第4話 街の外へ
翌朝は早起きして、というか早く起きてしまった・・・
宿の朝食セットで、野菜と肉のスープと固い黒パンを食べて宿を出る。今夜の予約はしなかった。どうせ空いてるだろう? 値段的にもね。
あの黒パンは・・・僕には固くて、酸っぱくて駄目だったので、早朝からやっている市場で適当に食料を買いまわった、銀貨1枚分。柔らかい焼き立てパンを何個も買ってたら、店の人に「こいつ大丈夫?」とは言われなかったけど、不思議な顔をされてしまった。でも大丈夫! すべて魔法鞄に入ったし、時間停止ってことだから、痛まないんだよな。
この鞄、面白いよ。普通に物を入れると時間停止の方にどんどん収納されていくんだ。けど、昨夜部屋に入ってきたクワガタムシみたいなやつを捕まえて、鞄に入れたら時間経過空間のほうへ収納された。そっちでは時間は止まらないし、生きていくのに必要な空気とかもあるようだ。
それでも、強制的に時間停止のほうへ入れようとしたら鞄の入口のところで弾かれてしまって・・・入らない。ということも確認できた。
とにかく、今日は街の外へ出て、魔法の訓練とかしてみたいじゃん!
門番のところを通って出たんだけど、出るには問題ないようだが、見てたら、入る人は何かを見せたりコインを渡したりしている。
まあ、今度入るときに分かることだろ?
街から出てみれば、まるで荒野?草原?あちこちに森が見えてる。一気に田園風景! 田舎に来た~!って感じだ。圧倒的に緑色の世界。
異世界というか、別世界だ。静かだし・・・
20分くらい歩いたら、小さな川が流れていて街の向こうに広がる農耕地?に向かっている。その流れに逆上していってそのままその森に入る。
小さな川もさらに小さく狭くなってきた。そのセセラギ沿いにただひたすら奥へ向かって歩く。何分くらいだろう?結構歩いてきたよ。1時間以上は歩いたかな・・・
先の方を見れば、奥の方で誰かが2人、セセラギの水を飲んでいる。誰だ?と思いながら近づいてみたが・・・あれ? 人間じゃなかった!
そうか!? まさかの魔物? 初遭遇だ!
向こうも僕に気が付いたのか、いきなりその辺の石ころを拾って僕に投げてきやがったよ・・・
ああ、助かった! 魔法鞄の攻撃反射か? 僕に当たるはずの石ころが、奴らに向けて飛んでいって体に当たってる。一人は顔に直撃したのか、半目になって血を流しているし。
と、見ていたら今度は、その辺の枝?棒切れを持って、振り回しながら僕に向かって走り寄ってくるし・・・
このままでは面白くは無いな!
鞄から王家の短剣を出して、相手に狙いを定めて、風刃!の斬撃を2発飛ばしてみた。
確かに! うっすらと透明なブーメランみたいな形の刃が狙ったところに飛んでいく。これ、僕はなんとなく見えているけど、相手にも普通にも見えるんだろうか?
一人の方の棒切れをもった腕を狙って、もう一人は首を狙ってみたんだけど・・・
結果は・・・恐ろしい!な・・・片腕が落ちて、もう一人は首が飛んでいって、胴体から血を噴き出している。
片腕の奴にもとどめを・・・同じく首ちょんぱ!で仕留めた。
*初めての魔物狩り!
何だろう、最初は人間だと思った奴らだったけど、そんなに抵抗も拒否感もないな・・・
この世界では、普通のことなのか? すでにこの世界の常識みたいな感覚に染まっている? 剣と、魔法と、魔物の世界。強いものしか生き残れない、弱肉強食の世界。何か、僕にとっては、こうするのが、さも、普通!って感覚しか無いな・・・・
後で、鑑定!してみて知ったけど、こいつらは、ゴブリン。まあ、どこにでもいる魔物。集団になって村を作ることも、人間の村を乗っ取ることもあるらしい。レベルは100~150程度。
僕の鑑定が勝手に発動して、奴らの遺体を表示している。胸の真ん中に光るものが表示されている。後で分かったのだが、遺体自体を鑑定・分析して、結果を表示して魔石の場所を示してくれていたらしい。
*ゴブリンの魔石:換金可、錬金の素材
なるほど、何かそれを取り出せ!ってこと?換金可ならコインなどに変わるんだろう?
短剣を取り出して、胸から石ころを2個取り出した。
うん、確かに、綺麗な石ころみたいな・・・これが魔石。魔物の核になるもののようだ。
ちょうど良いので、セセラギで、汚れた短剣や手、魔石をきれいに洗った。
僕自身には返り血は付いていなかったよ。
そういえば・・・さきほどは、奴らから攻撃を受けたんだけど、なにか模倣できたんじゃないのか? 確認してみたら、
*投石
*こん棒
こんなのが模倣されていて、赤い印も付いている。赤印はアクティブってことだと注意書きもあった。
こん棒はともかく・・・投石は使えるかも?
適当に石ころを拾って、狙いを付けて投げてみた。
20mくらい先の太い樹木の幹に穴を開けて貫通していったよ。
いかん! 力みすぎ? 少しゆるく投げてみた。狙いは正確で、今度は貫通はしなかった。普通の日本人の身体能力では出来ないことが出来ている。
そうだよ! 奴ら程度のレベルでは相手をけん制する程度でも、僕のレベルなら、普通に投げて、この貫通くらいの威力が出せるってことか・・・レベルの高さイコール力の強さ、ということか。
投げやすい大きさの石ころを多めに拾っておこう。
セセラギで洗って、泥などを落としてから鞄に収納しておいた。ざっと、200個くらい拾った。鞄の目録明細では、投石用小石 233個 だって・・・
まあ、あのくらいの魔物なら、今の僕でもなんとかなる、ってことは分かった。けど、あれ、魔物の底辺層なんだろ? 進むしかないけど。
この森のかなり奥まで入ってきたぞ~ これ、帰り道はセセラギ沿いに帰れば良いのだろうけど、ちょっと深入りしすぎたかも?
鑑定の詳細説明の中に見つけたものを試してみる。
*マッピング!
まあ、なんとなく地図だよな~って思って開いたけど、何か印が多すぎて訳わかんないものが出てきた。
マッピングの詳細に戻って説明を読む。
地図表示としては、現在地が基準、その他移動させて見ることも出来る。
拡大縮小は自由。部分拡大だけも出来る。
探索機能というのがあって、探したいものを指定できるらしい。
魔物、人間、コイン、宝石、金属、泉、などなど僕のイメージしたものをマップ上に印で表示してくれる。基本は赤色の印、対象によって色を指定できる。
地下探査とか、水中探査とかも出来るようだ・・・
ちょっと前に勝手に発動したが、魔石位置を教えてくれたような使い方もできる。
ま、とりあえず魔物を指定してみれば、現在地点から半径500mの圏内のあちこちに赤い印がついた。
セセラギからは少し横に外れるけど、その印が集中して重なっている場所がある。魔物の集団かな? 様子だけでも見に行こう!
・・・あれ? 僕って、こんなにも怖い物知らずだったっけ? 確か昔は、石橋を叩いても渡らなかった・・・よ?
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