第7話 絶望の強襲
真耶は向かってくるグングニルを見つめてリーゾニアスを強く握りしめる。そして、左目を白く輝かせた。
さらに、全身から魔力を放出し、全てリーゾニアスに集める。そして、その白く発光したリーゾニアスでグングニルを切りつけた。
すると、突如としてグングニルの勢いが無くなる。そして、真耶に届くことなく地面に落ちてしまった。
「っ!?一体何を……?」
「無力化しただけさ」
真耶はそう言うと、一瞬で距離を詰めリーゾニアスを振るう。そして、ロキの腹の辺りを横に切り裂いた。
「っ!?」
ロキは真耶の攻撃を受け、呻き少しだけ後退した。そして、直ぐにミストルティンを構えるが真耶の動きについていく事が出来ない。そのせいで、直ぐにミストルティンを切り裂かれてしまった。
「ロキ、しゃがめ。”
オーディンはロキにしゃがめと言うと、技を放つ。その先にはロキと真耶が一直線にいた。
グングニルはロキがしゃがんだことで真っ直ぐ真耶に向かって飛んでくる。真耶はそのグングニルを見つめて再び小さな壁を作り出した。
そして、グングニルがその壁にぶつかる。それを見た真耶はリーゾニアスを白く発光させ再び無力化させた。
「っ!?またその技ですか……」
「チッ……!」
「お前ら、俺を舐めるなよ」
真耶はそう言ってリーゾニアスの魔力量を増やした。そして、全力で地面を切り裂く。その刹那、地面からとてつもなく巨大な土や岩の剣が伸びてきた。
「っ!?」
その剣は真っ直ぐロキの体を貫き天高く持ち上げる。そして、そのままバラバラに砕け散った。そのせいでロキが空から降ってくる。
「……」
ロキは、高い場所から落ちたせいで動かなくなる。さすがにこの高さだと誰でも死んでしまうようだ。
「次はお前だ。オーディン」
「……ミストルティンはユグドラシルの根から出来ている。その能力には他者の生命力を吸い取り自分のものに出来るというものがある」
オーディンは突如そんなことを言い出した。真耶はその言葉を聞いた瞬間リーゾニアスを構える。そして、オーディンが何かを言い終える前に全力で切り裂いた。
「”
その瞬間、オーディンの体が縦に切り裂かれる。そして、その瞬間、オーディンの命の灯火は消えた。
「……なんてことは無いよな。ロキ、お前も死んだふりはやめろ」
「あれ?分かりました?やっぱりバレちゃいますか……」
「当たり前だろ。俺の生命力を吸っておいて何を言ってやがる」
「そこまでとは……なぜ分かってて対応しないのですか?」
ロキは真耶の一言一言に興味津々で質問してくる。真耶はそんなロキを見て少しだけ微笑むと、恐怖に満ちた笑みを浮かべて言った。
「お前を殺すためだよ。なんてことはなくてな、ユグドラシルの根は1度絡みついてしまえば外れない。下手に外せば死ぬ。それがわかってるからさ」
「なるほど……やはり、あなたは早めに殺しておくべきですね」
ロキはそう言ってミストルティンを構えた。
「”ミストルティン第5形態・グングニル”」
ロキは動けない真耶に向かってそう言ってミストルティンをグングニルへと変形させた。そして、そのグングニルを真耶に向けて放つ。
轟音と共に地面を破壊しながらグングニルが真耶へと迫る。しかし、真耶は避けることは出来ない。そして、防ぐことも出来ない。
たとえ剣で防げたとしても、恐らく体のどこかが崩壊するだろう。それに、既に体の1部が壊れかけている。理滅の使いすぎだ。これ以上大技を使えばどうなるか分からない。
「どうしました?諦めましたか?」
「……さぁ?どうとらえてもらっても構わないよ。でも、その判断が正しいかは分からないけどね」
「正しいですよ。だって、私は間違えたことが無いから」
「……フッ、アハハハハハハ!飛んだ自信過剰くんだよ!じゃあここで初めてお前が間違えるわけだ」
「そうなりませんよ。あなたの負けです」
「まだ決めつけるのは早いね。”
その瞬間、その場にあった”真耶に敵対するもの”が全て消滅した。そう、敵対するものは全て消滅したはず……それにも関わらず、ロキとオーディンは消えなかった。
「……フッ、流石にそこまでとは思わなかったよ。まさか、理滅を耐えるなんてな……」
「簡単なことですよ。この場にある君に危害を加えるものって言ったら、敵対するものだけでしょう。だから、一時的にあなたに敵対しなければ対策するのは簡単です。まぁ、ミストルティンとグングニルは消えましたけどね。それどころか、周りにいた観客も消えたみたいですよ」
「そりゃあ残念なことだな。ユグドラシルの根も消えたし、これで自由に動けるわけだ。さぁ、どうする?」
真耶は不敵な笑みを浮かべるとそう聞いた。そして、リーゾニアスを左手で持ち構える。
「……ほぅ、まだやるつもりですか……しかし、これ以上は私も危なそうですね。まぁ、全て私の思惑通りに動いています。モルドレッドでしたっけ?彼女もいい声で泣きましたよ。フフフ、彼女が目覚めた時のあなたの顔を見たいですね。さて、苦しみを味わうのはいつになるのでしょうか?待ち遠しいです」
ロキはそんなことを言って奇妙に笑い始めた。真耶はそんなロキを見て剣を下ろす。
「お前、何を言って……」
「さぁ?自分の頭で考えてくださいよ。人は脳を動かさないと萎縮してしまうのですよ。それと、体も動かさないと世界は救えませんよ。あぁ、大変ですね。頭も使って体も動かさないといけないとは……」
「何が言いたい?回りくどい言い方するなよ」
真耶はロキに対してそう言って少し殺気を飛ばした。すると、ロキは奇妙な笑みを浮かべて言ってくる。
「分かってるでしょう?この世界で何が起きているのか?私達は既に次のステージへと足を踏み入れている。ここまで来たらもう私達の世界だけの話では済まないのですよ。あの日ケイオスという人物が死んでから、私達の世界は変わった。そして、聖戦が起き後戻りは出来なくなった。君はすぐに気づいただろう?この世界で起きていることは全て異常事態だと。この異常事態の
ロキはそう言って拳を強く握りしめた。そして、右目を青く光らせて不敵な笑みを浮かべる。
「……ペンドラゴン……そうか。全てはあの日、俺が召喚されてから始まったのか……」
「いや、それよりもっと前ですよ。あなたが日本に……いや、ゼウスがあなたに目をつけた時からですかね」
「……なるほどな。ゼウスが……じゃあ、始まりはあの日ってことか。だが、それとペンドラゴンになんの関係がある?」
「それこそ自分の頭で考えてください。私だって万能では無い。一つだけ言えることは、私は
ロキはそう言うと、少し考える素振りを見せて振り返ると、背後に時空を超える
「今日は帰ります。どうせもう手遅れなのですから。一応前々から予兆は出ていたはずなんですけどね。さて、あなた今この話を聞いて何をしますか?そして、この状況をどうにかできるでしょうか?フフフ……また、どこかで会いましょう。”ケイオス・レヴ・マルディアス”さん」
ロキとオーディンはそう言い残してゲートをくぐった。そして、その場からいなくなった。
真耶は、誰もいなくなった空間で1人自分の右腕を見つめる。その腕には少しだけ亀裂のようなものが入っていた。
真耶はその亀裂をバレないように隠すと、ゲートを作り出しその中へはいる。そして、時空連合を出てアヴァロンへと戻った。
「……フッ……俺もこんなギリギリの戦いをしないといけなくなるなんてな……2年ぶりだよ……いや、数十万年ぶりかな?」
真耶はそう言って右腕を押え、そして取った。普通ならそんなことをすれば血が吹き出すはずなのだが、体が崩壊して取れてしまったため、血液や血管さえも崩壊し吹き出してこない。
断面をよく見れば、灰のようなものがポロポロと零れている。そして、真耶はその崩れ落ちる右腕の時間を止めるとフラフラになりながらもも何とかアヴァロンへと帰還した。
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