第16話 噂のポーション

「オーシャンです。よろしく。」

教室に入ると、俺は軽く挨拶をした。


長方形の部屋に机が並べられている。

前方には黒板があった。

年齢が近そうな人たちのようだ。

男女比率半分くらいか。


授業が始まった。

分からない用語が所々出てきた。

しょっぱなからきついな。

本を見ながら話を聞く。

後で誰かに聞かないとな。


昼の休憩時間になった。

食堂かあるって言ってたっけ。

そこへ行けばいいか。

ロココにも会えるだろうし。


「ぎゃはは~。」

教室の隅で、からかわれている生徒がいた。

俺も幼馴染によくからかわれていたっけ。

3人が1人を囲んでいる。

3人のうちの1人が、バックの中身を勝手に出した。


「綺麗な瓶じゃね?どしたのこれ?盗んできたんじゃねえ?」


「それは薬の瓶だから、取らないで・・。」


よわよわしげに反論する一人。

あれ?

あれどっかで見覚えあるなぁ。

少し遠いからよく見えないけど・・。


「母の薬なんだ。返してくれ・・。」


いじられている彼の手は、空しく空中を泳ぐ。

3人は瓶をキャッチボールし始めた。

何だか見てられないな。


「それ見せて?」

俺は一言いい瓶を奪い取った。


「あれ、転入生?一緒に混ざるか?」


呆れた声を出す男たち。


「いや、いいよ。」


「・・・・。」


気弱そうな少年の腕を引っ張り食堂へと向かう。


「ぼく、お金ないです。」


テーブルの前で水だけ飲む少年。

しょうがないな。

俺は、二人前のランチをテーブルに運んだ。


「食べていいよ。俺お金持ってるから。」


「え・・でもわるい・・」

ぐう~~

おなかの虫が鳴った。


「とにかく食べなよ。話したいことあるし。」


「ありがとうございます。」


食堂のAランチ定食。

パンにスープにサラダ。

値段もそんなに高くないと思うけど。


「いつもお昼たべないの?」

首を縦に振る少年。


「名前聞いてもいいかな?」


「ぼく、クリフです。お昼ご飯有難うございます。いつか・・返しますから。」

クリフは黒色の髪に黒い瞳をしていた。

あまり見たことないかも。


「いや、いいよ。それより聞きたいんだけど、その瓶なんだけどさ。」


クリフは俺に手を合わせた。

「昨日はごめんなさい。持ってくるつもりなかったんだけど・・お願いするつもりで部屋に行ったんです。そしたら寝ていて・・袋が開いていて瓶が見えたのでさわってたらオーシャンさんが起きてきたのでびっくりして・・逃げちゃいました。」


はぁ・・俺はため息をついた。

「それくらい別にあげてもいいけど。でもそれ病気が治る薬じゃないからね。」

クリフが持っているのは元気になる薬だ。


「疲れてるときに元気になるくらいだよ。」


「そうなんですか・・。噂のオーシャンさんだから、病気にも効くのかと・・。」


「俺のは回復ポーションで、怪我とかが治るやつだよ。それから俺はオーシャンでさんは付けなくていいから。」


病気か・・そういうの治すのって薬あったっけ?

エリクサーとか?

伝説級のポーションだっけ。

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