ペンドラゴン編
1章 世界の異変
第11話 変わり果てた世界
彼らは吸い込まれて行った。当然あれだけの威力の竜巻だ。簡単な結界をではすぐに壊されるだろう。簡単な結界では……
そう、真耶達は簡単な結界を張ったはずなのに、何故か壊れないのだ。だから、何も起こらずただ暇な時間を過ごすことになってしまう。
「いや〜暇だわ。こんな何も無いことってあるんだな」
真耶は寝っ転がった状態でそんなことを言う。それに対してアーサーは言った。
「そう言うな。安全なのが1番だろ」
真耶とアーサーはそんな会話をする。その時、ふと真耶の目にモルドレッドが写った。
「……」
「どうした?」
「強力。これ、
「そんな大層なもんじゃねぇよ。ただの結界さ」
「っ!?感嘆……」
モルドレッドはそう言って少し不安そうな顔をして真耶を見つめた。
「……フッ、そんな顔をするな。別に俺は敵対はしない」
真耶はそう言って不敵な笑みを浮かべる。そして、少しだけ周りを見ると立ち上がり、アーサーに言った。
「そろそろ到着だ」
真耶がそう言った瞬間、とてつもない衝撃が真耶達を襲う。どうやらペンドラゴンに入る前に何かしらの妨害でゲートが完全に開かなかったらしい。
そのせいで無理やりこじ開けようとしてとてつもない力の波が真耶達を襲う。そして、ついにゲートをこじ開けることが出来、ペンドラゴンへと入ることが出来た。
「お前ら、衝撃に備えろ」
真耶がそう言った瞬間とんでもない衝撃が真耶達を襲う。そして、真耶達をおおっていた結界は壊れた。
「これで到着だな」
「そうだな」
「……疑問?」
「待て、わかっているぞ。俺達がここに来て何をするか知りたいんだろ?」
「驚嘆。なんでわかったの?」
「俺が凄いからだよ。ま、冗談はそれくらいにして、これから俺達は勇者と接触する。恐らくこんな状況になってしまったんだ。今この世界で1番力があるのは勇者だ。色んな意味でな」
真耶はそう言って周りを見渡した。その景色は1年前に真耶がいた時とは全く違う。
木々は全て燃やし尽くされ、地面には魔力が流れる地脈が暴走しかけている。地脈からは謎の魔力を感じることから、恐らく何かしらの妨害魔法を掛けられているのだろう。
そして、何より空が黒い。今は昼なはずなのに空は真っ黒だ。だが、どうやら太陽がなくなっている訳では無いらしい。雲でおおわれているような感じだ。よく見れば少し明るい球体が見える。
だが、それでもやはり真っ暗だ。あかりがなければ何も見えない可能性だってある。
「……悲惨……」
「恐らくこの世界は神々によって壊されたのだろう。自然は消し去られ、街は消滅し、世界は黒い闇におおわれた」
真耶は冷静にそう分析した。その話を聞いてアーサーは少し疑問に思う。
「なぜそう思う?もしかしたら部族間の戦争かもしれないぞ」
「……地脈から神々の魔力を感じる。この感じはヘファイストスだろう。炎の魔力を感じる」
真耶はそう言って地面を掘り始めた。そして、ちょうど地脈の真上に手を置き魔力を流す。その瞬間、その場所の魔力の流れが変わった。さっきまで暗く重たく流れていた魔力が軽くなった気がした。
真耶はそれを確認するとそのまま手のひらを広げたまま手を離していく。そして、地脈の中から赤く燃えるような魔力の塊を取りだした。
「見ろ。魔力さえも燃やしてしまう炎……これがヘファイストスの炎だ。触れれば灰すら残さず燃やし尽くす。こんなものが地脈に流されれば、自然は燃やし尽くされ大地は灰と化す。それがこの結果だ」
真耶はそう言ってその魔力の塊を自分の体に取り込む。すると、真耶の体に突然魔力が流れ始めた。しかし、その魔力はどんどん熱量が上がっていき体を燃やし始める。
「っ!?大丈夫なのか!?」
「あぁ。大丈夫だ」
真耶はそう言って燃えていることなど全く気にしない。そして、燃えていることを無視して話を始めた。
「それじゃあそろそろ準備をしよう」
「準備?なんのだ?そもそも、ここに来て何をするつもりだったんだ?」
アーサーは真耶にそう聞いた。
「戦闘の準備さ。俺の予想だとこれから戦うはずだ」
真耶はアーサーの問に対してそう答える。
「戦う?何故だ?」
「それはな、まず俺が勇者に会おうとしているからだ。この世界はゼウスに支配されている可能性が高い。なら、解放戦線を張っているはずだ。そして、そのトップが恐らく勇者だ。だから、この世界において勇者という存在はかなり大きいものなのだよ」
「そのトップに事前にあって仲間にしておくことでこの世界で戦いやすくするというわけか……だが、勇者はどこに……っ!?そういう事か」
アーサーはなにかに気がついたかのように笑った。そして、振り返って遠くを見つめる。真耶はそんなアーサーを見て言った。
「俺達がこの世界に来た瞬間、この世界を閉ざしていたゲートを無理やりこじ開けた。だから、勇者は恐らくこう思っただろう。ゲートをこじ開けられる者が来たと。そんなヤツら、だいたい神とかそこら辺のヤツらしかいない。だったら確認しに来るだろ。ほら、早速ご登場だ」
真耶はそう言って指を指した。その方向にはなんと勇者が居る。当然勇者はほかの仲間も連れてきている。勇者パーティできているようだ。
真耶はその勇者を見る。彼の名前は
彼はまだ真耶がこの世界に理を残していた時、彼は真耶と共に異世界に召喚された。そして、勇者という職業を手に入れた。
それから希望は勇者としてこの世界で戦い続けてきたのだ。
「君達!何者……て、アーサーか!?」
「あぁ。久しいな」
アーサーはそう言って希望に対して手を振る。
「希望くん!誰がいたの!?」
続いて他の3人も来た。彩花と癒優と雷斗だ。彼女達も元クラスメイト。彼女らはこの世界にバラバラに飛ばされた時に希望と共に行動していた仲間だ。
「あれ?アーサー!?なんでここに!?それに、隣の人誰!?」
彩花はそう言ってアーサーに問いかける。
「ん?モルドレッド、聞かれてるぞ」
アーサーはそう言ってモルドレッドを見た。
「真耶、依頼」
「おけ。初めまして。俺はケイ……月城真耶。元クラスメイトだよ。今はラウンズの1人としてアーサーと共に旅をしている。隣にいるのがモルドレッド。俺の妻だ」
真耶はそう言って紳士にお辞儀をした。すると、アーサーは突如剣を突きつけてくる。そして、殺気を飛ばしながら言った。
「クラスメイト?僕は君みたいなやつを知らない。それと、この世界に入ることは許さない。ここで死んでもらう」
「どういうことだ?理由も聞かずに敵対するのか?」
希望の言葉にアーサーが食いついた。すると、希望は少しだけ怒りのオーラを出すと剣を強く握りしめて言ってくる。
「僕はそれで1度失敗した!もう二度と同じ失敗はしない!君達には有無を言わさず死んでもらう!」
そう言って希望はいきなり攻撃して来た。アーサーはそれを見て背中のエクスカリバーに手を伸ばす。
その刹那、希望の体が黄色く発光し始めた。
「っ!?」
「
真耶はそう言ってアーサーの前に出る。その手にはリーゾニアスが構えられている。
「応援」
「ありがとな。”
真耶はそう言って剣に炎を纏わせる。そして、希望の剣を受け止めた。
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