既視感
「卒業したらキャンプしたくね?」
何気なく発した言葉はその場にいた全員の気持ちを駆り立てたらしく、卒業してすぐに俺たちはキャンプに行った。
キャンプと言っても川のほとりにテントを立てて、とかではなく、キャンプ場を予約して使った。
そのキャンプ場にはテントを張る場所、BBQができる場所、水道、そして公衆トイレがあった。
その光景を見た瞬間、俺は既視感を感じた。どこかで見たことがある気がした。
ただ、考えても思い出せないので気のせいということにして全員で準備をした。
それから時は少し進み、BBQがそろそろ終わりに近づいてきた頃、俺はふと尿意を感じトイレに向かった。
小便を済ませ、テントに向かう。すると道の反対側からフードを被った人が歩いてくる。
その手には包丁のような鋭利な物が。逃げるまもなく俺は刺された。
そこでハッと目が覚めた。夢だ。あぁ、怖かった。
目が覚めるとそこには焚き火を囲んで談笑する友人たちの姿が。
安心したのか、俺は尿意を感じた。しかし、あんな夢を見た直後に一人で行くのは怖かった。なので友人に頼み、ついてきてもらった。友人は呆れながらも了承しついてきてくれた。
夢と同じように小便を済ませ、友人と共にテントに戻る。
するとあろうことか前からフードを被った人物が歩いてくる。
俺は友人に近づいた。
するとフードの人物はそのまま通り過ぎていった。
おれはホッとし、後ろを振り返ってみるとそこには誰もいなかった。
そして足元には小さな紙切れが。
好奇心に負け、それを開けてみるとそこには
『夢と違うことやってんじゃねえよ』
と見たことのある字で、それも血で書いてあった。
フードの人物とすれ違ったとき、俺は少しだけ、顔を見た。
あれは間違いなく、いじめが理由で自殺した親友の顔だった。
俺に恨みがあったのか、はたまた俺を道連れにしようとしたのか。
それはわからないが、俺はあの日から夢を見るのが嫌になった。
みんなも既視感を感じたことがあるのではないだろうか。
夢と違うことをすると、俺のような体験をするかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます