第7話 人と…
ん~、また湖に浸かってる…
あ、そうだ!
あの人達は?
キョロキョロしたら、大木の根元で横になる3人が居た。
気を失ってた人も無事みたいで良かった。
湖から出て、身体を震わして水を飛ばす…
「あ、起きたみたいよ~♪」
女の人が、横になってる男の人達を起こしながら、こっちを見てる。
トテトテ歩いて近くまで行くと…
「言葉判るか?」
と、剣士が聞いてくるので、頷く
3人が頭を下げ
「「「助かった、ありがとう」」」
と…
「ワフワフワフ♪」(無事で良かったです。)
と、話したが3人とも?な顔してる…
念話で、3人に話しかける。
『えっと…無事で良かったです。』
3人がめっちゃビックリした顔してこっちを見る。
「喋ってる?いや、頭に直接だから念話か?」
『あ、そうですね。いきなりでごめんなさい』
「いや、少しビックリしただけだ。気にしないでくれ」
「そうそう、念話なんてお師匠達が使ってたって、聞いたくらいで、出きるなんて知らなかったから…」
『そうなんですか?』
念話は、それなりに難しいスキルになるらしい…
「あ、自己紹介してなかったな、俺がこのパーティー、黄昏の剣のリーダー、アーサーで…」
「あたしが、魔法使いのマーリンよ。」
「俺は、盾役のランスロットだ。助かったよ」
『あ、ありがとうございます。
えっと、僕は…名前はまだ、ないです…、こちらこそ気を失いここまで連れてきて貰えて、ありがとうございます。』
転生前の名前を使うのも違うような気がしたので…
「そうなのか…ならワンコで良くないか?」
「エ~、ワンコって…」
「そうだな、借りにも命の恩人だぞ?失礼じゃないか?」
「なら、名前を考えるか?俺たちが考えて付けて良いのか?」
自分だと厨二病発症しそうだし…
「あ、お願いします。」
「そだな…ポチとか」
ガーンとした顔をする
「え?なんか可愛そうな気がするけど…」
「そ、そうか?不思議と頭に浮かんだんだよ…」
「ブリトとかどう?」
ん~、たしか…妖精の女王で、男装の騎士だったかな?
でも、なんかしっくり来ない…
「ウ~」
「なら…ライザは?」
あ!それは愛読書の某ESPの漫画に出てくるお気に入りキャラ!
「ワン♪」(それが良い!)
「なら、ライザだな!」
そこへ、ランスロットが…
「ハチってどうだ!」
と、ドヤ顔で言い放つ
「いや、ライザに決まった。」
「エッ?めっちゃ頭に浮かんできたんだよ!主人を待つって感じの…」
誰かの印象操作か?
『とにかく、ライザでお願いします。』
「本人が望む名前だしな♪よろしくな」
「あ、それでね。
ライザって、ご飯どうしてるの?」
『僕は、試練の部屋で食料を選んで、空間魔法で保管してますよ。』
「空間魔法まで使えるんだ!っと言うか…」
「試練の部屋か…、今の状態だと無理かもな…」
『あ、僕ので良ければ分けますよ。一緒に食べましょう♪』
アイテムボックスから、オーク肉やワイバーンのお肉など、数種類のお肉を出す。
マーリンさんが、大喜びして、聞いてくる。
「えっ、これ食べて良いの?料理して良い?」
『はい、まだあるので大丈夫ですよ。料理してもらえるならお願いします。』
「あ、料理って言っても調味料使って、焼くだけかな…、他の具材とかあれば良かったけど…」
あ~、僕もお肉しかないから…
でも、調味料あるなら、美味しいかも!
『焼くだけでも美味しいですよね。食材が無いんだし、お肉を食べるだけでも力になりますしね♪』
と、一応フォローしといた。
アーサーが…
「まぁ、マーリンの料理より普通に焼いた方が…」
と、言った途端杖で叩かれてた。
ランスロットが、お肉を切り分け、塩や胡椒など使い味を付け、火の回りに串に刺して焼いていく
皆で、火を囲みお腹イッパイになるまでバーベキューのように食べる。
ランスロットが串から外してくれるので食べやすかったし、美味しかった。
満足したのか
それぞれ、眠そうにしている。
僕も眠くなり、木の洞に戻って丸くなって寝る…
暫く寝てたら、話し声が聞こえる
「とりあえず、試練の部屋をクリアしないと帰れないな…」
「そうね…、ウンディーネに力を分けてもらえると聞いていたけど、あれ以来出てきてないわね…」
「まぁ、湖畔で騒いでたら出ては来ないだろ?」
今後の話しとウンディーネさんの話をしているみたいだ。
洞から出て、ワンコの伸びをしてから、挨拶をする。
『おはようございます。良く眠れましたか?』
「おう、おはよう」
「おはよ~、ん!迷宮に来てから、ゆっくり眠れたのは初めてよ」
「おはよう…昨日はありがとう、昨日の残りで悪いが、少しキノコも取れたので、湖の水とキノコと肉のスープだ。」
ランスロットさん優しいな…
『ありがとうございます。』
スープをペロペロと食べた後…
トテトテ
湖のそばまで来てから
「ワフゥ~ン!」(ウンディーネさ~ん!)
と、呼び掛ける。
「何よ?」
あれ、なんか怒ってそう…
『怒ってます?』
「怒ってないわ!また、死にそうになって帰ってくるバカワンコなんかに怒っても意味ないでしょ?」
あちゃ~、めっちゃ怒ってる…
『ごめんなさい、夢中で突っ込んじゃって…試練の部屋のベヒモスより弱かったから、気を抜いちゃいました。』
と、言ったところで…
「試練の部屋のベヒモスって…」
と声が聞こえる。
とりあえずは、ウンディーネさんに…
『ホントにごめんなさい。心配かけました。』
「判れば良いのよ!ホントに怪我なら、ここに来れば治るけど、死んだら終わりなんだからね。それに黙って迷宮に行って、この子達に連れて来て貰わなかったら、今ごろはベヒモスの胃の中よ?」
『はい…気を付けます。』
頭が下がり、尻尾が足の間に入る…
「で、何かしら?
怒られるために呼んだんじゃないんでしょ?」
『あ、はい
マーリンさんにウンディーネさんの魔法を教えて上げて欲しいなぁ~って…』
えっ?という顔してこっちを見るマーリンさん
「う~ん…、まぁこの階層まで来たんだもんね…マーリンとランスロットは前に出てくれる?アーサーは適正が無いわ…ごめんね」
と…
2人が前に出ると、ウンディーネさんの身体から優しい光が発し、2人を包み込み、染み込んでいく…
「はい、マーリンには水魔法の超級のウォーターテンペストが宿ったわ、ランスロットの方は水魔法での壁で、自分の盾の強化やパーティーの前方に壁を作るウォーターウォールよ。ただ、宿しただけ、これから自分達で訓練して使えるようにしなさいね」
「「あ、ありがとうございます。」」
「師匠達と同じ魔法だな!」
「あら、あの子達も使えるようになったのね。ここに居たときは使えなかったから、努力したのね♪」
『ウンディーネさん、ありがとう♪』
お礼を言うとウンディーネさんは湖に戻っていった。
黄昏の剣のメンバーさん達は喜んでくれたみたい♪
『すぐに使えるようになるのかな?』
マーリンさんに問いかけると
「師匠達でも5年くらい掛かったみたいだから…」
『ここで、修行していきます?』
つい、めちゃくちゃ尻尾を振ってしまった。
「いや、そろそろ帰らないとギルドに死亡届け出されちゃうからな…」
『えっ?死亡届け?』
「えっとね…迷宮とかに挑むときって、期間を決めて入るのよ。その期間を過ぎるとギルドから救援を出すとか決めるのね」
「それで、救援が来るのは30階層にあるオアシスまでなんだ。
そこより下に潜る冒険者の場合は、30階層で1度生存確認と期間の再調整が入るんだよ。」
「それで、期間が過ぎると死亡扱いになるのさ…、いつまでも生存としておく訳にいかないしな」
なるほど…
で、期間が近いと…
『じゃぁ…試練に挑むんですね?』
「あぁ…そうだな」
「この試練をクリア出来たら、帰り道が開くって言ってたからな」
「で、ライザはここをクリアしてるんだよな?」
『えっ?うん、ここでご飯食べるのに必要だったからね』
「どうなんだ?俺たちは勝てるのかな?」
『えっとね、試練の部屋で、出てくるのは自分達のレベルとほぼ一緒の魔獣か魔物、僕の時には、自分っていうのが何回か有ったよ。
だから、しっかり装備や体力、魔力を回復させて挑めば大丈夫だと思う。
3人の連携をしっかりして、個人戦にならなければ大丈夫だよ。』
「そうか…、レベルと同じくらいか…」
『何か不安が?』
「いや、そうだな…不安はあるさ…
でも、同レベルなら何とかなると思うんだよ。
ここまで来るのに俺たちより高レベルの魔獣が多かったからな…」
「ベヒモスはヤバかったな…」
「47階層に入って、結構、体力や魔力使って戦ってたからな…、あと少しでオアシスだと気が抜けたのもあるな…」
「そうね…ベヒモスなんて災害級魔獣なんて想定してなかったものね」
「ベヒモスで、レベルが120だったか?俺が92でランスロットも92、マーリンが90だな…」
「良く生きてるな…俺たち…」
「ライザには、ホント感謝だな!」
「そうね!」
『うん、それはもう聞いたから…お礼は良いよ。
でね、試練の階層では負けそうになったら逃げられるから!ホントにダメだと思ったら、距離をとって帰ってくれば良いよ。
僕も一緒に入っちゃうと相手が強くなるかも知れないから…』
「そうか…今度は助けは期待できないんだな」
『してないでしょ?そんな期待?』
笑いながら、僕が言うと
アーサーは、苦笑いしながら…
「まぁな」
マーリンとランスロットも頷く
「ライザは、ここに残るのか?」
『う~ん、もう少し居ると思う。まだ弱いから鍛えてから出ようと思うよ。』
「弱いって…、まぁ良い、ここを出たらティンジルって街に来て、俺達を訪ねろよ。
世話になったからな、いろいろ案内してやるよ。」
『わかった!ティンジルだね。出たら、真っ直ぐに行くよ』
「絶対よ!絶対に来てね。今度こそあたしの料理ご馳走するわ」
「ん、そうだな、きちんとした料理を味わって貰いたいな!腕に頼を掛けて振る舞おう」
「まぁ、それもここを抜けてからだな!」
「そうね」
「そうだな!」
『じゃぁ、案内するよ。』
試練の階層への入り口に向かい歩き出す。
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