第13話 やりたかった事

「凄いですね!ここでポーションの研究をしているのですか。」


「新たなポーションの可能性を探るべく、新商品の開発もしているのだよ。」

レオナルド王が部屋に来たことで、他の研究員も頭を下げる。

「邪魔するつもりはないから、続けたまえ。」

俺も作りたくてうずうずしてきた。


「どうだったかね?中々興味深かったのではないか?」

大部屋にレオナルド王と護衛の人と3人でいた。

向かい合ってレオナルドが座っている。

俺は普通の客人のように扱われていた。


「面白そうでした。俺も作りたくなっちゃいました。」


「待遇は・・私はそういうのに疎いのだが、金貨10枚程度でどうだろうか?一か月分だが。どうだろうか。」


金貨一枚で1か月分の給料と言われているから・・

半年は余裕で暮らせるぞ?

「働く日数も週4日程度で構わない。住むところも城の空いている部屋を使ってくれて構わないし、何処か借りるのなら用意させよう。」


誰もがうらやむ好待遇だ。

「どうしてここまで・・。」


「君を誰にも渡したくないからね。」


「考えておいてくれ。返事は急がないから。」



****



「んでどうするの?」

報告がてらロココの家に来た。

「私だったら、即決なんだけどなぁ。」


「まあ、普通はそうだろうね。王様って命令してくるものだと思ってたよ。」


この間から、もやもやしたものがあって、拭えない。

条件はいいはず・・なのに城勤めなんて名誉なことだし、願ってもないことだ。

家族にもいい思いをさせられるかもしれない。


俺は何をしたかったんだっけ。



****



家に帰って、ポーションを作り始めた。

最初は副業で作ってたんだっけ。

お店作る時は嬉しかったな。

お店自体の売り上げは全然だけど、ギルドにポーションを卸せるってなって嬉しかったっけ。


ああ、俺って最初からやりたい事してた。

答えは最初から出ていたのだ。


俺は王様宛てに手紙を書いた。



****



「ぷっ。」

王城の自室、レオナルド王はオーシャンからの手紙を見て噴き出した。


「どうかされましたか?」

護衛のシルバが声をかける。


「凄いよあの子、益々ますます欲しくなったなぁ。」


「”お店を続けたいのでお断りします”ってさ。俺だったら断る選択は無いな。」


「だったら、命令すれば良かったのでは?」


「命令じゃ嫌々でしょ?それよりは自分で決めました、のほうがやる気も出るだろうし。」


このままじゃ少し悔しいから、条件を付けてみるか。

レオナルド王はオーシャンに手紙を書いた。



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