事なのはイメージとの事だった。


「オーシャンは冒険者になるの?」

クリフにかれる。


「もう冒険者だけどね。それに一応商人だし。」


「あ、はは。変なこと聞いちゃった。」


この学院に通う生徒はこれから将来を決めるところだ。

「ぼくはね、仕事っていうか・・エリクサーを探そうと思ってるんだ。」


「そうか・・。」

母親が病気なんだっけ。


「薬とか買えば良くなるとかじゃないんだ?」


「原因不明だから・・。」



****



「今度の休み空いてる?」

クリフが聞いてきた。


「実は…母にオーシャンの話しをしてたら、会ってみたいって言われて…嫌だったら断っていいよ。」


「大丈夫だよ。」


休みの日は寮でポーション作ってるだけだし、ロココにデートに誘われるくらいだしな。


何か手土産とか持っていったほうがいいのだろうか?



****



「いらっしゃい。」

小さな木造の一軒家。


「来てくれてありがとね。」

クリフの母親が挨拶する。

病気のせいか弱々しいが、笑顔で迎えてくれた。


「ベッドに寝てなきゃだめじゃないか」

クリフが慌てている。


「今日は体調がいいから大丈夫よ。」


「お友達が出来て、いつも嬉しそうに話すからどんな人なのかなって気になっていたのよ。クリフと仲良くしてやってくださいね。」


「これ、良かったら…。俺の作ったものですけど。」

俺は、ポーションをいくつか鞄から出した。


「この小瓶は疲れた時に飲むと元気になるポーション、こっちは聖水です。」


「キレイな瓶ね。」


「瓶は実家の店で取り扱ってる自慢のものです。」


「模様が付いてるんですよ。あまり気にならないみたいですけど。」


「元気になるって面白い発想だわ。」

彼女はそういうと何を思ったか、聖水の瓶を開けた。


「あれ、それ・・」

と言っている間に聖水を飲み干してしまった。

別に害にはならないけど・・。

彼女の体がうっすらと光りだした。

聖水の魔法力だろうか。


「気のせいか、元気になった気がするわ。」


病は気からと言う。

信じると薬じゃなくても良くなるらしい。

それでも少しは良くなったらいいか。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る