10
縄を、用意します。丈夫な縄を。絶対に千切れたりなんかしない、強い縄を。
それで、輪っかを作ります。大玉のスイカや、ボーリング玉が通る程度の大きさであれば問題ありません。それらがすっぽりと通る程度の大きさに、輪っかを作ります。
輪っかを作ったら、輪っかの逆側を天井に引っ掛けます。その際、天井がぐらついていたり、剥がれてしまわないか注意してください。適切でないと思ったら場所を変えて、しっかりと固定できる場所を探してみてください。今回は、『俺の木』を使うことにしました。『俺の木』を折って、添えて、信頼できる、天井にしました。
ここまで来たら、残りはわずかです。椅子に乗って、作った輪っかに首を通しましょう。きちんと通せましたか? 縄は緩んでいませんか? 天井はしっかり固定されていますか? 問題有りませんか? ……なら、準備はこれで終わりです。後は、自分がいま足をつけているその椅子を、蹴り倒せば完了です。簡単なことです。誰でもできることです。さあ、いざ、足を踏み出しましょう。あちらに向かって、こちらを蹴り出してやりましょう。
さあ、さあ、さあ。
蹴り出しましょう。蹴り出すのです。蹴るんだよ。蹴り出せよ。蹴れよ。
蹴れよ、“嘉多広先生”。
蹴れ。
……なんだよ。
なんだよ、俺。結局、なんにも……先生のことなんて、ぼく、なんにも――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます