第3話

「ん?…」

「だから、お互いに時給を払って付き合うの!」


萌絵は一瞬頭がフリーズしかけた。


「待って。どういうこと!」

「もう、なんでわからないの。例えば時給5000円で俺らが付き合ったとします」

「説明しなくていいよ。そこは分かるから!」

「じゃあどこが分かんないの?」

「時給を払って付き合うっていうこと!」


「あーね。まあ『時給交際アルバイト』って感じかな」


時給交際アルバイト?渉の発したその言葉は聞いたことない単語の組み合わせだった。


「あ、大丈夫。これ提案したの俺だから、俺は萌絵ちゃんより多めに時給払うよ」

「そこじゃなくて!お金を払って付き合うっていう感覚が分からないの!」


「だって彼氏欲しいんでしょ?」

「そうだけど……」


萌絵は言葉を詰まらせた。彼氏が欲しいのは事実だけど、お金を払ってまで付き合いたくない人と付き合うのはいかがなものか。それに、別にお金が欲しいわけじゃないし……

でも、渉くんのこと、そんなに嫌いなわけでもないし…まぁいっか。形式上で付き合うだけ…だよね。


「うん、いいよ」

「よし決定!今から俺と萌絵は恋人だよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

時給交際アルバイト 葵羽 @kamatama822

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る