狂異集会 舞台裏
復讐の手伝いをしようだとか、そういうことを考えたわけではない。
ただ、暇で暇で仕方なかったのだ。
何も楽しいことがないので、何か面白いことがないかと。
友人の
シンはそこまで乗り気ではなかったが、コウは面白そうだと承諾してくれた。
「シンは人間が大好きだからね」
人ならざる力を持つニーナは、不条理に殺されてしまった死体を集めた。
ぐちゃぐちゃでも、どうでもよかった。どうせ直せたから。
集めた死体に呪いをかけて、その死体が一番「恨みを抱いている人間」を誘い込み、VIPとして招待して。
その場で殺してもらうのだ。
当然、目的が死ねば本人も死ぬことが出来る。
「win-winでしょ?」
ニーナが笑いながら言う。
シンは苦い顔をしていたが、コウには大ウケだった。
「いいねえ、愚かな人間らしくて僕は好きだよ」
「私は反対ですけどね」
そうして集めた死体を綺麗に着飾った。
舞台に上がるのはニーナだけ。
シンとコウは出入り口の封鎖。
人ならざる力を使い、こちらから出れないようにするだけだ。
案の定、直ぐにニーナが大暴れを始めてしまった。
「予定より30分早いですよ」
「1時間早いよりマシだって」
コウが手を動かすと、見えない何かが扉を塞いだ。
扉の向こうでは、ぎゃあぎゃあという声が溢れていた。
「自分の利益のために人を殺しておいて逃げようなんて……何処までも愚かな人間たちだ」
全てが終われば、2人が扉を開く。
雪崩れてくる人の死体。
もう一番手前は潰されて、人の形を成していない。
それらをすべて踏み越えて会場に入ると。
見事に血で真っ赤に染まっていた。
高い天井にさえ、血が飛んでいた。
部屋の中央では、白いドレスを赤く濡らしたニーナがいた。
彼女は2人に気付くと、にっこりと無邪気な、愛らしい笑顔を向けた。
「楽しかった、またやろうね!」
それは、今この場で一番狂った笑顔だった。
彼女たちの暇つぶしはまだまだ続くだろう。
狂異集会 Rokuro @macuilxochitl
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