ダチ。

フードコート

谷口と山田、保野の三人がタコ焼きを食べている。


保野

「まぁ、そんな感じだったんだよ。」

谷口

「へぇー。」

山田

「なんか、爽やかな3組みたいな話だな。」

谷口

「爽やかな3組?」

山田

「知らん?」

保野

「道徳のテレビのヤツでしょ?」

谷口

「あー、あの変な歌のドラマかー。」

山田

「さん、さん、さん、さわやか3組ぃ〜♪」

保野

「……妙に残るよね。」

谷口

「でも羨ましいなぁ。ドラマチックで。」

保野

「デブちんとガリガリ君だけどな。」

谷口

「今でも続いてんだもん、羨ましいよ。」


保野、照れ臭そうに笑う。


谷口

「もし俺だったら何になったかなぁ……。」

山田

「タマタマだろ。」

保野

「タマタマ?」

山田

「こいつ、犬のタマタマ見て悟り開いたから。」

谷口

「おい!」

保野

「へ?」

谷口

「……何でもないから気にすんな。」

山田

「なぁ、タマタマー。」

谷口

「呼ぶな!」


保野、タコ焼きを見つめる。


山田

「これから味玉食べようって時にタマタマの話すんだぜ?」

谷口

「山田だって同じ様なもんだろ。」

保野

「……どんなんだったの?」


大きな溜め息を吐く谷口。

山田と保野、タコ焼きを頬張る。


山田

「俺はどんなのかなぁ。」

谷口

「昼寝マシーン。」

山田

「はい?」

保野

「分かるかも、それ。」

山田

「分かるなし。」

谷口

「雑音製造マシーン。」

山田

「俺メカちゃうし。」

谷口

「そんな大層なもんじゃありませーん。」

山田

「……。」

保野

「山田、謝ったら?」

山田

「……タマタマごめん。」

谷口

「……。」

保野

「間を取って “タマちゃん” にしよう。」

山田

「せんせー、ここに黒幕が居まぁーす。」

谷口

「デスソースの刑に処す。」


谷口、鞄からデスソースの瓶を出す。

山田の皿に盛る。


山田

「なんでそんなの持ってるんだよぉ!?」

谷口

「山田対策。」


大笑いする保野。


谷口

「昔はあんなに優しい子だったのに。

お母さん、貴方をそんな子に育てた覚えはありませんっ!」


谷口、保野の皿にも盛る。

保野、不意を突かれて阻止出来ない。


保野

「な、何キャラさぁ!?」


二人、盛られたタコ焼きを食べる。

あまりの辛さに駆け足で水を取りに行く。

水を飲んでも引かない辛さに悶絶する。


谷口

「ほら、他のお客様の迷惑になりますよ?」


谷口、涼しい顔で平らげる。

唖然とする二人。

谷口、飲むヨーグルトを買って二人に渡す。

二人、ようやく落ち着く。


山田

「す、すみませんですた!」

保野

「これからは、激辛王子と呼ばせて頂きやす!」

谷口

「王子かぁ、悪くないかも。」

山田

「……お前、激辛得意なの?」

谷口

「いや、そこまでじゃないよ。軽いデスソース持ってるくらい。」

保野

「軽いデスソースとは?」

谷口

「激辛好きは、ジョロキアとか大瓶で常備してるんだよ。」

二人

「……。」

谷口

「山田、また変な事言ったら特別サービスしちゃうからね♪」


谷口、綺麗なウインク。

山田、恐れ慄く。

保野、ウインクをしてみるが上手く出来ない。


保野

「スゲーな、谷口。」

山田

「今そこ!?」

谷口

「王子だからね。」

山田

「激辛のな。」


笑いながら席を立つ三人。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る