第6話 死ぬかと思った
最初の戦いから、何回目の戦闘なのか…
いま、相手のベヒモスが、光の粒子になって私に吸い込まれる…
片目が切り裂かれ、前足の1本が無くなり、尻尾も途中で千切れ…
満身創痍だけど、動けない訳じゃないし、自然治癒でゆっくりだけと治ってきている。
とりあえず、拾うもの拾って、帰ろう
クリアボーナスは、帰ってからでも選べるのが解ったから、怪我を治してからで…
体を引きずりながら、48階層に戻り湖に入る…
傷が塞がり、失ったものも戻ってくる。
体を癒すのに湖に結構浸かってたみたいで、ウンディーネさんが、騒がしい…
「ワフゥ…」(お腹減った…)
「当たり前でしょ?戻ってきて、湖に落ちてきたから、慌てて助けたら、身体ボロボロなんだもん。
3日も湖に浸かってたのよ?」
あらまぁ…
とにかく、湖畔に出て身体をあらためる。
『ん、身体は大丈夫そうだし、ウンディーネさん、ありがとうございます。』
「無茶したらダメよ!」
と、言い湖に戻っていった。
さて、ステータス確認しながら、ご飯にしようかな
ステータス
・名前 (旧 五月
・種族 神獣 人狼族
・性別 ♀
・レベル 211
体力 215
魔力 320
知力 520
素早さ 615
力 380
加護
スキル
・状態異常無効
・自然治癒(超)
・身体強化
・聖魔法
・結界
・浄化
・五属性魔法(火・水・風・土・木)
・空間魔法
・アイテムボックス
・万能感知
・空間操作
・万能言語理解
・念話
結構、頑張ったかな?
そろそろ外に出ても生きていけそうな気がするんだよね…
「ワフゥ~ン!」(ウンディーネさ~ん!)
「何よ?いま、忙しいのよ…蟹のご夫婦の修羅場なんだから、見逃せないのよ。」
『蟹の修羅場?』
「そう、蟹の旦那さんが浮気したみたいで、奥さん蟹が激おこなのよ!
で、浮気相手の彼氏蟹が旦那さんといま、ハサミで掴みあってる状況なの!」
『そ、そうですか…、あ、僕そろそろ外に行けますかね?』
「知らない…っか、わからないわ」
『えっ?』
「だって、ここに来た冒険者は極端に少ないの。
その人達と比べたら、まだ足りなさそうだけど?」
『そ、そうですか…、ありがとうございます。もう少し頑張ってみます。』
「そうした方が良いわね。冒険者達と比べて遜色無ければ、外でも大丈夫だと思うしね。じゃぁ、戻るわね♪」
蟹さん家庭の修羅場を楽しみにって…
う~ん…
ちょっと、上に行ってこようかな?
って、ことで…
じゃん!47階層
万能感知だとそんなに広くは感じないけど…
ベヒモスクラスの魔獣に襲われてる3人組が居るみたいだ。
とにかく、近くまで行ってみて、危なそうなら逃げよう!
気配を消して、軽く走ると、風のように走れた。
あの角を曲がれば、戦闘場所のようで、声が聞こえる。
「もう、魔力がないわ!」
「くっ、ここまで来たんだ!あと少しでオアシスのはずだ!」
人がベヒモスと戦ってる!剣士の後ろに杖を持った女の人とその人の膝の上には、意識の無い人が横たわってる。
3人とも満身創痍だ!
た、助けなくちゃ!
ベヒモスの後ろに飛び出し、意識をこっちに向けさせるのが先決と
「ワォ~~~ン」
と、遠吠えすると共にベヒモスに雷撃を放つ!
バリバリバリ!
ドンッ!
ベヒモスがこっちに向き直る…
あ、あれ?倒れない!
ベヒモスの口からブレスが飛んできたのを斜め前に出ながら避け、前足の傷がある辺りに
傷を抉るが、関係ないとそのまま蹴ってくる。爪を放った瞬間の隙を付かれた感じで、身体を吹き飛ばされる。
「ガウッ…」
口から血が出る。
内臓をやられたかも…
そのまま、ベヒモスが突進してくる。
飛び上がり、ベヒモスの首に牙を立て噛りつく、顎にいま使える力を全て注ぐくらい噛みつく!
ベヒモスが嫌がり首を振りまくる。
その勢いが凄まじいが、離したら潰される!
「ブチブチブチ」
と音と共にベヒモスの首の肉が裂ける。
僕の身体は、肉を噛んだまま壁に叩き付けられる。
「ガウッ!」
目の前が掠れる…
ベヒモスは足取り重そうだが、止めとばかりに両前足を上げ、踏み潰そうとしてくる。
ありったけの魔力を込めて、とっておきの黒雷撃を放つ!
ベヒモスの頭から尻尾の先まで槍のような黒い雷撃が突き刺す!
「アベベベ…」
余波で弱い雷撃が身体に走る…
ベヒモスは、口から赤黒い霧を吐いたと思ったら、光の粒子となって消えていく…
襲われてた人達を見ると剣士は2人を守る形で剣を構えて立っている。
「無事で良かった♪」
と安心したのか、意識がぼやけてくる。
「こいつ、魔獣か?」
「普通のワンコみたいだよ?」
「普通ならベヒモス倒せないだろ?今のうちに倒しておいた方が良いんじゃないのか?」
「でも、助けてくれたんだよ?じゃなかったら、あたしたちが襲われてる最中に遠吠えする必要ないじゃん!」
「そ、そうか…なら、とりあえずオアシスまで連れていこう…」
「そうね、この子オアシスの方から来たみたいだし…」
「俺がランスロットを背負うから、マーリンはこのワンコ運んでくれ」
「判ったわ、ランスロットも回復魔法は掛けたから、暫くしたら気が付くと思うし」
「オアシスまでそんなに遠くはないはずだが、警戒して進もう」
途中、ランスロットが意識を戻したが、まだ力が入らないようで、アーサーに肩を借り、オアシスに入る。
途端に湖から膨大な魔力を感じ3人は固まる!
「その子を傷つけたのはお前達か?」
湖が盛り上がり、ウンディーネが怒りの形相で問いかける。
背後には水の塊が無数に飛んでいる。
返答次第で、この場で終わる…
「いえ、私たちが助けられ、無理をしたみたいで意識が無かったのでこちらまでお連れしたんです。」
と、マーリンが説明し、アーサーとランスロットが冷や汗をかきながら高速で頷く
「そうか…礼を言う。ありがとう。そのまま湖に浸けてくれるか?」
マーリンは言われた通り、ワンコの身体を湖に浸ける。
ワンコの身体が薄く光り、焦げた身体を癒していく…
「主らも怪我の治療や魔力、体力の回復を図るなら、水に浸かるか飲むと良い」
「ここが、ルルの湖なんですか?」
「そうよ。知ってるのかしら?」
「は、はい。私たちの師匠が20年以上前にここに来たことがあって、ここのお話を聞いてました。」
「そう、あの子達の弟子になるのか!ギネヴ、ガヴェイン、トリスタンの3人だったかしら?」
「あ、はい。私がトリスタンの娘マーリンで、ガヴェインの息子がアーサーで、ギネヴィアの息子ランスロットです。全員3人の娘・息子ですが、剣や魔法の弟子でも有ります。」
「そうなのね、とにかくここで暫くは休みなさい。試練の部屋に行くなら、全てを万全にして挑みなさい。」
「ありがとうございます。この辺で何か食べるものは取れますか?」
「ん~、ここには食べるものはあまり無いかも…」
「そうですか…」
「食料がないの?」
「はい、この階層に来る前に全てを失ってしまって…」
「ならば、そこのワンコが起きたら尋ねたら良い。では、私は戻る。」
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