第10話 外の世界

管理者の部屋からは、どこの階層にでも行けるらしく、コアによる転送で湖前に戻ってきた。

とたんに、水面が持ち上がり、ウンディーネさんが姿を表す。


「ちょっと、何があったの?そのドラゴンはなに?」


『あ、ウンディーネさん、この子はエンシェントドラゴンのティアです。僕の従魔になりました♪』


「エ、エンシェントドラゴン?って、どういうこと?」


『試練の階層で戦って、勝った時にドロップで良いのかな?したんです。

で、ついでにこの迷宮の管理者になっちゃいました。』


「はぁ~?」


若干、呆れてる感じが…


『まぁ、それは置いといてですね…』


と、続けようとしたら…


「置いとけるわけ無いでしょ?」


小さい水の玉が額にスコーンという音がなる勢いで当たる。


『置いとけないですか?』


「当たり前じゃない。まず、エンシェントドラゴンが出るなんて聞いてないわよ?」


「うむ、それはワレが説明しよう。まぁ、この迷宮の作成された女神ノア様のイタズラみたいなものだ。」


「女神ノア様?」


「うむ、まぁ続けると、本来ワレを打ち破るような強者は殆ど居らん!勇者とて単独では無理じゃろぅ…、本来はそれで構わんのだ。

ワレに破れたことで、慢心せず強くなることを目指すのが目的なんじゃが…、いかんせん、ライザは強すぎたのじゃ…、ワレを打ち破るような強者は、神界でも捨て置けんのでな、迷宮の管理を任せ、迷宮に閉じ込める予定じゃったのじゃが、ノア様に気に入られたみたいでな…、管理はコアに任せ自由に動けるようになった。

まぁ、ワレも従魔となって監視するし、コアの分体がライザには宿ってるから問題もあるまい」


と、ティアが説明してくれた。ティアの喋りがどうにもおじさん臭いのが気になる…


「………ん、まぁ判らないけど、判った!今まで通りで良いのよね?」


『はい、何にも変わりませんよ。転移を憶えたので、外に行ってもここには、すぐに戻れますから!』


「えっ?外にいくの?」


『はい!いろんなとこ見てみたいですから!』


「そっかぁ…寂しくなるわね、まぁ…綺麗な湖や浄化した水に対して、呼んでくれたら私はすぐいけるし…、大丈夫ね」


『そうなんですね…なら、ウンディーネさんにはいつでも会えますね♪』


「まぁ、世界は広いし、気を付けなさいね。ワンコとミニドラゴンが揃ってたら、皆興味が湧くでしょうから…、中には悪い考えの人も居ることは憶えておきなさいよ!」


「ワフン!」(は~い)


じゃぁ、行ってきます!


転移で、管理室に戻るとコアが、服を用意してくれていた。


「マム、迷宮にある装備品や素材を使って、簡単ですが、迷宮に来る冒険者と同じような服を準備しましたので、お使いください」


「あ、ありがとう♪着てみるね。」


と、ヒト形に変化して、服を着て装備を着用してみる…

ピッタリ!さすがコアちゃん!

でも、何かフリルが多くない?

胸の部分とか…腰回りとか…


「まだ、成長段階のマムの寂しい胸が目立たないようにと寸胴が分からないようにフリルを多めに使いました。」


と、コアが…


「ふ、ふ~ん…、そうね成長中だもんね」


釈然としないけど…寸胴なのか…

野菜多めの食事にしなきゃ…

とか、考えてたら、横でティアが転がりまくって笑ってる…

くそっ…


「ヒト型に成れないくせに!、笑わないでよ!」


「だって…コアが悪気なく言うから面白くって…」


確かに、コアは親切からだから、怒れなかったし…


「不味かったですか?マムに似合うようにお作りしたのですが…」


「うぅん、めっちゃ良いよ。ホントにありがとう♪」


「良かったです。

武器なのですが、ショートソードを2振りとクロー(爪)を作りました。お持ちいただければ…」


ショートソードもクローも何か金の混じった銀色に輝いてる…


「これ、材料は?」


「オリハルコンになります。そのまま、マムの魔力に馴染ませれば、虹色に輝くヒヒイロカネに進化するかと思います。」


「あ…そ、そうですか…、ありがとう♪」


なんか、スゴい武器を貰った!


「なお、着衣については、ドラゴンブレスでも破けない仕様になっておりますが…出来れば受けないようにお願いします。」


「服まで…」


嬉しくて涙が出ちゃう!

だって、女の子だもん…

とか、言う言葉をむかし、母に聞いたことがある!

ちょっと違うかも知れないけど…

涙目になって、コアにお礼を伝える。


「ありがとう、コア

迷宮の管理宜しくね。何かあればすぐに連絡を…何が出きるか判らないけど、すぐに帰ってくるから!」


「イエス、マム!」


っか、コアIIはずっと黙ったままなんだけど?


「あ、はい?いま、少し調べものを…」


ん、良いよ。好きにしてて、何かあれば伝えてね?


「ありがとうございます。マム」


あ~、コアとコアIIに…お願い


「兵隊さんじゃないんだから、マムはやめて欲しいな…、名前で呼んで、ティアも!」


「宜しいのですか?」


「うん、みんな仲間でしょ?コアIIなんてあたしの中にいるんだから!」


「「「判りました。ライザ様」」」


あ、「様」は残るのね…

じゃぁ、行こうか!

ティア、コアII、準備良い?


「は~い、ワレも外は何千年振りになるか…」


「じゃ、コア

転送をお願い」


「イエス、ライザ様」


光の輪が二人を包む…


小さな小部屋に出た。壁に小さな穴が空いていた。


「穴に紫の魔石をいれて下さい。出口が開きます。」


コアIIが教えてくれる。

アイテムボックスから、いくつあるか判らない紫の魔石を取り出して、穴に入れる。

魔石はそのまま穴に飲み込まれ


ゴゥン、ゴゴゴゴ…


壁がずれて外が見える!

眩しい!

ティアは後頭部に張り付いてる。

外に出ると、右手にテントのような物があり、何かの受付のような場所がある。

そこにいた人達が、ビックリした顔でこちらを見てる。


「ん?なんか不味かったかな?」


「大丈夫じゃろ?そんなことより、街に向かうのじゃろ?」


「そうだね♪」


私たちは、外の世界への1歩を踏み出した。

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