第22話 雪と悪ガキ
ツバの広いとんがり帽子。とんがりの先っぽは少しへたっている。
襟の大きなマント。裾は地面で擦れてボロボロ。
帽子もマントも外が黒で内側が真っ赤。
それを着ているのは茶色の芝犬。
口にはちょっと欠けた星飾りがついた魔法のステッキを咥えているぞ。
芝犬
メメさんの仕事は困っている人を助けること。
今日も困っている人がいないか
しんしんと雪が降り積もる夜。
音が雪に溶けて、とても静かな夜。
そんな夜が明けると。あら不思議。一面雪景色。
昨日までの景色が白色に染まります。
高く登ったお日様の光を反射して少し目が眩みます。
これにはメメさんも大喜び。
公園を走り回っては顔を埋め、走り回っては顔を埋めを繰り返しています。
雪に大はしゃぎをしているのはメメさんだけではありません。子ども達も雪だるまを作ったり、雪を踏みつけて遊んで大はしゃぎ。
あーーーっ、危ない!!
雪玉がメメさんの鼻先をかすめます。
「惜しいー!!」
何してくれとんじゃ!! このクソガキがーー!!
悪ガキが
それをメメさんは華麗なステップでかわします。
タタッ。テイ!! タタッ。テイ!! タタッ。テイ!!
メメさん軽快な走りに的を絞れず、少年が投げた雪玉は空を切ります。
クソガキがえぇ加減にせぇy……あれ、なんだかメメさん楽しそう。
まぁ、ここはメメさんの顔に免じて許してあげましょう。
「くそー、当たらないなー。ならデカイやつで……」
少年は小さな雪玉を地面に転がします。
コロコロ。コロコロ。
雪玉を転がす少年にメメさんも付いていきます。
一人と一匹でコロコロ。
地面の雪を取り込んで、大きな泥んこまみれの雪玉が出来ます。
少年の膝くらいまである。大きな雪玉。
ここまで来たらやることは一つですね。
新しく雪玉をコロコロ。
仲良く一人と一匹でコロコロ。
良い感じの大きさになったなら、重ねて更に良い感じ。
しかし、まだ物足りない。
一人と一匹は首を傾げます。
するとメメさんは駆け出し、葉っぱを二つ咥えてきます。
「あー、そうだ」
少年は葉っぱを手に、雪玉にペトッ。
葉っぱのお目々の出来上がり。
お次は枝を持ってきます。
これも雪玉にズブズブ。
お手々の出来上がり。
最後にニッコリお口を描いたら、雪だるまさんの出来上がり!!
その頃には一人と一匹はすっかり仲良し。
雪だるまさんを置いて仲良く追いかけっこをしています。
お腹がグーグー。おやつの時間です。
少年がお母さんに呼ばれ、お別れです。
ツバ広いとんがり帽子。襟の大きなマント。口にはちょっと欠けた星飾りの魔法のステッキ。
一人と一匹のさよならを雪だるまさんが静かに見守っています。
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