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 縄を、用意します。丈夫な縄を。絶対に千切れたりなんかしない、強い縄を。

 それで、輪っかを作ります。大玉のスイカや、ボーリング玉が通る程度の大きさであれば問題ありません。それらがすっぽりと通る程度の大きさに、輪っかを作ります。

 輪っかを作ったら、輪っかの逆側を天井に引っ掛けます。その際、天井がぐらついていたり、剥がれてしまわないか注意してください。適切でないと思ったら場所を変えて、しっかりと固定できる場所を探してみてください。今回は、『俺の木』を使うことにしました。『俺の木』を折って、添えて、信頼できる、天井にしました。

 ここまで来たら、残りはわずかです。椅子に乗って、作った輪っかに首を通しましょう。きちんと通せましたか? 縄は緩んでいませんか? 天井はしっかり固定されていますか? 問題有りませんか? ……なら、準備はこれで終わりです。後は、自分がいま足をつけているその椅子を、蹴り倒せば完了です。簡単なことです。誰でもできることです。さあ、いざ、足を踏み出しましょう。あちらに向かって、こちらを蹴り出してやりましょう。

 さあ、さあ、さあ。

 蹴り出しましょう。蹴り出すのです。蹴るんだよ。蹴り出せよ。蹴れよ。

 蹴れよ、“嘉多広先生”。

 蹴れ。


 ……なんだよ。

 なんだよ、俺。結局、なんにも……先生のことなんて、ぼく、なんにも――――――――

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