第9話 迷宮の管理?

その部屋は、真ん中に台座らしき物とその上に佇む球体しかない部屋だった。

大きさ的には、学校の教室程度かな…

高さもそんな感じだ。

迷宮の最下層と言っているが、転送により迷宮外に居る感じがする。


「アレが、コアってやつじゃな…」


ティアが答えてくれた。

何の害意も無さそうなので、コアに近づいて、手を振れてみる。

まぁ、正確には前足だ!


「起動…管理者ノアより、ライザに管理権限が譲渡されます。今後アロンは管理者ライザに従います。速やかに迷宮の管理をお願いします。」


えっ?

管理?

ノアって誰?


疑問が尽きないけど、どーしたら、良いんだろ?

と、悩んでたらコアが明滅し


「現在の迷宮の状態で維持しますか?難易度の設定も可能です。また、宝物等は迷宮での魔物素材、冒険者の残した武器防具、装備品等から自動作成を継続しますか?」


と、聞いてきた。


『とりあえず、今まで通りにお願いします。』


「イエス、マイ、マム!」


コアは優秀らしい…

のだけれども…

先程、コアから分離した光の珠が、薄いホログラムのように美少女が映し出されて佇んでいる。

今まで、ウンディーネさんやマーリンさんなど、前世では見たことないような綺麗な人は見てきたけど…

さらにあり得ないほどの美麗な少女が微笑みながら語り掛けてくる。


「何万年、何千年経っているか判らんが、初の迷宮攻略者じゃな…、妾はノアこの世界を支える神の一柱にして、慈愛の女神」


女神様?

とにかく、お座りして頭を下げる。隣でティアも平伏してる。

んだけど…、それはうつ伏せに羽を広げてるから…土下寝?と言うのではないかな?


「この姿は、コアに残した記録のようなモノじゃから、普通にしてて良い」


と、言われ

頭を上げる。ティアもチョコンと座り直した。


「まず、攻略おめでとう。そしてエンシェントドラゴンよ今までの役目お疲れ様だったのぅ…」


「畏れ多きお言葉ありがとうございます。」


「うんうん、ちょっと堅苦しいのが、面倒くさくなってきたから、妾もいつも通りにするから、そちたちも楽にな♪」


「ノア様は変わりませんね…」


と、ティアが言う


「まぁ、妾達にしてみたら、そこまでの時間経過があるわけでもないしの…お主は、おっきくなったのであろう?」


「はい、今はノア様が知る身体の大きさになっておりますが、この世界で最大に近い身体を得ています。」


「ほぅ、まぁ…ここに居ると言うことは、お主が負けて、生まれ変わって主を得たと言うことじゃからな…ちっこいお主は可愛いからな」


「あ、ありがとうございます。」


「で、お主が負けた相手は?」


「先程から隣に居りますよ?」


「なに?このちっこいワンコに負けたのか?ちょっと、コアちゃん、最終試練の状況見せて!」


「否、現在ノア様は管理者権限をお持ちではありません。」


「ふぉ!いけずじゃの?権限を渡したとたんにそれか?ちょっとだけじゃ、見せてちょうだい。コアちゃん…」


「宜しいでしょうか?ライザ様?」


今まで空気だったのに話しかけられた!


『あ、はい、お願いします。あと、ノア様はアロンの作成者でしょ?頼まれたら答えなきゃダメだよ?』


「…イエス、マイ、マム…」


不満そうだ…


「あら、良い子ね。コアちゃん、少しだけ見せてくれる?」


「イエス、前方に映し出します。」


コアの前方にスクリーンのような物が映し出され、上部にHP・MPと書かれたバーが…

昔懐かしの格闘ゲームのような…

画面では、チョロチョロ動く黒い小さい影と大きなドラゴンが戦ってる。

先程の戦闘が映し出されていた。


「うわぁ~、あの小ささじゃドラゴンには狙い辛いねぇ…、狙ってくるのも急所ばかりってえげつなくない?」


なんか、僕…卑怯だったかな?


「ノア様、ライザ様は小柄な体を活かし、数倍ある敵に挑んでるんです。しかも体力残量をみて下さい。」


HPと書かれたバーを見ると、僕の一撃はドラゴンの体力をかなり削っていた反面、僕は天井に挟まれた時でさえ、殆ど減っていなかった…


「元から力の差が大きかったんですよ。ライザ様に挑んだ私を褒めてください。めっちゃ怖かったんですから!」


えっ?


「怖かったって…あ~だから会話で終わらそうとしてたのね」


ノア様が笑いながら話しかける。

苦笑いのような表情で笑うティア


『えぇ~、ティアめっちゃ上から話しかけてきたし、強者感出してたから…』


言ってるうちにスクリーンでは、五大竜王撃がティアを襲ってた…


「あ、アレは無理ね…私でも怖いかも…」


ノア様が言う

怖いってことは、押さえられないわけじゃないんだ…と考えてたら


「うん、まぁ…何とかなら無いわけじゃないけど、結構な力が必要になるわね…

う~ん…ここまで力があるのは困るわね…迷宮から出ないなら良いんだけど、せっかく転生したんだもんね?外に出たいでしょ?」


『はい、異世界を回りたいです。』


「そうだよね。

ん~、コア!作成者権限で命じます。分体作成実行」


「イエス、オーナー」


コアから同じように銀色に輝く珠が作成された。


「ん、コアIIはライザに宿りなさい!」


銀色の珠が胸元に入ってくる…そのまま体内へ


「うん、そのまま暫くしたら馴染むわ。コアIIには、あなたの監視みたいなこと頼んでるけど、あなたの力になるはずだから、面倒見て上げてね?」


『あ、はい、僕に出きることなら…』


「あと、前世は男の子だったのかも知れないけど、今は女の子よ?僕っ子も捨てがたいけど…女の子らしくね」


と、笑いながらノア様が言う


「そろそろ、良いかしら?コアちゃんにいろいろやらせたから、力が足りなくなってきてるみたいね…

まず、ライザちゃんこの世界を楽しんでね♪

たまにコアII経由で頼み事するかも知れないから、そのときは宜しくね。

ティア…良い名前貰ったわね。大事にね。今まで、ありがとう。ライザちゃんを支えて上げてね。

コアちゃん、たまに覗きに来るから邪険にしないでよ?ライザちゃんの力になって上げてね。迷宮も宜しくね♪」


と、見惚れてしまう程の笑顔で皆に告げるとノア様のホログラムみたいなのは消えた。


『うわっ!なんか会話してたよね?記憶映像とかじゃないの?』


と、今さら感満載に独り思ってると


「ノア様のホログラムを写すと同時に神界へのパスが繋がるようになっていたようでした。」


と、コアから報告が上がる。


「だから、記録みたいなものだったのね…」


と、そんな風にしていると、頭の中で…


『情報処理終了、コアII始動により、アカシックに干渉できるようになりました。また、身体変化も可能となりました。』


と、報告が…


「コアIIが起動したようですね。コアII経由で、私へのアクセスも可能です。また、私からコアIIへのアクセスが可能なため、ノア様とのアクセスも可能になりました。」


コアが言う


『今後、宜しくお願いします。マイ、マム!』


「あ、はい!」


自分の中にもう一人いる感じ…

アカシックって…アカシックレコードってやつかな?全ての記録が保管されてると言われる場所のことなのかな?


『イエス、ただ管理権限により閲覧できないものもあります。』


そっか、ありがとうコアII!

あ、なんか照れてる♪


『照れてません!』


とりあえず、ウンディーネさんに会いに戻ろう!

あ、その前に身体変化出きるんだよね?

ヒト族に変化出きるかな?

と、問いかけると


『実行します。』


ブワッと体から魔力が吹き出たかと思ったら、人間の形で形成されていく

目線的に中学生くらいの身長かな?

140cmくらい、胸はおぉ~Bはある!下は…無い!前世で慣れ親しんだバットとボールはなかった!


すっぽんポン!


着るものは…無いね

なら、ワンコに戻って行動することにしようかなと、考えると

姿がワンコに戻る。

どうやら、身体変化は考えるだけでスムーズに変わるみたいだ。


よし、湖に戻ろう

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