第2話 転生
ん?どこだここ?
意識はある……
けど、身体が動かせない……
というか、身体の感覚がない?
僕はどうなったの?
と、考えたときに
真っ白な世界の空間が裂け、映像が見える。
なんだろう?
漫画の吹き出しみたいに空間が裂け映像が映る。
「ん?家の前かな?」
見慣れた門塀が見える。注視するとアップになって、門の前の人集りが見えてきた。
「警察官、救急車、近所の人、僕のバイク名前がない号と…
あ、ぶつかってきた人……は拘束されてる?
まぁ、怪我はなかったみたいで良かった。
それとその前に白いシーツのようなものが掛かった物体?」
「いやいや、家の前に迷惑なんですけど?帰ったら片付いてるかな?」
「あれ?おじいさんの執事さんもいる。なんか警察官と話してるみたい」
音声は聞こえないのか……
「あ、クロくん!かわええなぁ……ん、怒ってる?口でシーツ捲って前足でテシテシ叩いてるよ。めっちゃ可愛い♪」
何を叩いてるのかな?
「えっ?僕?顔の左下なんか赤黒い?」
あ~、これは僕死んだんだ!
なんで?
あ、調書みたいなの見えるな……
「んと、白河家に泥棒が侵入、警報装置や犬の鳴き声で逃走……逃走中に五月家の前で、出勤のためバイクを押して出てきたサツキカオル(28)と衝突、その際、犯人の所持していた包丁(刃渡り25cm)が刺さる……犯人はサツキカオル氏のバイクにつまづき、門塀に激突し失神、サツキ氏は犯人に手を伸ばしたまま倒れたと見られる」
ん、なるほど……
で、倒れた際に刺さった包丁が更に深く刺さり絶命と……
「そっかぁ~、死んじゃったかぁ……、まぁ悪いことした人がこれで捕まったなら良かった。おじいさんの家って白河家なんだ……確か現当主の白河英嗣さんが立ち上げた企業で、この国では某有名な車会社より資産があるらしい……クロくん、良いとこに住めたね♪」
「イヤイヤ……住めたね♪
じゃねーよ!せっかく仲良くなれたと思ったのに、間抜けな死に方で死にやがって!」
ん?なんか声が頭に響くな?
「えっ、だれ?」
「クロだよ。刺された瞬間なら何とか回復できたんだけどな……間に合わなかった…、すまん」
「えっ!クロくん?なんで?どうして?」
プチパニック!
「あ~、説明すると俺犬じゃないんだよ。これでも神獣って呼ばれる狼なんだよ。」
「イヤイヤ、ラノベじゃないんだから……神獣様って……マジで?」
浮かんでる映像を見ると僕の背中にお座りして、こっちを見てるクロが見える。
「マジで……」
と聞こえた時に映像のクロは頷いていた。
「マジかぁ~、スゴいんだねクロくん。なら、聞いても良いかな?僕以外に誰か怪我してない?おじいさんの家の人とか大丈夫だった?」
「はぁ~」
うおっ!めっちゃため息付かれた
「ん、その辺は大丈夫だ。お前だけだよ。っ~か、先にそれか?お前死んだんだぞ?」
「あ、そっかぁ~、ごめんね。これから一緒に遊べなくなっちゃったね……」
って、マジで凹んでたら……
「はぁ……」
って、さっきより大きいタメ息
「まぁ、そういうヤツなのは判ってたけどな……、俺は、この白河のじいさんが死ぬ時に魂を天界に連れてくように遣わされてたんだよ。まぁ、天界でヤンチャした罰でもあるんだけどな…。
こっちに着てふててたら、じいさんが無理矢理散歩に出て、薫に会ったって訳だ。」
「そうなんだ。でも、なんで僕で喜んでくれてたのかな?」
「ん、まぁ…なんだ…、おまえ、旨そうな匂いがしてさ…、そうだな、人間が鰻とか焼き鳥の匂いを美味しそうに感じるのと一緒だな!」
「えっ?僕、食べられちゃう?」
「いやいや、食わないよ!人間食べたら、俺、この世界にいられないし、人間なんて、排ガスにまみれてる上に化学調味料とか…、食べたら不味いだろ?おまえの匂いだけだ!」
「なるほど…」
良くわかんないけど、僕から変な匂いが出てたらしい…
だから、あんまり人が近寄らなくて、動物ばかりが寄ってきてたのか…
「でな、お前の死はイレギュラーな訳だ。犯人に刺されてそのまま動かなければ、死ななかったんだよ。まぁ、普通は動けないんだけど、俺のせいでお前、鍛えてたろ?」
「ん、まぁ…クロ君のためじゃないよ」
「まぁ、でもな神界からすると俺のせいらしい…、でなこの世界じゃないけど、転生させるってことになったから…」
「転生かぁ~、最近流行りだもんね…」
「いや、流行りとかそんなんじゃなくてだな…、まぁ、俺の親が加護を与えてくれるらしいから、次の世界で頑張ってくれ!」
「え?加護?加護ってなに?」
「あ、まぁ…あれだ!ラノベ?とかであるようなヤツと認識しておけばいい。たぶん…」
「たぶんって…まぁ、良いや、わかった。お願いします。」
「ん、なら今から転生させるからな…また、会えたら良いな…」
「そうだね。クロ君神獣なんでしょ?
なら、また会えるかもね」
と、会話をしてると穏やかな光に包まれ出した。
ぶっちゃけ、体の感覚はないから、なんとなくそんな感じってことなんだけど…
「そろそろだな…、こっちの家のことは気にするな、白河のじいさんが何とかしてくれるはずだからな…頑張れよ」
「ありが…」
お礼が途中のまま僕は光に包まれ意識が無くなった。
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