第3話 魔法鞄
休憩しながら、今日の泊りのことや、食事のこと、眠る場所は? とかいろいろ思いながら、袋のなかに突っ込んだスーツを一応簡単にだけど畳み直してみた。
まあ、今さらだけど、僕を召喚した連中に腹がたってきた。
いろいろ、まだ記憶にあることを忘れてしまう前にメモぐらいしておこう。
鞄の中に手を突っ込んで、メモ帳とボールペンを探っていたら、
あれ? こんなもの、あったっけ? という手触りのものがあった。
それを取り出してみたら、茶色の革製のポシェット? 大きいスマホ入れみたいな小さい肩掛けの蓋つきの鞄?
なに?これ・・・鑑定!
*魔法鞄 容量無限、時間停止空間+時間経過空間
・転生神の加護(不壊、攻撃反射、魔法反射、反射無効)
・サイズ・色など調整可能(使用者の思いのまま)
・目録機能、清浄、収納内解体、分別、・・・・
・ワイバーンの革製、自重軽減
・使用者限定:神谷健
えっ!何これ? なぜ、ここにあったんだろう? しかも、どうやら僕専用? 僕にしか使えないみたいだよ・・・
思いのまま、って?
とりあえず、小さな鞄を手にして、もう少し大きいほうが使いやすいかな?って思ってみたら・・・
何か、僕の体からフワ~っとしたものが両手に集まってきて、それが小さな鞄に吸い込まれていった。と思ったら、小さな鞄が、僕の思ったとおりのサイズの肩掛け鞄に変わった!
おお~~~ なんだ?これ。
この鞄、実際に使えるのか?どう使うんだろう・・ 布の大袋の中身を取り出しては魔法鞄に詰め替えてみると、魔法鞄に吸い込まれるようにどんどん入っていく。
しかも、魔法鞄に手を触れると、中身の、既に収納されているものの明細が僕の頭に浮かんでくる。何これ、凄い!
それに、魔法鞄の口の大きさより大きなものまで、魔法鞄に吸い込まれるように入っていく・・・
結局、大きな布袋の中身、つまり僕の持ち物のすべてが、この小さな魔法鞄に収まってしまった。
それで、鞄に手を触れれば、仕分けされたコインの枚数までわかる。
更に、皺になるのに抵抗のあったスーツだけど、この魔法鞄の中で、綺麗にクリーニングされた状態だろ? 吊るしの状態で保管されているようだ。
ズボンも、クリーニングされて、小皺も伸ばされ、アイロンがけされたような新品状態で吊るされている。
ふと思った! 神様! ありがとうございます! 加護って書いてあるし・・・お礼は言っておかなければ・・・
転生神の加護、っていうくらいだから、僕も転生者ってことで良いのかな?まあ、そんなこと誰にも言う必要は無いんだけど。
召喚の時とか転生時には、神の気配も存在も言葉も、何も無かったけど・・・今、実感できた! 神は僕を見放してはいない。転生神の加護かぁ~
現在の所持金は、金貨10枚、銀貨19枚と銅貨 だ。
このくらいあれば、どこかの宿に泊まれるのだろ?
さきほどの服屋に戻って聞いてみた宿へ向かう。
体を洗いたかったので、風呂かシャワーのある宿が良い。
紹介された宿は、一泊銀貨一枚で、食事は夕食と朝食付き。シャワーは部屋にあるし、風呂は共同だがある。なかなか良さそうだ。
銀貨一枚は先払いで、明日の昼までなら部屋を使っても良いということだった。
後で知ったが、この宿はちゃんとした高い宿賃の宿だった。
普通、食事無し素泊まりなら、銅貨2枚くらいからあるらしい。まあ、いきなりそういう安宿は僕には生理的に無理だろうけど、・・・これから必要な金を貯めなければ・・・
魔法鞄に慣れておこうと、物の出し入れの練習を何回もやってみた。もらってきた短剣は、鞄よりも長くて大きいのだけど、不思議なことに、出し入れには問題はなかった。
そういえば、と思って、見た目には地味な普通良くあるような、もらってきたその短剣を鑑定!
*エリーナ王家の短剣
・ミスリル製
・風魔法・斬撃・風刃
・使用者レベル 要200以上
おやおや、何か、レベル制限はあるけど凄く良い剣をくれたんだな・・・短剣でちょうど良いや。邪魔にならないし、斬撃って、剣戟を飛ばせるんだろ? 練習しなきゃな・・
普段使いにしてもよさそうだな、派手な装飾もなにも無いただの短剣だし。
でも、そうか~ 攻撃反射に魔法反射、護りは魔法鞄の転生神の加護で良さそうだし、王家の短剣で、風の斬撃、風刃かぁ~ 攻撃はこれだな。
これに、僕の持っている魔法全属性の適応を訓練していけば、この世界で何とか生きていけるかもしれない。
再度自分自身を鑑定!
*神谷健 転生者 レベル (600)偽装:60
・加護: 転生神の加護※
・スキル:(鑑定)(模倣※) 偽装:商業
・魔法適性:(全般) 偽装:生活魔法
*魔法鞄 容量無限、時間停止空間+時間経過空間
・転生神の加護(不壊、攻撃反射、魔法反射、反射無効)
・サイズ・色など調整可能(使用者の思いのまま)
・目録機能、清浄、収納内解体、分別、・・・・
・ワイバーンの革製、自重軽減
・使用者限定:神谷健
*エリーナ王家の短剣
・ミスリル製
・風魔法・斬撃・風刃
・使用者レベル:要200以上
おや? 今まで無かったものが2個増えている。そうか・・・魔法鞄を使ったセイで、本人確認?でも出来たってところか? どうかは分からないけど。
魔法鞄に付いていた転生神の加護が、僕自身にも現れた。その詳細は分からないし、鑑定でも見れないようになっているんだな、でも、加護っていうくらいだし、何か僕を護ってくれるんだろ? そう思いたい。
あともう一つ、スキル項目に模倣なんてのがついていた。これは詳細を見ることが出来た。
*スキル:模倣
スキルや魔法、攻撃などを真似して使える。
模倣した記憶や経歴は魔法鞄に保存される。
同じものを模倣した場合は、レベルの高い方にまとめられる。
自身のレベルに応じてアクティブにできる模倣スキルの数が決まる。ほぼレベル100につき1個、アクティブにしておける。
反射無効は、魔法鞄の反射を無効にして、模倣スキルで、100%吸収・模倣することも可能(要:レベル1500以上)
見て模倣する場合は、効果というか模倣率は50%程度、体験して模倣する場合は、模倣率100%となる。
つまり、レベル100程度の他人が使う火炎魔法を見て模倣する場合には、レベル50程度の火炎魔法となるが、僕の場合には、レベル600なので、実質6倍、なので、最大レベル300程度の火炎魔法として発動できる。
・・・なるほど、便利!
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