第一話 幼馴染
この世界に転生してからは、ずっと1人暮らしだ。母は海外で国際精子ドナーの仕事をしている。時々寂しく思うこともあるが、男子高校生の一人暮らしは色々と楽しいので問題なし。
朝ごはんもお手のもの。長年の一人暮らしで磨かれた料理の腕はそこらへんの主夫顔負けである。
朝6時に起きて作った朝ごはんにありつく。うまい。我ながらあっぱれだ。
『ニュースです。未成年に性的暴行を加えたとして女複数人を現行犯逮捕しました。』
おいおい…また恐ろしい事件が起こっているじゃあないか。
俺も気をつけないといけないな。いくら純愛ものが好きと言えど、この世界の美人で凹凸の激しい体のつよつよ女の子達に襲われたら俺はともかく俺のムスコは黙っちゃいない。間違いなくそのマグナムは弾を高速充填するだろう。
俺は味噌汁をすすり終え、カバンを背負い靴紐を結ぶ。
「十分に気をつけて登校しよう。よし、行ってきまーす」
◇
ガタンゴトンガタンゴトンと電車の揺れに身を任せながら俺は過去最大級にクールオーラを纏っている。そっけないオーラと言う方が正しいのかもしれない。そうでもしないと俺を取り巻く獣達に跡形もなく喰われるだろうからだ。
「な、なんで男の子が普通の電車乗ってるの…?」
「ここって男性専用車両じゃないよね?え襲っていいってことだよね?」
「このシチュだけで興奮するって…オカズ確定じゃんこんなの」
フッ、どうやら俺は男性専用車両じゃなくて普通の電車に乗ってしまったようだ。普通の電車といっても男はみんな専用車両乗るから、ほぼここは女性専用車両なんだけどな。
とはいえ本当にまずい状況だ。電車の中が女性の甘酸っぱい匂いで充満している。前世で女性経験を全く積んでないせいで女性の免疫面についてはS級クソ雑魚だ。それは俺のムスコももちろん例外ではない。
その時だった。
俺の目の前に座っているボンキュッボン体型かつ胸元まで空いたシャツ、加えてパッツパツのミニスカを履いたOLらしき女性が俺に声をかけてきた。
「お〜い」
スラっと綺麗な指を妖艶な唇に添えて、くぐもった声で俺を呼びかける。
その刹那、女はパツパツのスカートを少しはだけさせた。彼女のスカートの中からこちらを覗きこむ黒のTバッグ。
元の世界で置き換えるとただ男が女に対して下着を露出しているだけのやばいやつってのは頭で理解できている。これはそういう問題じゃないのだ。
わかるだろ?わかってくれ。
「な、なんなんですか…警察呼びますよ」
俺は前屈みになりつつも震えた声で女にそう言った。
そんな俺を女は少し驚いたような様子を浮かべたあと優艶に微笑みかける。
——ガッ——
一瞬だった。
女は俺を壁に押し付け、手を恋人繋ぎで拘束し、彼女のスベスベな太ももで股ドンされたのだ。俺のマグナムを見定めるように、その太ももで服の上から刺激される。そして極めつけには…その豊満な巨峰を俺の顔に押し付けてきたのだ。
「生意気言ってくれるじゃんガキ♡体はずいぶん正直みたいだけど?」
そう、俺のムスコは既にwake up‼︎していたのだ。
くっ、俺としたことが…早くこの状況から抜け出さないと…
そうはわかっても彼女のたわわに実った双丘のV字谷から薫る濃い〜女の匂いは女性経験0の俺には平静を保てるものではなかった。
「…ここで降りよっか、多目的行くぞ♡」
まずい、匂いで頭がやられている…何も考えれない。
手を引かれるがままに連れていかれる。そして女が多目的の扉に手をかけた。
「すみませーん」
背後から聞き馴染みのある声。
「そいつ私の幼馴染なんですけど」
間違いない、玲央だ。女の子のくせして俺よりクールで俺がお手本としている幼馴染の
俺はその声で正気を保ち直す。女の手を振り解いて玲央の方へと近づく。
「ねぇ俊、さっきのは合意のもとかな?」
「そんなわけないだろ」
「だよね。ってことだからおばさんまたね」
玲央は"110"と既に打たれてあるスマホをちらつかせながら痴漢してきた女へと手を振る。いつでも警察に電話できるからという威嚇の意味があるのだろう。相変わらずスマートだ。
女は嫌悪を顔に浮かべながら舌打ちしてその場を去っていった。
「はぁ…まったく俊は押しに弱いな〜。そんなんじゃ私無しじゃ生きていけないよっ」
玲央は俺の額を人差し指でグリグリしながらそう言ってきた。
相変わらず今日も太ももを大いに曝け出すthe JKのミニスカに、はりっはりのウォーターメロンを2つぶら下げてやがる。先ほどの女に比べると大きさは劣るものの若さゆえのハリ感が比ではない。凶暴すぎる。
「べべ別に押しに弱いわけじゃねーよ。俺がそんなヘマするわけねーだろ」
俺の言葉を聞いた玲央は俺の顔を見てハァ…とため息をつく。
そして指をくいっくいっと、耳を貸せとサインを送ってきた。
「俊ってさ、あんなおっきいおっぱいが好きなんだ?」
俺の図星を突き貫くように俺の耳元で囁いてきた。
きっと通学路の最中も俺の耳は真っ赤だったはずだ。若干前屈みで歩く俺を見て、玲央は少し意地悪な笑みを浮かべていた。
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