第2話 本性


「え~、何言ってるの?私がそんなことするわけないじゃん」

妹は薄気味悪い笑顔をつくる

「なら、お前は本当にやってないんだな」

「だからそういってるでしょ。お兄ちゃんは私の言うこと信じてくれないの~」


妹は猫なで声で答える

お兄ちゃん。いつぶりだろうか、小学生以来だと思うが、僕はその言葉が身体に押しかかるようなものに感じた



「…はあ、わかったよ。一度信じてみる」

「さすがお兄ちゃん」



僕と妹の会話は終わった








「な、なあ最近は妹さんの様子は大丈夫?」

あれから一週間経ち、妹がまだやっていないか気になり友人に聞く

「…」

なにも反応がない



「どうしたんだよ」

「なんも変わってねえよ!!」

友人はそう言い先々と歩いていく。

僕はその距離を縮めることはできず、ただ友人の背中を見守るだけだった





「なんも変わってないじゃないか!!!」

怒りに任せて妹に言う

「も~、私はいじめてないよ~~」

「とぼけるな!」

妹の声が僕の声を大きくする

「そんなに言うなら証拠はあるの?}


「あるに決まってるだろ」

「…ふうん」

少し妹の様子が変わった


そう、俺は友人に何があったのかを電話で何度も聞いた

すると一枚の写真が送られてきたのだ



「これが証拠だ」

僕は一枚の写真を見せる

「これは…」


「お前がネット上でいじめてた様子だよ。SNSのグループから脱退させたり、執拗に集団で死ねや生きる価値がないだの暴言を吐いてる記録だよ」

しかも日にちは僕がいじめをするなといった次の日のことである


「これを見てもまだ何かあるか」

薄気味悪い笑みを浮かべる

「な~んだ。もうばれちゃったか」

あっけらかんと言う


僕はそのいつもと違う様子に驚く

「本当にお前なのか」

「なにおどろいてるの。これが素の私だから」



僕は気を取り直して聞く

「なんでいじめはやめろって言ったのに続けたんだ」

「楽しいから」

迷いなく答える

楽しい?いじめることが?


僕は妹の言葉が呑み込めなかった

「何を言ってるんだ?」



「え、わからないの?いじめることってすごく楽しいよ」

「楽しい?」

「だっていじめっていうのはたくさんの人を使って一人の人間をターゲットにするんだよ。つまり、自分の方が上の人間だなって再認識できるもん」

「それだけのために…」

「それだけっていっても自分たちと違う人って排除したいでしょ。だから最初は仲間外れにするために話の話題をその人だけわからないことにしたりして会話に入れないようにした。それからは少しずつ彼女の悪いうわさを流したりだとか」



楽しそうに嬉々としながら言う

「お前は正気なのか?これを両親が聞いたらどう思うんだ」

「いたって正気だよ。しかも両親にはばれることなんてないから」

「なんでわかるんだよ。僕が伝えるんだぞ」

「別に伝えてもいいよ」



問題なんてなさそうに言う

なんでそんなに平気そうにできるんだ


妹は僕の様子に気づき口を開く

「なんでか教えてあげよっか」



「だってお兄ちゃん一人が言ったとしても信憑性ないもん」

「信憑性?」

「そ。お兄ちゃんっていとこ達と連絡って取ってる?」

「いや、取ってない」

「でしょ?私は今でも連絡を取り合ってる」

「それがどうしたっていうんだよ」

「も~、鈍いな」


こいつ腹立つな

「さっさと言え」

「やれやれ、お兄ちゃん一人が私がいじめてるっていうのを言ったとしてもいとこ達と私がそれが嘘だといったら、どっちを信じるかな」


っ!

「…それは人数も多いしそっちだろ」

「ピンポーン!そのとおり。」




「いや、でもちょっと待てよ。そもそもいとこ達がそんなことに協力してくれるのかよ」

「フフフ、お兄ちゃんは知らないと思うけどいとこ達はいじめのことは知ってるよ」



え?





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