第14話 手紙

王様に手紙を送って数日が過ぎた。

ロココと、奥の部屋で紅茶を飲んでいる。


「町で少し噂になってるよ。王様からの誘いを断ったって・・。」


「あ~~。まあしょうがないよな。」


本当の事だからしょうがない。


「オーシャンがまさか断るとは思ってなかったよ。」

ロココがちらりと俺を見る。


「馬鹿だっていう人もいるだろうけど、オーシャンの人生だもんね?逆に、王様にも認められてるって凄くない?」


「俺の事、惚れ直した?」


「ばか。」

頭をつつかれる。


「あのさ、私ここに住んでいいかな・・。」

ロココは俺に寄りかかってきた。

「今回のこと意外っていうかさ、何ていうか…。ずっと近くに居たい…。」


あれ、でも…。

「学校があるって言ってなかったっけ?」

ここから学校に通うには遠くないか?

「辞める。」


カラン、カラン

店のドアが開いた。


いらっしゃいませ・・と声をかけようとしたが、見るとロココの父親レインが店に入ってきた。


「すまないがロココお邪魔してないかね・・。急に家を出るとか言い出して・・。」


「・・来てます。」


ロココって突っ走るとこあるよな。

「家に帰ってきなさい。」


「やだ。」

俺の後ろに隠れるロココ。


「とにかく学校は最後まで行きなさい。それと彼と一緒になりたいのなら、婚約すればいい。」


ん?

何だか今穏やかじゃないワードが出てきたぞ?

『婚約?』

俺とロココは、はもった。


「結婚していいの?やった~~!」

ロココは上機嫌だ。


「学校はちゃんと行くんだぞ?」


「は~い」


「オーシャン、それとは別に王から手紙を預かってきた。」


俺は手紙を渡される。

開けて、内容を見て驚いた。


「なんて書いてあるの?」

ロココがのぞき込む。


今回の件は見送っておくが、いい機会だから、王都の魔法学校へ通ってみないか?

推薦をしておくから、来月には発つように。

魔法の勉強をすれば、ポーション作りにも役に立つであろう。


「良いんじゃないか。魔法の勉強にもなるだろうし、独学だときついだろう。」

確かに一理ある。

魔法に関しては色々知らないことが多すぎるんだよな。

ポーション作りも、もっと上手くなるだろう。


「オーシャン王都来るんだ。やった!」

手放しで喜んでるロココ。


お店どうしよう・・・。



****



お店は悩んだ挙句、実家の方と相談して在庫を引き取ってもらった。

やむなく閉店。

そんなに流行ってなかったけどね。

また、新たに店を作ればいい。

今度はきちんとお客が来るようなお店に。


少し寂しいけれど、数か月住んだお家とお別れ。

「またな。」

俺は、もぬけの殻になった家に挨拶して王都へ出発した。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る